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<4>

今回も短いです。

<4>


 金曜日。亨を連れて、檸檬は桃を迎えに来た。理事長室に向かう。

「「こんにちは。」」

 亨と一緒に理事長室に入ると、光輝も玲も笑顔で二人を迎えた。

「暑かっただろう?お疲れさま。」

 初めて会った光輝の優しい瞳に、緊張していた亨も笑顔になる。

「大丈夫です。ありがとうございます。」

 前もって話しておいた為か、

来賓用玄関の脇にある事務局で仕事をしていたびとー以外は、精霊達の姿が見えない。

つまり檸檬にまで見えない姿になっているのだ。光輝らしい念の入れようである。

 光輝や玲の温かい雰囲気に安心したのか、亨が光輝に話し掛けている。

「檸檬からいつもお噂は伺ってます。こいつ、理事長先生にすっごく憧れているんですよ。将来は理事長先生のような男になりたいって…。」

「亨!」

 檸檬が小突いたが、光輝は爽やかに笑った。

「そうかい?檸檬くんに憧れてもらえるなんて光栄だよ。」

 基本的に人懐っこい亨は、懲りずに話を続ける。

「でも、理事長なんていう役職にある方がこんなに若いなんて知りませんでした。

凄いですね!」

「四年前に父が亡くなってね、後を継いだだけだから、偉くもなんでもないけどね。」

苦笑する光輝。

亨が更に口を開こうとすると、扉が開いて、桃が飛び込んできた。

「おにいちゃーん!りぢちょーせんせー!ゼロー!」

 ご丁寧に、香恋まで姿を消している。

桃に付いていることは確実なのだが、それを肉眼で捉えることはできない。

 桃は亨にも気が付いた。

「とーる!」

 兄の檸檬が親友を呼び捨てにする為、桃も呼び捨てである。

それでも、そんなことが全く気にならない程、一人っ子の亨にとっても桃は可愛かった。

「桃ちゃん!元気?」

 満面の笑顔になった桃は亨に抱き付いた。

「うん!げんきー!」

 亨は桃を抱き留めた後、桃と同じ目線にまでしゃがみ、笑顔でその頭を撫でた。

 桃に対する態度を見て、光輝も玲も亨をとても好ましく思った。

檸檬の、おそらく厳しいであろう基準をクリアして、友人になった男の子である。

悪い子である筈が無いのだが、それでも安堵したのは本当のことだ。



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