<3>
短いです。
<3>
ブラッディダイヤモンドがあると噂されたロンドンに到着した。
とりあえず到着したことを光輝に電話で告げると、縁談はやはり破談になったこと、
相手が自分の姪だったせいで沖田校長までショックを受け、
びとーの見合いの話は霧と消えたことを聞いた。
「多分これでもう、瑞輝のところに仕事のことや見合いの話を持ってくることは、
当分無いと思うよ。」
破談になったとはいっても、元気そうで明るい弟の声に、瑞輝は安堵した。
「だから安心して旅を満喫して、疲れたらまた帰ってくれば良い。
僕も玲さんも精霊達もみんな待ってるから。」
「ああ。」
「また何かあったら電話して。僕からもするけれど。」
「ああ。…光輝、旅に行かせてくれてありがとな。」
電話の最後に瑞輝が囁くと、光輝の不思議そうでいて心配そうな声が返ってきた。
「瑞輝、どうしたんだい?何かあったのかい?」
「何も。」
瑞輝はちょっと笑った。
「…ただ、いつも嫌な顔ひとつしないで送り出してくれるからさ。嬉しいんだ。
感謝してるんだぜ、俺は。」
「そう?でも、束縛されたら瑞輝らしくなくなってしまうだろう?
瑞輝が瑞輝らしくいてくれるのが、僕にとっては一番嬉しいんだよ。」
電話の向こうの光輝もちょっと笑った。