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 檸檬と亨の試験の結果は、いつもと大差ないものだった。

つまり檸檬が学年トップ、亨が五教科総合七点差で二位、

三位以下は大きく引き離されていた。

 放課後。二人の担任である南 一哉教師に頼まれ、

檸檬は集めた宿題のプリントを職員室に届けることになった。

「失礼します。」

 ノックをして職員室に入ると、南教師は顔を上げて少し微笑んだ。

「ありがとう。」

「いえ。」

 小さく言ってプリントの束を渡すと、南教師は真っ直ぐ檸檬を見た。

「桐島。」

 檸檬は担任を見つめ返した。

「はい?」

「今回も学年一位の成績、立派だったぞ。」

「…ありがとうございます。」

「だがな。」

 学校で教師に叱られることなど皆無の檸檬は、怪訝そうな表情を浮かべた。

だが、担任はそんな態度にも気圧される様子を見せず、言葉を続けた。

「俺はお前が少し心配だ。

…お前は自分に厳しくあり過ぎる。それがお前自身を追い詰めるんじゃないかってな。」

「…そんなつもりは無いんですが。」

 檸檬が否定しても、担任の瞳に映る気遣うような光は消えなかった。

「…俺の昔っからの親友と、お前はちょっと似ているところがあるんだ。

そいつも普段は凄く優等生で、自分にも厳しく、当たりは柔らかいんだが

本音の部分では俺と自分の兄くらいにしか心を開いていないように見えた。

やっぱり心に鬱屈するものがあったのだろうな、不良に絡まれて喧嘩になった時、

ブチ切れて手が付けられなくなって、相手を入院させるまで叩きのめしたんだ。」

 南教師は少し微笑んだ。

「まぁ、そいつの場合は普段の行いの良さに周囲がごまかされて

大きな問題になることはなかったが、

似ているだけに、お前にもそういう危うい部分があるんじゃないかと不安に思う。

…だから時には抜くことも覚えろ。」

「抜く…?」

「ああ。…成績を落とせと言っている訳ではないし、不良になれと勧めている訳でもない。それはお前にも判っているだろうが。

…俺が言いたいのは、ストイックになり過ぎず、

自分を喜ばせることも時には必要だ、ということだ。」

 担任の言う意味も判らなくはないのだが、

檸檬には自分で自分を追い詰めているつもりは無い。

特に最近は、桃や亨以外にも光輝や瑞輝に玲、精霊達が側にいてくれて、

随分性格が円くなった気がしているくらいだ。

だが、気遣ってくれる担任の気持ちは嬉しかった。

「…心配して下さってありがとうございます。」

 素直な笑顔が浮かぶ檸檬に、南教師も安心したように微笑んだ。

「まぁ、お前には日下部もいるし、何かあれば俺も力になる。気構え過ぎずに頑張れよ。」

「はい。」

 檸檬は頷いた。




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