残者*
「ママぁ」
「どうしたの?」
「お兄ちゃんはいつ戻ってくるの?」
「・・・きっと来年には戻ってくるわよ。お兄ちゃんはオーヴァルガンのトップ校で勉強してるから忙しいの、わかってね?」
「・・・・・そっか、わかった」
タタタッ
バタン
ドスッ
「・・・ママのうそつき、」
「お兄ちゃん・・・学校、やめたの知ってるもん」
グスン
「約束、忘れたのかなぁ」
ヒック
「僕のこと、お兄ちゃん忘れちゃったのかなぁ」
コンコン
ゴシゴシ
「誰?」
「パパだ、入るぞ?」
「うん」
キー
「・・・泣いていたのか?」
「違うよ」
「・・・・・・」
「・・・・」
「明日、船に乗せてやる」
「ホント?」
「ああ、だから今日はゆっくり休むんだぞ」
「うん!」
キー
バタンッ
「・・・」
「海、好きだよ」
「・・・・でも、僕本当は・・・・・・・・」
『またそんなになって・・・』
『お兄ちゃん!!?』
『早く汚れを落とさなきゃまた母さんに怒られるよ?』
『うん!すぐ洗ってくる!!』
タタッ
――――
ジャアァァ
『ふぅ』
『ゼン、ほらタオル』
『ありがとう!』
ゴシゴシ
『まだちゃんと落ちてないじゃないか。手を出して』
『うん!』
ニコニコ
『何にやけてるの?』
『だってお兄ちゃん優しいんだもん!それに、最近お兄ちゃん勉強忙しそうで全然話せなかったし・・・』
『・・・・・・』
ジャアアァ
『よし、服も着替えるんだよ?』
『うん!』
タタタッ
「言わないよ、約束だから・・・」
だから
――お兄ちゃん、戻ってきてね・・・・・・・・・