変なヤツ~桐生隼人篇~③
前回を投稿してから、年を越してしまいましたね。
今年も、どうぞよろしくお願いします。
俺が家に帰ると、椎名と妹の希が遊んでいた。
「何で、俺ん家にいるん?」
「沙彩ちゃんね、お母さんが拾ってきた!」
妹の答える限り、母親が連れて帰ってきたようだ。
「沙彩ちゃん、ご飯できたよ。」
明らか、残り物の肉じゃがが出てきた。
「ありがとうございます。」
「沙彩ちゃん、まだ続いてるよー。やろうよ。」
妹は、駄々をこねている。
「じゃっ、ちょっと待ってね。…いただきますっと。」
椎名の足元には、myスイッチ(と思われる)が置いてある。
「希ちゃん、始めていいよ。」
「えっ、いいの?始めるね。」
ゲームがスタートする。妹のキャラが動き出すと同時に、椎名のキャラも動き出した。椎名の足元をみると、靴下が脱ぎ散らかしてあり足指で操作しているのにめちゃくちゃ速い。
(なんだ、コイツ…。)
でも、椎名は平然と肉じゃがを食べている。
「これ、おいしいですね。何て、言うんですか?」
会話も、し始めた。それよりも…。
「肉じゃが知らないの?沙彩ちゃん。」
「肉じゃがって言うんですね。あの、千早さん!作り方、教えてください。」
「いいよー。」
「希も、やるーーー!!」
全員、楽しそうにやっている。
しばらく、椎名は妹とゲームを楽しんでいた。
「すいません、千早さん。何か、飲み物もらえませんか?」
「いいわよ。」
母親は、キッチンに向かう。妹は、さっきまではしゃぎ過ぎたので寝ている。俺は、部屋に戻るとする。
「あの、ちょっといい?」
ベッドに座った途端、椎名がやってきた。
「どうぞ。」
椎名は、物珍しそうに辺りを見回す。
「何で、ずっとおるん?夜遅いし、帰らないといけないじゃないん?」
「割と、部屋綺麗だね。それに、男子の部屋始めて入ったわぁ。」
明らか、話をそらしている。
「おい、真面目に答えろよ!」
俺は、壁に手を押しあて椎名が逃げられないようにした。
「わぁー、こんな状況初めて。」
まだ、冷静を保っている。
(こいつ、初めて会ったときと性格違わねぇか。)
「この状況で逃げようとは思わないの?お前、おかしいわ。」
「知ってる。」
椎名が、急に涙をみせる。俺は、それを軽く拭う。椎名は、俺を睨みつけた末に腕をどける。
「いいお友達になれそうね。隼人…。」
「えっ?!」
さっさと、部屋を出ていった。急に、下の名前で呼ばれたからびっくりした。
俺がリビングに戻ると、母親と椎名がお茶を飲んでいた。
「隼人も、お茶飲む?」
「いらない。」
ソファに座り、テレビのチャンネルを変えていく。
「隼人、今日は物置で寝なさい。」
「はぁ、なんで?」
「沙彩ちゃんの寝る場所がないじゃない。」
(泊まっていくのかよ…。)
椎名は、半分寝ている状態で座っている。
結局、俺は毛布にくるまって物置に寝た。あまり、寒くなくてよかった。本当によかったと、何回も思った。
今回も、隼人篇をお送りいたしました。
次回も、楽しみにしていただけたら嬉しいです。