1997:千葉行き、片道、失恋ブルース
1997:千葉行き、片道、失恋ブルース
1997:千葉行き、片道、失恋ブルース
九七年、春。
予感は的中、胸騒ぎ。奪われる予感、秒読みの恋。カリスマ・佐伯は「6年生」。
マドンナ・結衣は「3年生」。
冷たくすればするほどに、なぜだか結衣の恋心、加速する。
うるんだ瞳、視線のサイン、好き好きアピール、直球勝負。
気づかぬフリの僕の「鈍さ」が、彼女の炎に油を注いだ。
(やめときゃいいのに、止まらない)――なのに、運命、急転直下。
気づけば僕ら「5年生」。
大病、休学、空白の一年。通院、闘病、這い上がる日々。
(どうすりゃ素直になれるんだ?)(どうすりゃ結婚できるんだ?)そんな僕を待っていた、大学サーク
ルの大誤算。
「蓮くん、死んだと思ってた」
勝手な死亡説、ひどい噂話。ここから始まる、悲劇の連鎖。
生きている僕の、目の前で、佐伯と結衣の愛のダンス。
見つめ合い、寄り添い、愛を確かめる。嫉妬、嫉妬、狂いそうな脳内。だけど僕は「ポーカーフェイスの
天才」。
平静装い、涼しい顔。それが裏目、大誤解。
「蓮も公認、応援してくれてる!」
2人の愛は、フルスロットル。
(認めた覚えは、一秒もない!)心の中でプリプリ怒る。
ストレス、限界、限界突破。
ついに倒れて、立ち上がれない。病み上がりの体、蝕むメンタル、悪化の一途をたどるだけ。そして迎え
た、終わりの合図。
卒業式の、その会場。2人が交わす、熱い視線。世界に2人しかいない、視線。
(終わった。終わった。僕は振られた)冷たくしてきた、ツケが回った。
心に突き刺さる、重い楔。
助手席、僕。
運転、おかん。
やるせない、消えない、喪失感。
千葉の、地元の、我が家へ帰る。
深く、深く、傷ついたまま。
(終)
秘密保持。




