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Blood Night Survivor 30人ファミリアvs俺  作者: すばる


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7/7

7 世界の力学

「小学生サッカーかよ」

 半分くらいは来ると思ってたが、これ拠点にいたやつらほぼ全員じゃないか?

 巣まで逃げ帰った俺の後を追って、ドラゴンアイのやつらがゴロゴロと入ってきた。それにしても相変わらず口汚いな。やっぱミュート機能は必要だって。

 一応置いておいた待機中のゾンビたちはドラゴンアイの高火力に薙ぎ倒され、ほとんど足止めにもなっていない。向こうは覚えちゃいないだろうが、まるで二ヶ月前の焼き直しだ。

「元から期待しちゃいなかったけどさ」

 大事なのは抵抗している様子を見せることだからな。おかげで敵は長く掘った洞窟をガンガン進み、奥地まで到達した。

 さて、じゃあそろそろ姿を拝ませてあげますか。本当は無言でやってもいいんだが、勝ち誇りたいじゃん?

「BNS物理学は履修済みか?」

 侵入者全員に聞こえるくらいでかい声を出しながら、俺は高い位置から見下ろした。

 BNS物理学。さっき作った造語だから知るわけないけどな。

 Blood Night Survivorの世界ではキャラクターは地面を掘ったり建物を壊したりと能動的に地形に変更を加えられるが、その際に木材ひとつ、釘の一本までなんて演算しきれないし、ゲームとして煩雑になりすぎる。だからこそ開発されたのが、ブロックによってできた世界における、簡易化された重量計算が生む独自法則。

 熟知していれば、柱一本崩すだけで全てが連鎖的に崩落する拠点だって作れる。

 というわけで実践編だ。

 銃口が俺の方を向く前に、耐久度をギリギリまで削っておいた柱を渾身の力で殴りつける。

 さーて、もう逃げられないぞ。狙いに気づいて後ろのやつが走り出したが、入り口が崩れる方が早い。それに落盤に巻き込まれたダメージは落下ダメージと同じく防具で軽減できない。全員まとめてお陀仏だ。高い位置から見下しながら慌てふためく様子をニヤニヤ眺めていると、ヤケクソみたいに飛んできた銃弾にぶち抜かれた。


 ◆


「そんなことしても無駄なんだけどよ」

 当然、俺だって最初から巻き込まれるつもりだった。というわけで予定通り、ドラゴンアイ本拠地近くの隠れ家でリスポーンした俺は、待機させておいた厳選強化済みのゾンビどもを指揮下に入れ、最後の攻撃のため動き始める。

 今頃は乗り込んできたドラゴンアイも全滅しているだろう。死に戻りすれば所持品はすべてドロップ。崩落で地下に埋まったので高価な装備も大量の弾薬も回収前にすべて消える。だけど狙いはそこだけじゃない。

「カチコミじゃオラァッ!」

 地下を掘り進めた隠れ家は、ちょっと土を掘ればドラゴンアイの本拠地の目の前に出る。一度目の攻撃でタレットが沈黙し、侵入口の開いた拠点。乗り込むのは容易く、一気に大乱戦となる。いや、乱戦じゃねえな。ドラゴンアイの反撃は限定的で、ガチガチに強化した我がゾンビ軍団が正面から打ちのめしていく。

 サバイバーの戦闘力は九分九厘装備に支えられたものだ。あの人数が一斉に死に戻ったら、予備の装備を身につけようにも大混乱だよな?

「殺せ! 壊せ! 全部だ!」

 蹂躙だ。普段は旨みもないから余計な施設破壊はしないけど、今日は一切容赦しない。途中から抵抗するプレイヤーも消えたので単調な解体作業へと変わったが、それもまた楽しい。時間をかけて育てた強力なゾンビが憎い敵の存在した跡を派手にぶち壊していく様子を見るのはなかなかに爽快だ。そうしておよそ一時間。不恰好なドラゴンアイの拠点は完全に破壊され、何があったかもわからない更地へと変わった。


 ◆


 その後の話をしよう。俺が拠点を壊滅させたドラゴンアイは、少し後に崩壊した。予想通り連中は方々から恨みを買っていたようで、弱ったと見るや多数のプレイヤーから攻撃を仕掛けられたのだ。拠点を再建しようにも度重なる襲撃でまともに建築もできず、物資も装備もほとんど失ったドラゴンアイには抵抗するだけの力も残されていなかった。

 これがひとつのチームから狙われ続けていたのなら、粘着プレイとして運営も警告を出しただろう。だが今回は雑多な勢力から狙われまくったせいで襲撃の総数が跳ね上がったという自業自得。

 もとより強い立場で弱者を踏み躙りたいなんて考えのやつ等が集まったチームだ。弱い立場に陥れば、抜け出すのは当たり前のことで、最終的に名前そのものが消失することとなった。

 解散後は萎えて引退したプレイヤーもいるだろうし、別の場所で別のファミリアに入ったプレイヤーもいるだろう。個別の動きまでは把握しきれない。ドラゴンアイの拠点跡地にも新たなサバイバーが住みつき、彼らのプレイした痕跡はこの世界から忘れ去られつつある。

 まあそれ以外に変わったことはない。俺は殺し殺されの日常を楽しみ、時折別ゲーに浮気しながらもディアボロとして暴れている。

 いつか飽きてやめるか、その前にサービスが終了するかはわからないが、少なくとも当分は、この殺伐とした日々が続くのだろう。


これにて本作は完結となります。

ここまでお読みいただき、ありがとうございました。

またよろしければ、高評価、ブックマーク、感想をぜひお願いいたします。

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