禁止8
「火事だ!」
急にこれほどの火事が起こる筈がない。
だいたい、レンガや石畳のこの町で、火がこうも早く回るものだろうか。
つまり――魔族。
魔とか、なんか仏教用語っぽさすごいから言わないが!
不安の中、炎が巻き起こる中心に向かうと、それは居た。
「出たな! 邪主のしもべ!」
炎の魔人。人型の炎。
そう形容するのが一番簡単な、屹立する火炎。
シャケテラスが怒りを込めてその炎に向き合う。
「名乗れ!!」
「ククク……おれさまは火の将・ポポフフーン」
名前の響き可愛すぎるだろ。
たぶん、点火の時の音とか、なにかしら由来があるんだろうけど、おれからしたらゆるキャラのネーミングにしか思えない。
っていうか、将?
いきなり、そんなの来る!?
「焼け死ぬがいい」
「そうはいきません。なぜなら、ここに勇者がいるからです!」
「えっ」
シャケテラスが、おれに振り向いた。
ちょっと待ってくれ!
まだ、力の使い方もよくわかっていないのに!
「ぬ、召喚者か。ならば消す!!」
ポポフフーンが口をすぼめ、炎を噴き出した。
「うわあ!?」
思わず目をつむってしまった。
だが、熱さはいつまで経ってもやって来ない。
目を開けると、魔法の障壁が展開されていた。
「ほう、パワーウォールか。勇者というのは嘘ではないらしい」
本能的に出していたのだろう。
だから、ここからどうしていいかわからない!
「どうしたのです! 反撃を!」
「そ、そう言われても!」
「いまはガマンだ!」
or
「戦い方教えて!」




