土左衛門
水死体てゆうか、溺死体。
愛の形が様々と言うのなら
憎しみと違わないものもありましょう
死が二人を分かつのを待ち兼ねて
手を汚したからって苛むお節介もない
別に首等 絞めずとも
息継ぎを幾つか遮るだけで
某は土左衛門を拝命するのです
なんとも見事な成れの果てじゃないか
あなたが其の余生と引き換えに
あたしにくれた自由 其れを大切に生きます
涙は無いけどせめて合掌で送るわ
愛に轍を刻ませて走れども
将来は望めないものもあるでしょう
願い事が潰えるを待ち侘びて
手を 拱くうちにも若さは失われてゆく
特に深くは沈めずに
バタ足がぴぃんと引き攣るだけで
妖の仕業だろと推し量ってくれる
なんとも無惨な成れの果てじゃないか
あなたの其の犠牲は尊くて
二、三日位なら喪にも服しつつ過ごそう
彼処で囁かれるは後家蜘蛛と陰口