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12月24日 朝
今日も、この日がやってきてしまった。何にがとは言わない。
「ふざけるな‼︎」朝から、威勢の良い声が響きわたる。何事かと駆けつける人もなく、いつものように母から「朝からうるさいよ」と、二階の部屋にいる、僕に言うのであった。そんなことを言われてしまっては、「僕の家系は代々浄土真宗を信仰してきて、訳のわからん念仏を、毎日毎日唱わされて、世間では、天皇陛下万歳天皇陛下万歳などと、言わされる日々なのに、なぜだ、なぜだ、なぜ、こんな日がこの大日本帝国に浸透してしまったのだ。」などとは、叫ぶことはできない。
それ以前に、日本男児である以上、このことに関しては心に秘めるだけで、言葉にはせず、黙って黒の学ランに着替え、机の上に置いてある学生帽を被り、父上と母上に挨拶をそれなりにして、家を後にした。