六ツ輪の轍

　人間と、あらゆる種の獣人や妖精とが共に存在する世界。
　かつて文明の圧倒的な力を得た人間の国々は、獣人とも妖精とも、同じ人間とも争い続け、支配し続けてきた。
　未開の地に住まう種族の多くは人間に従属し、或いは駆逐されていった。

　時は下り、41世紀中頃。
　少年ウルが生を受けた犬獣人国“ゼクス帝国”は、それまで人間の力の源泉であった科学力を習得し、近代的な国家体制を構築していた。世界有数の強国へと成り上がった帝国の勃興は、次第に人間諸国がこれまで主導してきた世界秩序を未開人である獣人が脅かすものとして捉えられる様になっていく。

　ゼクス帝国は予期される次の戦争に備え、新たな兵科を創設する事となった。
　“非文明的種族”に対する偏見の根強い人間社会において、獣人は野蛮な霊的能力を有していると根強く信じられているが、ごく一部の者の間ではそのような特殊能力を転用した兵器なのではないかと噂されている…。



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　序章は主人公の前日談のようになっており、特に序章はロボット要素が一切出てきません。
　はじめましての方はまず第一章の7話や、各章の【解説】をお読み頂き、もし作風や世界観がお気に召して頂けるようでしたら改めて冒頭からお読み頂けると嬉しいです。