7話 偽善
8話からめちゃくちゃ展開が早くなって行くのでご注意
1度ステラおばさんの家に戻ったリアムは2階の自分の寝室にクシェルを呼び出し今後のことについて話し合うことにした
「これからどうすると言っても、自分で決めればばいいんじゃない?」
クシェルから返って来たことを要約すると「自分で決めろ」と言うことだった
「そういうクシェルはどうするんだい?」
「私はこの村に住むわ、行くあてもないしね」
「生きていけるかなぁ…」
「とりあえずこの村でやりたいことをゆっくり探すのもいいんじゃないか?」
僕がやりたいことは決まっている
「僕は人を助け続けたい」
と言った途端クシェルの顔が急に影を帯びた
「あなたね、もうあんな危険なことはやめな」
彼女の放った言葉は心にズシンと重くのしかかってきた
「なんで?」
リアムは素直に疑問に思う
「あんたね、まず見ず知らずの人を助けるなんて本当はおかしなことなのよ?こんなことをするのは余程のドMか変態だ」
ドMは変態のうちじゃないのか、と変なところで気になってしまうリアム
「確かにリアムに助けて貰ったおかげで私は今の命がある、でもねあなたは本来敵国の兵士で西側の敵、そんなのがも西側の人々を救う行為なんてしていたらいつ死んでもおかしくないのよ?」
「それはそうだけど…」
リアムが喋っている途中でクシェルが割り込んでくる
「それになんで西側なんだ?」
「え?」
その時リアムの思考回路が止まった
「人々を助けるのは立派だが、なんでそこに東側の人々は含まれていないんだ?」
リアムは考える
何故
どうして
西側だけなのか
東側にも人はいる
別に東側に恨みがある訳じゃない
なんで…
「分からない」
リアムにはその答えが見当たらなかった
その瞬間どこからか分からない悲しみが込み上げてきた
「あなたねぇ…そんな覚悟で…」
「わか…らない…」
その時リアムの目から涙が溢れ出てきた
「ち、ちょっと!泣くことないじゃないか!」
クシェルは泣くことを予想していなかったのか慌ただしく手を動かして慌てふためいている
「ご、ごめんなさい!泣かせる気はなかったの!だからほら!泣くのをやめて!」
クシェルが相当慌てている様子を見てリアムは涙を袖で拭い
「ごめんなさい…取り乱しました…」
「えっと…その…大丈夫か?」
申し訳なさそうにクシェルがリアムの顔を覗き込んでくる
「はい…大丈夫です…」
「ごめんなさい、でも…」
袖で頬を伝う涙を
リアムはクシェルの目をまっすぐ見つめる
「…でも?」
「答えを見つけ出します」
力強くクシェルの目を見てハッキリと述べた
「その答えが見つかったらまず最初にあなたに伝えに行きます」
「…」
私は黙ってしまった、彼の意思に圧倒されて
彼の強さに圧倒されて、そして何より…
(こんなにハッキリ言うなら…)
私は彼を信じよう
「わかった、ではその時まで死ぬんじゃないぞ」
クシェルは微笑んだ、先程の顔にかかった影が嘘のようだった。
「はい、もちろんです」
リアムもそれに答えるように微笑んだ
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