コペルニクス的転回・英雄的発想(三十と一夜の短篇第44回)
症例① 特別攻撃隊
砲弾が敵に届かない。では、どうすればよいか。爆弾を抱えた機体を操縦して敵艦にぶつければ、百発百中ではないか。狂気、そう。しかし、計算されつくしている。彼らは犬死にではない。敵は事後、われわれを怖れるようになる。敵に恐怖を植えつける。心攻。最終的な勝利へと繋がる布石である。
症例② 25メートルフルトレーラー
運送業界は慢性的な人手不足。なり手もおらず、高齢化が進んでいる。そこで思いついた。10tトラックを二台連結して、ひとりの運転手で運行させればいい。単純計算で、人手を半減させられる。停車できる場所? 休憩? 知らない知らない。
症例③ オリンピックボランティア
奴隷が欲しい。唯々諾々と、従順この上ない奴隷が。交通費も宿代も自弁、給金はもちろん払わない。けれどきっちり拘束はする。就活に有利という特典をつける。働くために働かせる。大衆とはすべからく、御しやすくあるべきだ。
症例④ 一億総活躍社会
死ぬまで働け!
「やらされるほうは、たまったもんじゃない!」
えらいひとたちの思いつきというのは、迷惑きわまりないものです。
増税はするけど、老後の保証はしません。餓死してください。
オリンピックやります。総理といっしょに桜を見ましょう。
大型シュレッダーの性能を見るために、さらの白紙800枚を投入します。
地球温暖化だのエコだのグレタだの言っているひとたち。
日本からブラック企業がなくなるわけがないのです。