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Prologue*はじまりの炎

 私は『図書室の白い猫』である。

 名は……、ないことはないが、誰も呼ばないから、もう忘れてしまった。


 そう、私は『図書室の白い猫』である。

 この図書室のとある壁の一画に掲げられた絵画の中の白毛の猫。


 この図書室とともに何十年ここで過ごし、この部屋に出入りする人間の喜怒哀楽を見続けてきた。


 だがそれも、もう終わりである。

 なぜなら、この図書室は閉鎖が決まり、明日取り壊されるから。


 何でもない『図書室の白い猫』になってしまった私は、この図書室ともに、一生を終えると思っていた。


 だが、それは覆される。

 瓦礫とともに燃やされる炎の中で、封印が解除された。


 私にかけられた魔法がとけた瞬間であった。

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