('A`) 「コント」 ( ^ω^)「最初の町の勇者」
ピンポーン
('A`) 「はーい」ガチャリ
( ^ω^)「あ、どうも~。勇者さんのお宅でよろしかったですか?」
('A`) 「うちテレビ無いんで。じゃ」
(;^ω^)「違います!詐欺とかじゃないです!」
('A`) 「全知全能たる我が主にケチを付けに来たのか?無礼者め」
(;^ω^)「だから詐欺じゃないって!王様!王様からの使いです!」
('A`) 「ああ……はい。なんスか?」
( ^ω^)「『いい加減魔王倒せや』とのことです」
('A`) 「……はぁ。そんなことか。王には最初に言った筈だ。魔王を打ち倒すには長い時間がかかると」
( ^ω^)「しかし……もう既に2年も経っておられるのに、勇者様に目立った動きがないと」
('A`) 「そりゃ、ただ一人で行っても死ぬだけだからな」
( ^ω^)「ならば、何をされているのです?討伐の為の準備期間というのならばそれでも結構です!
しかし、せめて何をしているのかご報告がほしいのです!
報告さえあれば王様も納得していただけるハズ!」
('A`) 「……ふん。それで外野が黙るのならいいだろう。入れ」
( ^ω^)「ァザァーす!」
ガチャ、バタン
( ^ω^)「で、何されているんです?」
('A`) 「主を降臨させるのだ」
( ^ω^)「はい?」
('A`) 「主を降臨させるのだ」
( ^ω^)「はい?」
('A`) 「主を降臨させるのだ」
( ^ω^)「あ、ダメだこれ。ループ処理入ってるわ」
( ^ω^)「主ってなんです?」
('A`) 「はぁ……やはり無明の凡愚共は一から教えねば解らぬのか。
これだから他人に言うのは嫌だったんだ。奴らはただ脳天気に生を生きているだけだからな。
何の為に、何が故に、考え、行動し、生き、そして死にゆくなんて、意識してさえいない。
人間と宣っているが、その実獣と変わらない。豚だ!不満足な豚だ!
しかし、主は、ああ!そんな者にさえも等しく救いの手を差し伸べてくれる……
なんと!なんと慈悲深いお方であろう!
主がそのように仰るのであれば、私もそのようにせねばなるまい!」
('A`) 「すいません。すこし口が滑りました」
( ^ω^)「普段からローションでもお召しになってらっしゃる?」
('A`) 「主というのはですね。全宇宙の創造した者であり、全知全能。まさに我らを統べる“主”なのです」
( ^ω^)「無視かよ」
('A`) 「普段ならば、主は我らの無意識の外側から見守って下さっている故、こちらから干渉することは不可能なのですが、一つ、方法があるのです」
( ^ω^)「ほう」
('A`) 「世俗との交流を極力避け、自らの精神から“欲”を取り除く。その環境に身を置いた上で、ひたすら主を胸の内に懐き、瞑想を行うのです」
( ^ω^)「……ああ、だからテレビも無いんですね」
('A`) 「このようにして瞑想を続けると、いづれ自分の魂が、肉体から離れ、宇宙の意志と混ざりあうのです……」
( ^ω^)「え?混ざっちゃうんですか!?」
('A`) 「ええ。主は宇宙の外側に居られます。故に、主に干渉するには宇宙そのものになる必要があるのです!」
( ^ω^)「何言ってんだコイツ」
( ^ω^)「すいません。本音が」
('A`) 「良いですよ。すぐ理解してもらおうなんて思っていません。主も仰っております。“無知を赦せ”と」
('A`) 「おっと、客人を前にお飲み物も出さないなんて!失礼いたしました!」
('A`) 「不凍液でよろしかったですか?」
( ^ω^)「赦せよ」
('A`) 「冗談ですよ……喉も乾いていらっしゃるでしょう。どうぞ」コト
( ^ω^)「……なんかすごい粘性があるんですが……何ですかコレ」
('A`) 「ローションです」コト
( ^ω^)「普段から食べてるじゃねぇか」
('A`) 「昔からヌルヌルした食べ物が好きなんです。もずくとか、とろろとか」
( ^ω^)「まずローションは食べ物では無いんだよ」
('A`) 「良いですよ。すぐ理解してもらおうなんて思っていません。主も仰っております。“無知を赦せ”と」
('A`) 「おっと、不凍液でよろしかったですか?」
( ^ω^)「よくねぇよ。ループ処理入るな」
('A`) 「私の好みはさておき、これで解ったはずです。私が何をしているか。もう良いでしょう。さっさと帰れ。この家畜にも劣る薄汚い最低のゲス野郎が」
( ^ω^)「俺が何をしたっていうんだ」
( ^ω^)「うぅ~ん。しかし、これでは王様が納得してくれるだろうか」
('A`) 「まぁ所詮、ニンゲンという矮小な枠組みの中でイキっている、少し腕っぷしが良かった猿の子孫が何をどうこう言おうが、知ったこっちゃ無いんですけどね。どうせ理解する脳なんて持ち合わせていないでしょう?」
( ^ω^)「おまえのその言葉だけ報告してやろうか」
('A`) 「ふん。好きにしろ。最後には私に感謝することになるだろうがな」
( ^ω^)「ちなみに、多分アナタ勇者解任ですよ」
('A`) 「えええええ!!?なんでぇ!?」
( ^ω^)「そんな予想外のことでも無いだろ」
('A`) 「え?え?じゃあ毎月の給付金はどうなるの?免税特権は?」
( ^ω^)「剥奪ですね……お前の精神欲まみれじゃねえか!」
('A`)「えぇ……じゃ、じゃあ魔王を討伐した時の報奨金は?」
( ^ω^)「さあ。あ、王女との婚約とかも無くなりますね」
('A`)「あ!!まじかぁ〜…ってことは爵位授与もだよなぁ……
あー!欲しかったなあ!大公爵の地位と百の家臣と千の領民と万の領地!!」
( ^ω^)「世俗の化身じゃん。なんなんお前?」
('A`)「そりゃ勇者になるような人間なんて功名心の塊でしょ」
( ^ω^)「一理ある」
ピンポーン ガチャ
( ・∀・)「ちぃーす。あれ?先客?」
( ^ω^)「?」
('A`)「あ、すいません、来て頂いたところ。今日キャンセルで」
( ・∀・)「ええ~マジっすかぁ?出張料は頂きますよ」
('A`)「そこは勿論。はい。指定の口座に」
( ・∀・)「じゃ、またお願いします~」
ガチャ バタン
( ^ω^)「あの、先程の方は?」
('A`)「あ、デリ嬢です」
( ^ω^)「マジかお前」
('A`)「いや、そりゃ私も男ですし。それに勇者って結構キツイんですよ?」
( ^ω^)「『キツイんですよ?』じゃねぇよ!頭からD○ckの先まで欲取り除けてないじゃん!」
( ^ω^)「瞑想してないじゃん!デリ呼んでるじゃん!
混ざってんのは宇宙の意志じゃなくて女とじゃん!
主を胸に懐いてないじゃん!女の胸抱いてるじゃん!
そしてローションは本来の用途で使っとるやないかい!」
('A`)「お、落ち着いてください。ほら、こちらでも召し上がってください」
( ^ω^)「不凍液!!!」
( ^ω^)「あ!ちょっと!そこあるのノートパソコンじゃないですか!」
('A`)「SNSやってるんで」
( ^ω^)「だから交流を断てよ!!」
('A`)「フォロワーは10万人います」
( ^ω^)「パーティは0だけどな!!」
('A`)「ウッ」
( ^ω^)「あ」
('A`)「それは言っちゃダメな奴じゃん。そこらへんは傷がエグいの自分。過去にそういうのあるから。別に独りでも平気な人は平気。それでいいじゃん。やっぱりこの国って多様性がまだ中世」
( ^ω^)「くっそウゼェ」
('A`)「はぁ。もういいですよ。瞑想の邪魔です」
( ^ω^)「この期に及んでまだ言うか」
('A`)「魔王を狙うのは止めだ。主に頼んで王国を破壊してやるのだ!」
( ^ω^)「ああ、そうですか。じゃあ死刑ですね」
('A`)「え?」
( ^ω^)「いや。普通、王様に歯向かう奴は死刑でしょ」
( ^ω^)「それによく考えたらアナタ異教徒じゃん。これは確定死刑」
('A`)「え?じゃあ止めます。神も棄てます。すいません」
( ^ω^)「逃れられんぞ薄汚い最低のゲス野郎」
('A`)「大事なのは未来じゃん!過去のことなんてどうだっていいじゃん!」
( ^ω^)「さっきから矛盾が標準装備なんだよ」
('A`)「くっそ!もうこの国にはいられねぇ!逃げるべ!」ダッ
( ^ω^)「あ!待て!」ガシッ
ヌルンッ
( ^ω^)「なんで腕がローションまみれなんだよ!」
その時だった。眼の前が光に包まれた。
( ^ω^)「なんだこの光は!」
(神・∀・)「あ、どうも」
( ^ω^)「あ、どうも」
(神・∀・)「神です」
( ^ω^)「あ、いつもお世話になっております」
(神・∀・)「いえいえ」
( ^ω^)「何かご用件でも?」
(神・∀・)「ああそうだ、勇者くんっているかな」
( ^ω^)「今さっきトンズラこきました」
(神・∀・)「なるほど。棄教した者には死あるのみ。彼を始末しに来た」
( ^ω^)「なるほど。最初から詰んでいたと」
(神・∀・)「何かいい方法あります?」
( ^ω^)「うぅん。……あっ!」
( ^ω^)「不凍液とかでよろしかったですか?」