チートプレイヤーは巻き込まれる
*おい、おい、俺。人に言っておいてなんだよ。俺こそ国会の板垣退助の象だぞ。
その理由はこれだ。想像してなくもなかったが、この俺が異世界に来てプレーしようとしたら、まるでチーターだなんて。
レベル情報
一ノ瀨 快斗(17) 高学生
レベル 100 所持金 50000 資産 1000000
職業 全般可能
ステータス
体力 500
筋力 800
魔力 600
知力 700
耐力 500
敏捷 800
スキル(魔法) 一部所持
である。これを見て驚かない奴はいないだろう。ゲームの始まりにして、一度クリアしたプレイヤーのような能力持ち主であり、それに資産まである。しかもゲームの定番の所持金稼ぎ・レベル上げの初期段階がだいぶ省かれている。
詳しく話を聞いたのを要約すると、当然普通はレベル1であり所持金も1000ポイント程度で、ステータスが基準値なのはもちろん、スキルなど一つも持っていないという。更に、ほとんどの職業に3~4段階の熟練度がある。俺の場合、それが3か4が普通だという。
「他に何かありましたら、あちらの案内カウンターへお願いします。改めまして、一ノ瀨 快斗様。`異世界`へようこそ。我々一同、一之瀬さまの健闘とご活躍を心よりお祈りいたします」
俺はお礼を言いギルドを出た。それはいいんだがこの先はどうすればよいか迷うところである。とりあえずの資金はあるし……目の前にあるカフェにでも行くとするか。
「いらっしゃいませー。5番カウンターへどうぞ。注文がきまたっら画面をタップしてくださいですー」
そう接客してきた店員は、エプロンをした普通の顔の普通の人だ。
俺はコーヒーとサンドウィッチを頼んだ。俺の朝飯メニューである。
「お待たせしました~。コーヒー&サンドウィッチセット2つですよ」
明らかにさっきと違う。俺より背が低く小学生くらいか? ホットパンツにTシャツ姿の少女。ペッちゃんこのお胸だけど可愛いとは思う。
「ありがとうございます、って。君は店員じゃないよな。俺に何の用だ」
「怖いよ~。じつは君に用事があるんだよーぉ。合席させてもらえないかな? 駄目かな~。か・い・と・く・ん」
ジト目で俺の事を見てくる少女。俺がいじめてるかのような素振りまで始める。そしたら変に一躍有名になってしまう。
「嫌だと言っても、どうせ付きまとうんだろ。その代り少し落ち着いてくれないかな。朝からそんな声が頭に響くと頭痛がしそうだ」
「快君ひどいよ~ぉ。私を邪魔者扱いするなんて。でも、お邪魔するね」
俺はそんなの無視して、冷めないうちに食事をした。でも、礼儀正しい少女である。ほんとにこの光景、少女をいじめてるような画だ。さっきから、全然相手にしてやってないし、流石に話でも聞いてやるか……
「っあ、やっと話聞いてくれるんだね。こんな美少女をほっておいたらその辺の男に連れてかれちゃうぞ」
どうぞ、持っていってください。なんて思ったら、聞こええたらしく、ひゃくれつ〇球を食らった。……え。心の声が聞こえる? 彼女曰く、スキルとして〈読心術〉を持っているようだ。
*まともに受け取るなよ俺、少女の言葉を。流石にここだって法律ぐらいあるのだろう。だとすれば、少女をナンパした時点で即逮捕だろ。即逮捕。
「まず、名前ぐらいは名乗ったらどうだ。俺は、一ノ瀨 快斗。今日からこの世界に来た」
「それぐらい知ってるよ。私はね。ミーシャ・マリア。この世界に来て何年ぐらいなのかな~あ? 教えないけどね! 教えちゃったっら年齢特定されるもんねぇ。君が私に質問したいことはわかるんだよ~。私のスキル〈読心術〉でね。それと、君の事は半年前から知っていたよ」