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人族なのに、魔物の王の王になってしまいました  作者: 星村直樹
良き隣人と虚ろな商人の王
33/43

1日めは圧勝

 戦場は、歩兵が加わりだし、混戦状態になってきた。ここに、オークの歩兵が参戦した。ここに入ってくる人数を壁で制限しているのだが、押し負けては、元も子もない。相手にこの有利な戦場に、陣地を作らせるわけにはいかない。オレの馬救出作戦をよそに、更に激しい戦いが展開され出した。


 こりゃ、こっちも死人が出るなと思う。ボイには悪いが、おれも、負傷者の救出に回ることにした。救護しているワーグのメスを守りたい。それが負傷者を守ることに繋がる。おれは、戦場の上空に上がり、救護をしているメスのワーグを狙う暴漢をファイヤーボムで、蹴散らしだした。敵は派手に、ドガンと吹っ飛んでくれる。これを見たその近くの他の敵たちは、ワーグのメスを狙うのをやめた。しかし、敵はどんどん入ってくる。そのたびにワーグのメスを狙うやつも現れる。おれは、空中で仁王立ちして、そいつらを仕留めることに集中した。上から見るから良く分かるが、大混戦だ。しかし、壁のこちら側に入る入り口は狭い。騎馬隊がいなくなり出すと、こっちが押し返しだしたのが分かる。


 敵騎馬隊は、壁の向こうの遠くに、まだ何千かいるが、ここに到達できないメイジ兵などは、更にその奥だ。遠くでは、まだ、岩板がドガンドガンと立っている。ちょっと作りすぎたかなと反省。本当は、こんなにうまく行くとは思っていなかったので、頑張って、永遠と岩板を置いていたのだ。





 太陽が中天にかかるころ、巨漢の騎馬騎士と巨漢の鬼人の勝負がついた。痛み分けだ。鬼人の巨漢は、この人間も助けてくれとワーグのメスに訴えた。二匹のメスのワーグは、バカな男たちだねと言わんばかりに、雑にその二人をソリに積んで、救護のテントに連れて行く。この後二人とも、救護テントで、傷跡を消すなと暴れたらしい。度し難い連中だ。メスのワーグを介してミヨが、どうしましょうと言霊を飛ばして声を掛けて来たから、好きにさせてやれと言った。

「傷口を消すなというんだ。自力で立てない以上、戦場には出すな」

「その通りです」

 救護班のワーグを怒らせると怖い。



 それにしても、敵の統制が取れていない。たぶん将軍たちが、皇帝の言葉でもめているのだ。それに、おれがメイジ隊の機能を奪ったから、都との連絡がうまく行っていないのかもしれない。おかげで、こちらの戦果は目覚ましい。


 人間の歩兵の中にも怪物がいた。そこに、ハイオークの若者が立ち向かった。また、豪傑同士の戦いが始まった。

 この戦いに弓で茶々を入れようとしている敵兵がいたので、ファイヤーボムを見舞ってやった。ハイオークの男は、希少なので、敗けそうになったら、割って入る気でいたが、いい勝負をしている。


 この戦で目覚ましいと思ったのは、数頭のワーグのメスだ。混戦の戦場を縫うように進んで負傷兵を救護していく。思った通り、こちらも助からない者が現れ出したが、それも連れて行く。そして、彼女らは、風を纏いだした。彼女たちに、風の加護が現れ出したのだろう。


 ハイオークと人間の豪傑の戦い以外は、ずいぶん押している。おれたちは半日で、敵を4千以上屠ったのではないだろうか。そろそろ、後続の騎馬隊が、ここに侵入してきそうになっている。

 ザインが、オークを引かすのをぎりぎりまで待っている。騎馬にオークは無理だ。しかし、豪傑の戦いが続いているので、その戦いをぎりぎりまで見てやる気なのだろう。

 しかし、おれが焦れた。もう、オークたちが引かなければいけないタイミングだ。そして、ザインもあきらめた。引き上げの銅鑼を鳴らした。ハイオークは、仕方ないと、引き揚げた。

 その時騎馬が乱入した。その、豪傑の歩兵は、馬に踏み潰されるような位置。仕方なくおれが、ドカ、バキッと。そいつを気絶させて、ワーグの救護班に託した。ハイオークの若者は、おれに頭を下げていた。


 戦場で、変な友情って、本当に芽生えるんだなと、つくづく思う。


 騎馬兵は、今度は、エルフ達の餌食になっていた。鬼人族は、端で、休憩中。そこに、ワーグ隊本隊が、ハイオークのお嬢さんたちを連れて戻ってきた。それは、横からではない。塩湖の最終防衛ラインの壁を起こしに行っていたので、天幕の後ろからだ。騎馬隊は、エルフの矢に続いて、ワーグ隊と戦うことになった。ワーグ+ハルク族は、ちょっと反則なぐらい強い。騎馬隊は引き返したいが、後ろが支えていて、引き返すことも出来ず壊滅状態。おれは、また馬の救護に回った。



 夕方になった。敵が引いて行く。初戦は、我が方の圧倒的勝利に終わった。おれは、通路になっていた岩壁の通り道を巨大な土壁で覆った。


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