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第四話【俺は何も変わってない!】

おはよう。現在の時刻は朝の八時五分、窓から差し込む朝日が眩しい時間帯だ。いつもは昼前に起床し午後から活動するので、この時間帯に起きるのは久々だ。少し体が重い。慣れない枕で寝ていたため尚更。


結局のところ目を覚ましても帰ることは出来なかった。


「寝たら帰れるかもしれないわ!」というメリーの言葉は大ハズレ、知らない天井から俺の一日は始まったのだ。絶望した。隣で少女たちが寝ているという褒美付きではあるが。二人は未だに寝息を立てて眠っている。ぶっちゃけ俺が幼女趣味で無かったらこの状況に狂喜乱舞していたと思う。


──だが、俺は絶望した。


何でかというと。俺には「チート能力」も「ステータス画面」も無かったのだ。起きた瞬間に「ステータスオープンッッ!!」と技名を叫ぶ要領で言い放ったのだが、何も起きなかった。魔法を使おうと「燃えよ! エクスプロージョン!!」とドスの効いた声で叫んでみたが何も起こらなかった。(今思うと発動しなくて良かったけど。)剣を振るってみよう! とその辺に都合よくあった鉄の剣を持ち上げようとしたが、ビクともせず何も起こらなかった。


何も、変わっていないのだ。異世界モノではお決まりのチート能力が備わっていない。これはあってはならない事態だ! 楽して幼女とランデブーしたいわけじゃないけど!


……思い返すだけで辛い。だが、いつまでもクヨクヨしているわけには行かない。俺はこの家を探索してみることにした。勇者ではないので、タンスは探らない方針で。


まず俺が目を覚ましたこの場所はレティの部屋のようだった。扉に「レティ」と刻まれた木の板が飾ってある。部屋も綺麗に片付けられていてどことなく彼女らしさを感じられた。ここはレティの家なのだろうか。女神に家があるとは思えない。


(……レティとはあまり話せてないんだよな……。メリーとはかなり話したが)


そうだ。俺は昨日罵倒されて以来彼女とはほぼほぼ話していない。というか避けられてる……? 寝る前にちょっとだけ声を聞いたが、ろくでもないことを言っていた気がする。確か……


『女神様、もう一度赤い糸の先をちゃんと調べてくれませんか? あの地味な男と私では不釣り合いだと思うのですよ!』


……よし、思い出すのはやめよう! この部屋にいるのも色々ぶり返してつらいので、他の部屋を探索してみることにした。ドアを開けると階段と扉が見えた。


(下の階か、ここの扉か……)


少し悩む。今更だが、人の家を勝手に探るのは悪いことなのではないだろうか……。いや、考えていても仕方がない。もし怒られたらそのときはそのときだ。人間、好奇心には勝てないのだ。幸い、罵倒されるのには慣れている! 悲しいけど! 俺は扉の方を探ってみることにした。ドアノブをゆっくりと捻って自分の方に引く。


と、そのときだった。


「それ、押すタイプのドアですよ」


後ろから女性のものと思わしき声がした。一気に血の気が引いていき冷や汗が吹き出す。頭の中で警鐘が鳴り響く。俺は震えながらぎこちない動作で振り返った。そこには案の定というべきなのか。


「レ、レティ、さ………」


どこか威圧的な笑顔を見せるレティが立っていた。

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