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虚ろのロトル  作者: 干物人間
2/5

祝福の卵

 晴れた。


 隙間から朝日が差し込んでいる。昨晩降り出した雨に今日の旅路が心配されたが、どうやら問題はないようだ。


 夜通し灯っていたランプから火を消し、愛読するコミックをベッドに放り投げた。長時間椅子に座りっぱなしだったからか腰から大腿部にかけて多少の違和感はあるが問題ないだろう。


 カーテンを開くと覗いた太陽の高さから推測するに、出発まで後2時間ほどあるだろうか。いい加減時計を設置するべきかとは思うものの、めんどくさいのが半分、いつこの家を出ていくかもわからないのが半分でいつまでも取り付けられていない。


『んくぁぁぁぁぁぁぁぁズぐぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ』


「……」


 この大変下品で詰まった排水口に汚水を流したような音は同僚…とは言いたくないが、竜人・グラームのいびきだ。職場の計らいで隣の宿舎に住んでいる。お節介にも限度があるのではないか…?


 どうあれ、今日の仕事に遅れるのはあまりよろしくない。本来であれば放置して遅刻出勤させるのが常であるが今日ばかりは叩き起こしてやるとしよう。



 ※※※



「…おめぇよ、加減って言葉知ってるか…?」


 何やら腹を抑えたまま呻くようにいう竜人。


「お前よりは知ってるつもりだけど?」

「気持ちよ〜く眠った無防備な野郎の腹に強化した拳を振り下ろすやつがあるかぁ!?」

「普通に殴ったんじゃこっちの拳がどうにかなる」


 済ました顔で先を歩く少年。しかし竜人も殴らず起こすという考えはなかったのか?とは言わない。自分がその程度で起きないことはとうの昔に知れていたからだ。


「それよりお前、今回の仕事内容把握してるのか?」

「あ? 確かー、あれだろ?鳥人族との友好関係を深めることと、なんとかの卵ってのの調査だっけか。持って帰ればそれでいいっつってたな。今回も張合いがねぇや…」

「そうだな…。手早く済ませたい」


 いかにもつまらないといった顔の2人。強敵と対峙することをよしとするのがこの2人最大の共通点だ。


 しかし、強い敵が現れれば取り合いが始まり、不完全燃焼であればフラストレーションから私闘が勃発する。知性種(ちせいしゅ)総合(そうごう)取締課(とりしまりか)稀代のホープとも呼べる2人は、同時に悩みの種でもあったのだ。


 道中市場を横切って近道をすることにした。市場とは言うものの屋台の群れではあるのだが、朝から随分活気がある。人族の(みやこ)はこうした商売が特に盛んで、ある種名所ともなっているほどだ。


「グラ。ん」


 顎で促すと「へいへい」とロトルの前を歩き始める。身体の大きなグラームは威圧感があるため人避けに使うこともしばしばだ。


「あ、グラームじゃん! ってことは後ろにロトルもいるのー!?」


 騒がしい商人達のざわめきよりもさらにやかましい声。


「よー、リフィトル。買い食いかぁ? 一本寄越せよ」

「一本じゃ足りないっしょ! 俺別の食べたいから残り全部やるよ」

「バーカお前、つまみ食いってのは少しだからウマいってもんだぜ。ま、もらうけどよ」


 紙の袋に入った串焼きを受け取るグラーム。確かに彼のサイズからすると大変小さなもので小指ほどの大きさしかない。


 途端、青年がグラームの脇腹からひょっこり顔を出した。


「ロトルまた派手にやったんだってなー! でもそれで"フォウゲン"まで行けるんだろー。いいなぁー、俺も行きたい」


 この青年の名はリフィトル。歳はロトルよりも3つ上の17歳で、ボサボサの髪に年齢の割には低い身長が人懐こさを感じさせる。こう見えても大変な読書家で、書籍や文具類の特別監査員でもある。つまりは彼もロトルの同僚で先輩となるのだ。


「仕事だよ。なんなら変わってもらいたいね」

「やー、それはロトルが人助けした結果なんだろ。じゃ、俺じゃなくてロトルが行かなきゃな。『授かるは費やした者のみ』って言うしー。俺にもこのあと仕事があるしなー」


 当然仕事を変われというのは軽口ではあったが、こうもしっかりと断られては二の句が継げないというもの。


 余談ではあるが先程の(ことわざ)も意味はわかるものの聞いたのは初めてであった。何しろロトルの読み書きができるようになったのは3年前のことだ。


「そいじゃなー、お土産頼んだぞー!」


 リフィトルは瞬く間に小柄な体を人混みに紛れさせた。かと思えば、


「おばちゃん、そのソースかかったやつちょうだい!」


「行くか…」

「おうよ」


 口元にタレのついたグラームを盾に再び目的地へと歩き出した。



 ※※※



「ロトル様とグラーム様でございますね。この度はダチョー便をご利用くださいまして誠にありがとうございます」


 迎えたのは制帽を被った足の長い鳥人族の男だった。


「フォウゲンまでは2日ほど要しますゆえ、約4時間ごとに各町でのお食事をとっていただき、人員入れ替えのための弊社拠点による小休憩を2度ほど挟ませていただきます。可能な限り快適な旅をお届けできるよう安全運転でまいりましょう」


 ダチョー便というのは、鳥人族のダチョウ種と呼ばれる者達で構成された運輸業者である。ダチョウ種特有の脚力と持久力で人、物問わず迅速かつ安全に送り届けることをモットーとした業者だ。なんとも原始的ではあるがこれが誇大広告ではなかったため、魔動四輪を差し置いて富裕層の人気を勝ち得た。


「はっはっはっ、すげぇな兄ちゃん! オレの足もおそかねぇが、この速度をずっと維持するとなるとどうだかなぁ?」

「恐れ入ります。この足と、遠くまで見渡すことのできる目だけがわたくし共の取得ですので」


 満更でもなさそうな運転手兼牽引者。


「…やっぱりいいな。異種族は。どれも強そうだ」

「お前オレよか節操ねぇよな…?」


 ロトルのつぶやきを聞かれていないかとヒヤリとしたグラームだが、幸い走行音に掻き消されたようだった。



 ※※※



「あとどんぐらいでつくんだい兄ちゃん」

「何もなければあと2時間ほどで到着いたしましょう」


 運転手が笑って答える。彼からしてみれば3度目だがこの旅で通算7度目の質問だった。


「そういや、2人目の兄ちゃんが言ってたな。なんでもたったひとりで盗賊をやってる奴がいるとかなんとか」

「ああ、その話ですか…。ええ、こういった送迎車両ではなく、商業用の積荷を載せた運送車両が主な対象ですが『積荷を置いていけば危害は加えない』という旨の警告をするそうです。わたくし共はこの仕事に情熱を持って取り組んでおります故、誰ひとりとして反発せぬものはおりませんでしたが…」


 声色に元気がないのは疲れているせいではあるまい。


「抵抗した者の(ことごと)くは何がなにやらわからぬまま積荷を奪われ怪我をして戻って参りました…。犯人は全長180cm以下の黒いローブを纏った者だったそうです。声は男のものだったとか…」

「ほぉーん、ま、なんかあった時はまかしてくれや。力で解決することならあらかたどうにかできるぜ!」


「それは頼もしい」と運転手は朗らかに笑った。


 とはいえ、特になにが起きるわけでもなく、2人は目的の"フォウゲン"へと辿り着いたのだった。



 ※※※



 現地についた2人はすぐさま豪邸へと案内された。


「ようこそお越しくださいました。ロトル様、グラーム様。招待という形でしか恩返しのできない私をどうかお許しください」


 出迎えたのは1週間ほど前にロトルとグラームが救出したうちのひとりである鳥人族シチメンチョウ種のクラティ氏だ。館の主人自ら出迎えとは余程義理堅い人物らしく、初対面時から2人には頭が上がらない様子だった。


「お出迎え感謝します。知性種総合取締課特別監査員ロトル、並びにグラーム、ただいま到着いたしました」


 相も変わらず素っ気のないロトルが定型的な報告を述べる。


「長旅でお疲れでしょう。まずは湯浴みでもいかがでしょうか?」

「そりゃいいな、そうさせてもらうぜ!」

「では、お荷物をお部屋までお運びしておきます。なにかありましたら館のものになんなりとお申し付け下さい」


 2人は侍女達に付き添われ浴場まで案内されることとなった。鳥人達は湯浴みや水浴びを好み、富裕層には大浴場を設ける者も少なくはないのだとか。クラティ氏もその中のひとりだったようだ。


「いやぁ、あんなにデケェ風呂は初めて見た!」

「普通の風呂じゃ、最悪浸かることさえ難しいからなお前」

「全くだぜ…っとによぉ、人族サイズはなんでも小さくていけねぇや」


 人族の大人8人分はあろうかというグラームは湯船に浸かるだけで水嵩が急激に増してしまうが、大きな浴場はグラームに適していたようで大変リラックスできたようだ。


 2人はまもなくして夕餉(ゆうげ)に呼ばれた。鳥人族の食事で主となってくるのは肉と果物なのだが、国内では身体の大きな動物を食してはいけないという決まり事があるためネズミや魚、昆虫などを扱った料理が多い。果物は人族であるロトルが食べやすいようにと剥いてくれているようだ。


「それでは遠慮なくお召し上がりください」

「ええ、いただきます」


 ロトルはなんの躊躇(ちゅうちょ)もなくオオイモムシのソテーに齧り付いた。


「オメー、ほんと人族にしちゃたくましいよな」

「……」


 グラームも食用ネズミの丸焼きをひと口感覚で頬張る。ソテーを飲み込んで口の空いたロトルは言う。


「確かに人族じゃ抵抗のあるやつも少なくはないけれど、最近は随分緩和されてきた方だろ。味も悪くないぞ」

「やぁ、なんつーかな。まぁいいんだけどよぉ」


 珍しくロトルの嫌がる顔が見れることを期待していたとは言えないグラームであった。


「そういえば、クラティ氏。食事中で申し訳ありませんが質問よろしいでしょうか」

「どうぞなんなりと!」

「では遠慮なく」


 ロトルがズボンのポケットから何やら紙片を取り出す。


「祝福の卵というものをご存知ですか?」


 ふと、場の空気が変わったように感じた。周囲の動きがソワソワとし始めたうな……。


「いえ、存じ上げませんな…」

「それは失礼しました。実はこの度、調査を申し付けられておりまして。今晩はこの館に泊めていただいて、明日(あす)からそれについての調査を…」


 突如客間の隅で待機していた1人が我慢ならんと言ったようにロトルに突進した。つられてその場の全員が臨戦態勢に入る。


「…!?」


 突進してきた男の鋭い蹴りがロトルを襲った。身体能力の高い鳥人族の蹴りは人族のそれとは比較にならないものだ。

 ロトルは重心を後ろに移動し蹴りの軌道を左手で外にずらす。突進速度が凄まじいものであったため2人はすれ違うものかと思われたが、いなした左手でそのまま鳥人の首を鷲掴みにして床に押し伏せた。続く者達に対応しようとロトルが顔を上げた途端


「やめんか!!」


 クラティ氏の怒声。これにより始めに突っ込んできた鳥人も抵抗をやめ、床に押し付けられたままの体勢で静かになる。


「その方は私の命の恩人だ! どうあってもそこは変わらん。そもそも、お前達が束になっても絶対に敵わない。頼むから無駄な怪我を負うようなことはしないでくれ」

 

 2人の実力を実際に目の当たりにしていた彼は必死の様相で静止を呼びかけた。ロトルはいまいち状況が飲み込めずにいたが無言のまま警戒を続ける。


「しかし、彼らの調査が行われれば恐らく…」

「その時はその時だ。いずれそうなる時は来た。遅いか早いかの違いだろう」


 従者の言葉をクラティ氏が低く(さえぎ)る。


「ですから!そうなる前にミレディ様をお助けしてという算段だったではありませんか!」

「…このままいくしかあるまい…証拠は少ないが間違いなく調査くらいは行われるだろう」


 2人は歯噛みするようにして言葉を交わす。


「すまないがまるで話が読めない。説明を頼めますか?」

「ああ、ロトル様。このご無礼を許せとはもうしません。しかしながら私の話をどうか聞いていただきたい。全てを洗いざらい話します」

「そちらが攻撃しないのならこちらも危害を加えることはしません」

「かたじけない…。席にお戻り願えますか…」


 ロトルは言われるがままに従った。


「何から話せばよいことか…。私には娘がおりまして、名をミレディともうします」

「……」

「ミレディは成人を迎え、意中の相手というものはおりましたが…私がその相手との婚姻を認めなかったため、未婚でありました…」


 ミレディ、というのは先刻従者の1人が口にした名前だったか。


「その相手というのがカラス種のフラックというものでした。ご存知であるとは思われますが、同じ種族であっても種の異なるもの同士の間に子は生まれません…。私にとってこれも反対の原因であったことを否定はできませんが…」


 それはこれまでには見せたことのない憎悪の感情であった。いかにも憎々しげに拳を握り言葉を絞り出す。


「カラス種というのは元々鳥人族の中でも狡猾な連中でした…。種族でさえまとまりのなかった時代には仲間の死体すら食い漁るほどに意地汚い連中ではありますが頭はよく回るのです…」


 カラス種の噂はよく耳にしている。というよりもロトルが鳥人族を相手に"仕事"をせねばならぬのはその殆どがカラス種であったのだ。


「…続けてください」

「はい…。娘は再三の私の忠告を無視しました。私も頭の硬い父親としてありたくなかったため、あまり強くは言いきれませんでした…。しかし、ある日から娘が帰ってこなくなったのです」

「なるほど。しかしそれと卵にどういった関係が…」

「……脅迫です」


 ポツリ、と。心底悔しそうにクラティ氏は答えた。


「すぐに娘の捜索届けを出そうと準備を始めた私たちの元に羊皮紙に綴られた1通の手紙がいえ…脅迫状が届いたのです…!」

「…内容をお教え頂けますか?」

「…ええ、差出人はフラックの親であるモンテグストという者からでした。奴はカラス種の商会組織を経営する責任者でもあります。手紙には『おたくの娘さんは息子と仲がよろしいようだ。大変喜ばしいことでございます故、記念に商談を1つ提案いたしたい。興味があるようであれば20日の夜7時にカナリアレストランで落ち合いましょう』と」

「…僕が調査に駆り出されるわけだ」

「…?」

「いえ、お気になさらず…それで、その商談にはご参加なさったのでしょう?」


 しかしまだわからないことは多い。そもそもロトル達は祝福の卵について何も聞かされていないのだ。まぁ、大方の察しはつくというものだが…。


「ええ…当然私は娘を人質に取られているわけですから出席いたしました…。レストランにはモンテグストと数人の取り巻きがおりまして、商談の内容を語りました。その商談こそが、"祝福の卵を私どもの商会で売れ"という要求でありました。卵の全貌を知った私は当然…!…………断れませんでした…」

「失礼、こちらは祝福の卵について名称以上のことを存じあげません。そちらも含めて説明願えますか?」


 クラティ氏は目を丸くする。


「おお、まさかご存知でなかったとは…。祝福の卵というものは言ってしまえば──」


 語るクラティ氏は気が気でないようだ。



「危険ドラッグです」


 やはり。ロトルは胸中で合点した。


「なるほど…」


 上からは知らされていないことだ。恐らくは確証がないうちから嫌疑をかければもしも、ということもある。僕はそのための保険であったのだろう。要するに、ただの雑用のはず──だった。


「それではクラティ氏。あなたはその祝福の卵を今も売っておられるのですね?」


「はい。ただ、言い逃れをするわけではございませんが…」


 それは予想外の答えだった。


「我々が売った祝福の卵の中身は、全て別のものと取り替えてあります」

「と申すと?」

「実際に見せた方が早いでしょう。すまないが、在庫から両方とも持ってきてくれないか」


 間もなくして使用人が(くだん)の物体を運んでくる。祝福の卵、という名の通りそれは卵の形をしており、柔らかなクリーム色であった。よくみれば片方の卵の先端部には黒い点がひとつ置かれている。


「こちらの黒い点のある方が我々が作った偽の卵です。卵は下部を火で軽く炙り、熱された殻が手で持てるほどに冷めるのを待ってから殻のてっぺんに穴を開けることで放出された煙を吸うというものです」


 炙ったものを吸い込むというのは危険ドラッグではありがちな話だ。


「我々は興奮剤と活力剤を混合させて、同じ見た目で一時的に使用者を騙し、できうる限り体に害をなさないものを作りました。黒の点は穴を開ける位置を示すためだけではなく、本物との見分けをつけるためにつけられたものです。当然、買い手の求めるような効果はないので苦情もいくつかきておりますが…」

「…なるほど。つまり本物はひとつも流出させていないと?」

「我らの神々に誓って…」


「ふん…」と息の抜けるような嘆息をひとつ。


「わかりました。予定通り明日から調査を開始しますが、あなた方の罪状について今は触れません」

「なんと!?」

「薬物に関しては私の管轄外でありますので」

「こちらとしては願ってもない話ですが、本当によいのでしょうか…?」


 おずおずと確認するクラティ氏。その顔に先程の激情は見られず、むしろひどく狼狽した様子だった。


「聞いたところあなた方は法には触れているものの被害に遭った側であるようですし…。先程も言ったように管轄外です。それでも恩義に感じるというのなら、協力を頼みます」

「それこそ願ってもないことであります…。なんなりとお申し付け下さい!」

「そうですか。であれば、まず情報収集及び提供と……、予定通り寝床をお借りしたい」



 ※※※



「んだよぉ、オメェ今回の仕事妙にやる気じゃねぇか?」

「なんだ、お前。気づいてないのか。それならいいや」


 見向きもせず熱い茶を啜るロトルが何やら荷物を漁る。取り出したのは小さなガラス玉だった。それを軽く握りしめ、めいいっぱいの魔力を込める。


「マミズ、聞こえてるか。マミズ」

『……? ロトルかい?どうしたんだい、これほどの距離で"ハナシガラス"を使うなんて珍しいな』

「ああ、だから手短に済ませたい。端的に言えば祝福の卵についてあらかたわかった」

『!? …仕事が早いな…。そうか、ならばあとはそちらでの生活を楽しんでくるといい。できることなら1つ持ち帰るというのは変わらず、だ』

「そのことだが、現地で詳しい者を見つけた。引き続き調査を続ける」

『な、何を馬鹿な!? それは君の管轄から外れているだろう』


 声を荒らげるマミズ。


「お前も中々鈍いな。この調査が僕に回されたのは、おそらくあのジジイの差金だ」

『局長が? そんなわけ……ないとも言いきれない…か』

「流石に魔力供給がしんどくなってきた。要求がひとつある」

『なにかね?』

「ジジイをこっちに寄越せ」

『な……なんだってーーーーーーー!? ──「静かにお願いします!」──あぁ、すまない…。で、局長をそちらによこせとはどういうことだ!あの人もあれはあれで忙しい身で──「いいよ」──って局長!? いいんですか局長!?』


 何やら騒々しい。


「じじい、いるのか?」

『ああ、いるよ。可愛い孫の頼みだからね。今からだと明後日になるけど、よいかな?』

「誰が孫だ。明日の朝には出発しろ」

『承った。しかし、お前の魔法具、便利だが燃費が大変悪いな。どれ、今度そっちも一緒にみせて…』

「切るぞ?」


 返事を待つことなくガラス玉へ送られていた魔力を絶った。


「グラ、明後日の正午過ぎだ。それまでに情報を集めて乗り込むぞ」

「あ?」




 ※※※




 2日後正午過ぎ、ロトルは言葉通りにモンテグスト商会の正門前に到着。門前には2人のカラス種が立っている。門番といったところだろうか。


「こんにちは。…知性種総合取締課特別監査員のロトルです」




 ──正門が吹き飛んだ。

大変遅れましたが2話となります。


鳥人族の中でも〇〇種と出す度に習性や生態についての調べごとが増えてばかりですが、やはり脚色させていただいてる部分もございますね〜…。


3話は完成次第更新させていただきます!


最後にここまで読んでくださってありがとうございました!

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