第六話「彼らの関係」
「彼らの関係」
ナイトの返事を聞いて安心したのか、マリアは
「まあ、頼もしいわね。じゃあ守ってもらっちゃおうかしら♪」
と嬉しそうに答えた。
するとゴールドは面白くない、といった顔で
「え〜、じゃあ僕はもうお払い箱??もう僕のことは頼ってくれないの・・・??」
と寂しそうに答えた。
マリアは子供をなだめるように優しく返答した。
「うふふ、ゴールド。そんなことないわよ。あなたは強いもの。これからもバリバリ働いてもらうつもりよ。子供相手に駄々こねないの。それよりロッドは??彼に私がいなかった間の報告をしてもらわないといけないんだけど・・・。」
マリアは騎士団にいるものの、性格が非常に温厚なので騎士団の中でも男女問わず人気がある。
彼女が来た途端、彼女の癒しオーラを恩恵を受けようとたくさんの人々が集まってくる。
その間をくぐり抜け、ロッドがやっとの思いで姿を現した。
「報告が・・・送・・・れて・・・申し・・・訳・・・ござい・・・ません・・・。今日・・・は・・・一人・・・団員が・・・加わ・・・りました・・・。」
毎度のことながら人の壁を抜けるというのは重労働である。ロッドは息も切れ切れに報告を済ませた。
「あらロッド・・・。ごめんなさい。こんなところまでこさせちゃって・・・。加わった団員というのはナイトのことね??わかったわ。ご苦労様。」
マリアはロッドの状態を見て、申し訳なさそうに返事を返した。
さすがにこれ以上団長に謝らせるのは気が引ける。まだ疲れてはいるものの、もうそんな姿は見せまいとロッドはわざと元気そうな姿で言った。
「そうです。彼が新人です。団長にまでご心配をおかけして申し訳ありません。もう大丈夫です。」
ロッドはそこまで言い終わると、次はナイトの方に向き
「あ、そうだナイト、入団の手続きがあるから俺についてこい。」
と彼を呼んだ。
ナイトは黙って彼のもとへ行った。
彼の行動を確認するとロッドはマリアに一礼し、ナイトとともにその場を後にした。
ナイトは早足で前を歩くロッドに追いつき、素朴な疑問を聞いてみた。
「なあ、ロッド。ゴールドはマリアとどういう関係なんだ??友達とはどこか違うようだが・・・??」
「ああ・・・??そのことか。お前はホント、ませガキだなー。さっきのお返しか??」
ロッドはだるそうにいうと、続けた。
「ゴールドにとってマリア様の存在っていうのは確かにかけがえのないものだ。だが、恋人同士ではない。マリア様はもう結婚してるしな。あいつからみれば・・・まあ、恩人みたいなものかな。」
「恩人??」
ナイトはもっと深く追求したがロッドは
「そこから先はあいつのプライベートに関わるから俺が話せるようなことではない。聞きたければあいつに聞くんだな。」
といって立ち会ってくれなかった。