第五話「大切な人」
「大切な人」
「ってか君さあ、なんでその歳で騎士になろうと思ったの??もしかしてスーパーマンにあこがれて??」
ゴールドは軽いジョークを混ぜながら、彼が来たときから気になっていたことを質問した。
するとナイトはさっきとはうってかわって微笑みながら優しい口調で答えた。
「守りたい者がいるからだ。俺が強くなれば、彼女を守ることができるからな。」
こんなちびっこからこんなクドイ言葉をきくことになるとは思わなかった。
ゴールドはなんてませたこというガキなんだと思いながらなぜかハイテンションで返答した。
「おー!!まだそんなチビなのに愛する女がいるのか〜!!やっぱイマドキのお子様は言うことが違うね〜!!」
しかしナイトはゴールドのいっていることがわからない、といいたげな表情でため息混じりに反論した。
「違う。俺の知り合いの女性だというだけだ。それに俺よりだいぶ年上だしな。」
その返答を聞いてゴールドは
「なんだよ〜。そういうオチかよ〜。やっぱまだ早かったか・・・。」
と何を期待していたのかがっかりしながら言った。
「ただいま、ゴールド。ちゃんと仕事してる??あら、その子はもしかしてナイトじゃないの??」
そのとき再び練兵上の扉が開き、一人の美しい女性が澄んだ声でゴールドに話しかけてきた。
「ああ、マリア!!オカエリ♪そうだよ〜、今日、というか今、僕らの仲間になったんだ。ってか君コイツと知り合いだったの??それならそうと一言いってくれればよかったのにぃ〜。」
ゴールドは忠犬ハチコウのように満面の笑顔で彼女にかけよると、子供のように純真な目で彼女の言葉に応答した。
「えっ!?この子を採用したの??ということはこの子はあなたに勝ったということなのね・・・。いつの間にこんなに強くなったのかしら・・・。」
ゴールドはちょっと嫌なことを指摘され、複雑な表情で答えた。
「えっ・・・あ・・・うん・・・。まあね。でっでも、僕が弱くなったわけじゃなくてコイツが・・・。」
ゴールドが言い訳しようとすると彼女は笑顔で
「わかってるわよ、ゴールド。あなたはとても強いもの。それは団長である私が一番わかってることだから「言い訳」なんていう自分の努力を台無しにするようなことしないで頂戴。」
と優しく叱った。
「あなたが・・・ここの団長??」
「団長」という単語を聞いた瞬間、ナイトは困惑の表情を浮かべた。
「ああ・・・、黙っててごめんなさい、ナイト。まさかあなたがここに入団するなんて思ってなくって・・・。ほら、女性が騎士、しかも団長してるなんてちょっと珍しいじゃない??別に特別な意味はないけどなんとなく言えなかったというか・・・。」
彼女はナイトの表情をみて必死に説明を加えた。
こんな説明じゃきっとコイツは納得しないだろうとゴールドは思ったが意外にもナイトは笑顔で
「そうか。なら俺はいつかあなたよりも強くなってあなたを守り抜ける存在になろう。」
と歯の浮くようなセリフをはいた。