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第二十七話「強者どものマーチ」

                    「強者どものマーチ」



ウォンサッギの殲滅令から2週間の月日が経過した。

まだ2週間、というものもいるが、彼らにウォンサッギの悲劇を嘆いている時間はない。

次はジスニア郊外の小さな町、カールスルーエの視察にいかなければならないのだ。

しかし、今回はまだ視察なので、ゆっくりできるといえばできるのである。

そう思ってか、ゴールドが意気揚々と叫んだ。

「前回の任務は最悪だったけど今回のは楽だね!!きっとすぐ終わるよ。そしたら、本格的に新人さん迎える準備しなきゃね、ロッド♪」

彼のノーテンキな発言とは裏腹に、ロッドは気難しい表情で答えた。

「しかし、カールスルーエではここ最近、悪魔族が団体で街を徘徊しているというよくない噂を聞いている。しかも彼らの戦闘の技術はそうとうなものらしい。きっとB種なんだろうな。気を抜くと一撃でやられちまうぞ。」

「ダーイジョーブ、ダイジョーブ♪いざとなったらこの僕が愛しのロッド姫のために一肌ぬいであげるから☆」

「・・・・・・いらない。」

ゴールドの熱烈な愛の告白を受け、ロッドは鳥肌が立つのを感じた。

「姫」づけである。

この上なくキモイ。

ゴールドをさけるように、ロッドは準備室へと逃げ込んだ。


2日後・・・

グローナルの騎士団の姿はジスニア郊外の町カールスルーエにあった。

農村地帯が当たり一面に広がるのどかな町だ。

のどかな視察日和の町をみてゴールドは憂鬱そうにつぶやいた。

「何これ。どこ見渡しても田畑ばっかじゃん!!ショッピングは??ナンパは??」

「お前そんなもののために、自分の任務じゃないのにこの視察についてきたのか・・・。」

ロッドは呆れ顔でゴールドをみた。

「当ったり前じゃん!!そうじゃなかったらこんなクソつまんない視察に誰がついてくるんだよ!!も〜最悪。」

ゴールドは口をとがらせてスタスタと早足で歩き出した。

他の騎士たちもそのあとを追うように早足で歩いた。

すると突然ゴールドが足を止めたため、ロッドはゴールドの背中に顔をぶつけた。

「いってぇな!!急に止まるなよ!!」

「あれ・・・なんだ・・・??」

「はあ!?そんなこといって誤魔化すなよ。今のは絶対・・・」

それまで怒りに任せてゴールドに怒鳴っていたロッドだったが、彼の見ている方向をみて、その感情は一気に冷めていった。

「何だ、あれ・・・??火事か??」

「いや、違う。何かが、違う。」

ゴールドの言葉が終わるかおわらないかくらいにナイトの冷たい声が響いた。

「殺気確認。攻撃抑制機能、一時解除。抹殺、開始。」

ナイトがそういった瞬間、突然、黒い影があたりをつつみ、彼らに襲いかかった。

何とか間一髪のところでかわしたものの、たった一発の攻撃で、地面が地割れを起こしている。

これをまともにくらったら、生きて帰れる保障はない。

「魔術師!?それとも悪魔族!?どっちにしろこのままじゃやられちゃうよ!!」

「冗談じゃない。お前俺を守るんじゃなかったのか??」

「そんなこといってる場合じゃないよ!!」

ゴールドは彼らの危険さをその殺気から十分すぎるほど感じ取っていた。

彼らは強い。

もしかしたら全滅する恐れだってある。

どうにかして逃げなければ。

するとそのとき、ナイトがつぶやいた。

「俺にまかせろ。お前たちは隙をついて逃げろ。いいな??」

「でも・・・」

何か言おうとしたゴールドを無視し、ナイトは敵陣へ突っ込んでいった。

「あいつに従おう。このままではどのみち全員死ぬ。」

ロッドの言葉に、ゴールドは静かにうなづいた。


本当にひとりで大丈夫なのかという騎士たちの心配を裏切るように、ナイトは次々に敵を切り伏せていく。

あっという間に二、三人まで追い詰めた。

そこまで追い詰められた彼らが、今までかぶっていたローブを脱ぎ捨てた。

目が赤色をしている。

「やはり悪魔族か。」

ナイトは小さくつぶやいた。

「さすが我らが同胞。すさまじき強さだな。だが、なぜ我ら同胞を攻撃する??我らは仲間ではないか。なぜ人間に加担している??」

「命令だからだ。国王の命令は絶対だ。」

彼らの問いに、ナイトは短く答えた。

冷たいが、強い意志のこもった他の意見を一切受け付けないといった返事に、彼らはがっかりだ、といった様子でつぶやいた。

「そうか。それは残念だ。お前だけでも助けてやろうと思ったのに。」

「その必要は無い。今から死ぬのはお前たちなのだから。」

そういってナイトは彼らに切りかかった。

「愚かな。」

彼らは突っ込んできたナイトに向かって手をかざした。

だが、何かをしようとする前に、切られて息絶えた。

「あと二人。」

ナイトはそういってボスらしき人物に剣先をむけた。

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