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第二十二話「孤児の騎士」

                    「孤児の騎士」



騎士団一行は、夜、民家の後ろに身を隠し、ターゲットを待った。

不可解な狼たちの行動を確認するためだ。

狼は普通肉食である。

だから彼らが人里に降りてくる理由として考えられるのは、食料となる草食動物が不足しているからであろうということくらいである。

しかし、彼らは人を襲いに来るのだが、人を食べようとしていた形跡がない。

つまり、何か別の目的で彼らは村を襲いに来ているということである。

何があるにしろ、このまま彼らを放っておくのは危険である。

彼らが行動を始め次第、騎士たちは奇襲をかけようと思っていた。

しかし、そのときはナイトの声とともに、足早に訪れた。

「ターゲット確認。前後左右に円形に配置。」

「ちっ。くそっ。囲まれたか・・・。」

ロッドは自分の不注意を疎み、悔しそうに舌打ちをした。

「なになに??こんなたくさんいたんだ〜。いつの間に??」

ゴールドは雰囲気に合わないのんきな言葉でつぶやいた。

四方八方の狂気に満ちた赤い目が、騎士たちをにらみつけている。

騎士たちは思わず目を見開いた。

しかし、その中で一人だけ冷静さを失わないものがいた。

団長であるナイトだ。

ナイトは剣を抜くと、全員に冷たい声で命令を下した。

「攻撃用意。戦闘開始。」

その声で目が覚めたのか、騎士たちは剣を抜き、一斉に狼の群れにつっこんでいった。

しかし、彼らの目の前で信じられないことが起こった。

剣を持っている彼らの手が、重い岩でも乗せられているかのように急にとてつもなく重くなったのだ。

彼らはその重さに耐えられず、思わず剣を取り落としてしまった。

「ど、どうなってるんだ!?こんなの聞いてないぞ!!」

ロッドがはき捨てるように聞いた質問に、ゴールドが答えた。

「あいつら、魔法を使ってる・・・。グラウンド・マジックだ!!」

「ばかな!!あんな動物にそんな難解な大技使えるわけがない!!」

ロッドは大声で否定しながら、ゴールドが頭がおかしくなったのかと本気で心配した。

そうでなければそんなありえないことを言うはずがない。

しかし、ゴールドはいたって冷静だった。

「いや、今のは間違いなくグラウンド・マジックだよ。重力を、ある一定の部分だけ通常の数倍にしたんだ。そうすれば、みんな重くて剣なんて持ってられないからね。僕もよく使う手だから、間違いない。」

ロッドだけではない。ナイト意外の全員が、その言葉に唖然とした。

そんな奇妙な技を使ってくる軍団に、この人数ではとても勝てるはずがないからだ。

ロッドは相手の攻撃をかわしながらゴールドに言った。

「ここは一旦体制を立て直そう!!この数はとても相手にできない。このままでは全滅してしまう。」

すると、ゴールドは残念そうに言った。

「それは無理だね。この円陣に下手に突っ込んでいったらそれこそ全滅だ。」

「じゃあどうするんだよ!?」

そのロッドの言葉が終わるか終わらないかくらいに、突然、5匹ほど狼が倒れた。

「簡単だ。ぶった切ればいい。」

ロッドの問いに、闇の中から、重苦しい声が答えた。

「あんたは・・・。」

ロッドは、見覚えのある顔に心底驚いているようだった。

「よお〜、ロッドか。俺の管轄で何遊んでんだ??こいつらは俺たちの獲物のはずだ。邪魔すんな。」

「ロドリゴ!!お前も来てたのか。ちょうどよかった、こいつらは・・・」

「どけっつってんだよ!!邪魔だ、ザコ共が!!」

そう言ってロッドの言葉をさえぎると、ロッドを突き飛ばし、ロドリゴたちは敵陣に突っ込んでいった。

しかし、やはり彼らも狼たちの魔法には、太刀打ちできない様子だった。

すると、ナイトが一言つぶやいた。

「加勢、開始。」

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