第二十一話「暗黒騎士団の謎」
「暗黒騎士団の謎」
「んで??今回のターゲットはこのよくわかんない狼たちなの??これくらいは退治できないとユニットの名声に関わるんじゃないの??」
ゴールドは葉巻を吹かしながら面倒くさそうに言った。
「まあ、そう言うなよ。現にこっちの仕事も少なくなってきてるんだ。いいカモじゃないか。」
ロッドはゴールドに言って聞かせるように語りかけた。
正直、最近コルディアの騎士団が力をつけているせいか、めっきりグローナルの騎士団の仕事がなくなってきた。来るものといったら、金にならないような小物か、リスク大の大仕事かだけである。
早い話、ロッドもゴールドもそんな仕事にうんざりしていたのである。
「そう・・・。じゃあ、この仕事、受けるの??金になるようには見えないけど。んん!?」
そう言いつつ賞金のところに目をやった彼はその金額に唖然とした。
「10万ドル!?こんなちっこい狼、退治するだけで!?ありえないよ!!」
「そう。それが今回の疑問点だ。」
そう言ってロッドは小さくため息をついた。
「普通の狼の群れなら、ユニットの騎士団なら、容易に退治することができるはずだ。つまり、今回のこいつらは普通じゃないってことだ。」
ロッドはゴールドと目を合わせると続けた。
「大仕事になるぞ。」
「了解〜☆金になる仕事なら任せてよ!!」
彼らは「交渉成立」と言わんばかりに握手をすると、武器の準備をはじめた。
ユニット郊外ウォンサッギ・・・
新鮮な魚介類が有名な、主に陽気な農民や漁師が住む村だ。
普段なら市場などをやっていて、活気に満ち溢れているはずである。
しかし、村は静まりかえっていて閑散としている。
「なんか、さみし〜村だね・・・。」
「仕方ないさ。皆、あの化け物におびえてるんだ。早いとこどうにかしないとな・・・。」
「まあ、とりあえず村長に話を聞いてみようか。それでいいかな??団長さん。」
ゴールドは皮肉混じりにナイトに承認を求めた。
「・・・・・・。」
ナイトは無言で首を縦に振った。
「あ〜あ、君って奴は。またそれだよ。君には口がないの〜??」
「・・・・・・。」
「無視かよ〜。ホント、好きだよね〜。」
そういうとゴールドはナイトの肩に手を回した。
しかし、その目は笑っていない。
ナイトはゴールドをにらみつけた。
ゴールドも負けじとナイトをにらみつけた。
二人の間に重い空気が流れた。
まずい。このまま行くと二人の暴動が起きかねない。
それを察したロッドがその雰囲気を断ち切った。
「まあまあ。とりあえず行き先が決まったんだからいいだろ??仲間同士でやりあうなんてゴメンだからな。さあ、行くぞ。」
「はいはい。パパの言うことは聞かないとね。」
「俺はお前みたいなヘンタイを子供に持った覚えはない。」
「ヘンタイ〜!?ヘンタイって・・・」
「ほら、早く行くぞ。」
「・・・・・・。」
「で、探したはいいけど・・・」
ゴールドは疲れきった表情で呟いた。
「どれが村長の家か分かんないじゃんかよ〜!!」
ゴールドが叫びたくなるのも無理はない。
家の形や色、素材がすべて全く同じである。
辛抱強い彼らも、さすがに途方に暮れてきた。
「あなたたちはもしや・・・、暗黒騎士団の者たちか??」
そのとき、後ろから聞こえた声に一同がいっせいに振り返った。
そこには背の低い頭に白髪が混じった老人が立っていた。
「あなたが村長さん??」
ゴールドの問いに彼は首を縦に振って答えた。
彼こそが探していた村長なのだ。
しかし、ロッドは喜びと同時に彼の先ほどの発言に疑問を持った。
「暗黒騎士団??それはどういうことですか??」
「ああ・・・。実は君たちにはいい噂がなくてね。任務のためなら犯罪にでも手を染めると聞いている。せっかく来てくれたのに、すまないな。」
「いえ、もう言われなれているので。それより、この魔物についてお話を聞かせていただけませんか??」
「わかった。期待しているぞ。」
どうやら化け物は夜行性らしい。
村長からの話を聞いて、彼らも本格的に準備に入った。