第二話「小癪なガキ」
「小癪なガキ」
すると突然練兵場の扉が開いた。
切り札が帰ってきたのかと一瞬期待した一同だったが期待ハズレにも扉の向こうから現れたのはまだ年端も行かない少年だった。
その少年を馬鹿にするようにこの騎士団でも柄の悪いグループのものたちが彼に笑い混じりに話しかけた。
「おいおい、坊主。ママを探しにきたのか??そーじゃねぇなら帰った帰った。ここはお前みたいなか弱いガキが来るところじゃねーんだよ。泣かされたいなら別だがな」
少年を見下すような笑い声の後彼らは少年の周りを囲み、威圧的な態度で少年を追い出そうとした。
すると少年が口を開いた。
「お前たちに用はない。俺は入団者審査員の者に会いに来た。そのものに会わないことには入団できないようなのでな。邪魔だ。道をあけろ。」
少年はとても子供らしくない落ち着き払った口調でゴールドへの面会を申し出た。
ゴールドはまさかの客のまさかのご指名に少々驚きながらも
「こんな治安の悪いとこにいきなり現れていきなりこの僕をご指名かぁ〜。勇気ある少年だね(笑)しかも入団志望だっていうじゃないか。」
といいながらゴールドは珍しい勇児の顔をもっと近くで見たいと思い、彼に近づいた。
そして柄悪グループをかきわけ、彼の顔がはっきり見える位置で言葉を続けた。
「ここに来たんだからここの入団許可年齢が18歳以上だってことくらいはいくら「ボォヤ」でも調べてきたんだよね。いっとくけど僕ら「オトナ」は「ボォヤ」の遊びに付き合ってられるほど、暇じゃないんだ、これが。」
ゴールドは皮肉混じりに小生意気なガキにこれでもかと言わんばかりに強い言葉で向かいうった。
いつものゴールドらしくなく、不気味なほど落ち着いている。彼が腹を立てているのは誰もがわかることだった。そして彼のいっていることは、ここの団員の誰しもが言いたいことだった。
だがこれだけ言われも少年は表情も変えずにやはり落ち着いた口調で
「ああ、知ってる。だがその辺の18歳以上の人間よりはお役に立てるはずだ。あと、子供だから遊びととられがちだが、俺は本気でここに入る気できたのだ。あなたのその態度は俺に対するこの上ない侮辱だ。」
とゴールドに対する皮肉をこめていった。
ゴールドは最初このムカつくガキを追い出してやろうと思ったが、彼の熱い思いを秘めた瞳を見て
「そーいわれちゃぁ仕方がないなぁ〜。」
といい、彼の正面にたった。
確かに彼の顔はむしろここにいる命がけで戦っている騎士たちよりも強い意志を持ったいい顔をしている。
ゴールドはその顔をみて満足した、という表情をみせ、続けた。
「そこまで言うなら一回僕と勝負してみる??もちろん子供相手だからといって手加減はしないつもり。僕に勝ったら入団を許可してあげる。でも〜、負けたら即帰ってもらうからね。」
少年は微笑みをうかべ
「交渉成立だな。」
といって手を差し出した。
ゴールドもその手をしっかりと握って和解の意を表した。
するとそれの内容に納得がいかなかったロッドが不満そうに反論した。
「ゴールド、俺はお前の考えがわからない。ガキを入れたところでこの騎士団には何の特もない。それなのになぜ戦う必要がある??俺はもうお前の気まぐれにつき合わされたくないぞ。」
するとゴールドは
「まぁそーいうなよ。もしかしたらこんなちっこいけど有力候補かもしれない。試すだけならタダだしね〜。」
と楽しそうに答えた。
ロッドはまだ納得いかない様子だったが、これ以上何をいっても彼は聞かないだろうと思い引き下がった。