第十、十一話「無言の少女」「仲間」
「無言の少女」
「攻撃確認。防衛機能発動。」
ナイトはそうつぶやくと、今度はその男の攻撃を受け流し、みぞおちに拳を一発入れた。
男は思わぬその身のこなしと力の強さの前になすすべなく絶命した。
「こ・・・このガキっ!!」
他の仲間たちも攻撃してきたが、ナイトはすべて攻撃をかわし、自分より2倍は背丈がありそうな男たちをすべて一発の攻撃で殴り殺した。
そして彼女のほうに向き直りナイトには珍しく
「怪我はないか??」
と話しかけた。
彼女は首を縦に振ったが、その目はナイトにおびえているようだった。
その様子をみてナイトは
「俺は任務で彼らを抹殺しただけだ。お前には危害を加えない。安心しろ。」
と、自分に敵意がないことを伝えた。
彼女は言葉の意味がよくわからない様子だったが、とりあえず敵意がないことだけはわかったらしい。
「親はどうした??まさか一人ではないだろうな??」
ナイトの質問に彼女は困っている様だった。
その様子を見て彼の思想はある場所に行きついた。
「お前、声が出ないのか??」
すると彼女はゆっくりうなずいた。
「仲間」
いささか待ちくたびれていたゴールドの前にナイトがようやく帰ってきた。
ゴールドの足元には大量の煙草の吸殻や棒つきキャンディーの棒が落ちていた。
「おかえり〜♪遅かったね〜。ん??隣のプリティーな女の子は誰??」
「名前はわからない。どうやら声が出ないらしい。マフィアらしき男たちに囲まれていたところから推測すると、親は何らかの理由で蒸発した可能性が高い。」
「蒸発ねぇ・・・。なんだか穏やかじゃないじゃな〜い??身寄りがないなら親が見つかる城に置くしかないけど・・・。」
ゴールドはあの事件以外まったく口をきこうとしなかった彼がこんなによく話すことがとても疑問だった。
「それにしても今日は珍しくよくしゃべるね〜。」
だからなのか、彼の中にもしやという発想まで生まれてしまった。
「もしかして、僕のこと・・・。やだ!!そんなの困るよ!!僕は女性専門なんだから!!」
しかし、ナイトは彼の意味のわからない言葉を無視し、話を続けた。
「それが妥当だな。このまま家に帰したところでまた彼らの仲間に襲われるだけだからな。お前もそれでいいか??」
ナイトが少女に同意を求めた。
彼女は次々に出てくる怪しい連中に戸惑いながらも、彼の意見に首を縦に振って同意した。
「そうと決まれば城に帰還することだな。航空機を出せ。」
「なんで僕のほうが偉いのに君は命令形なの〜??」
ゴールドは不服そうに言ったが、ナイトは彼を無視して彼女とともに航空機に乗り込むとエンジンをかけた。
「無視かよ〜。ってか、おいおいおいおい!!置いてかないでよ〜!!」
ゴールドはそう叫ぶとあわてて航空機に乗り込んだ。