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未来視

作者: 燐鏡 剣斗

どーも、作者です。


スマートフォンでの執筆の練習で一つ超短編を書きました。

とはいえ、文章力が低いのでかなりグダグダな内容になってます…

そこに目をつぶっていただけると幸いです。


では、どーぞ。

俺は焦っていた。今自分ができることは何かを探すために。

警察を呼ぶか?いや、ダメだ。こんな話をしても信じてもらえるわけがない。

ならば友人に助けを求めるか?いや、誰もが空想だと笑うだろう。

そう、こんな話を信じてもらえるわけがないのだ。何故ならば、これから起こる出来事なのだから。


物心ついた時から、俺には時たま未来が見えるようになった。

それも、見えた未来は基本的に2日以内に起こっていた。

見える未来は様々だ。それこそ、くじ引きが当たるとか夕飯はハンバーグになるだとか。

自分自身の未来だけではなく他人の未来を見てしまうこともある。

見知らぬ他人がテレビを見て笑っている未来や、風呂に浸かっている未来など。

それも、すべて主観の映像ではっきりと映し出される。

自分自身では見たい未来を見ることも見ようとすることもできない。

見たくない未来だって見える。人が電車に飛び込んでしまうだとか、飛び降り自殺をしてしまう未来。

嫌気がさすほど見てきた。

そんな未来が見える話も子供の頃は笑い話ですんだが、それがだんだん大人になるにつれ、誰も信じなくなった。

それはそうだろう。常識ではありえないことなのだから。


そんな俺も大人になり、社会人として働いていた。

普通の企業で働くサラリーマンというやつだ。今の所嫌な事は無いし、上司も優しい。

同僚も気さくなやつが多く、よく一緒に飲みに行ったりもする。それくらい職場の人たちとは仲がいい。

夜家に帰れば嫁が居て、子供がいる。それだけで幸せな生活を送れていると感じていた。

最近は未来が見える回数も減り、見える未来も軽いものになった。ゲームをしているだとか、本を読んでいるだとか。

それほど苦しい未来を見る事がなくなったので憂鬱になる事も無くなった。

年を取れば取るほど、未来が見える頻度が下がってきていた。

このまま未来が見える能力みたいなのは消えるのではないかと思い始めていた。


とある日の朝、会社に出勤した後上司に呼び出された。

「すまんが、少し遠くまで出て欲しい。なに、今日の夕方までには帰ってこれるさ。」

それは、突然の出張の仕事だった。といっても、言うほど遠くまで出るわけではなく、支社に赴き話をするだけだった。

「分かりました。」

俺は特に用事もなく、自分の仕事も片付いていたのでその仕事を引き受けることにした。

「それでは、この書類を持って行ってくれ。 」

上司から封筒に入った書類を手渡される。

中には紙が2枚入っていた。

片方は会計書、もう片方は指示書のようなものだった。

「それを支社の潮田に届けて欲しい。受付には話を通してあるから言うだけで通してもらえるはずだ。」

「分かりました。」

俺は書類をカバンにしまい、そのまま会社を出る。

電車に乗り、支社へ向かおうとした時、未来が見えた。


それは、自分自身の未来だった。

コンビニの商品棚からおにぎりを2個取り、レジへ向かう。

レジへ向かう途中にお茶を取り、レジでポテトを頼む。


またちょっとした未来か、と心の中でため息をつく。

だが、一度見た未来は変わることはない。

何度か阻止しようとした事もあったが未来が変わったことは一度もなかった。

俺は電車から降り、駅を抜けて支社へ向かう途中にコンビニに寄った。

見た未来の通りにおにぎりを2個とお茶を取り、レジへと向かう。

だが、そこで違和感を感じた。確か見た未来では昆布とツナマヨだったはずだ。

だが、今手に持っているのは明太子と昆布だった。

さらに、レジにはポテトがなく、売り切れの状態だった。

見た未来はここじゃなくて、もっと先の事だったかと思いながらも、レジでお茶とおにぎり2個を買いコンビニを出て支社へ向かう。


支社へ着き、受付を通る。

「あの、本社から来た中村ですが」

「はい、中村様ですね。3階の応接室へどうぞ。」

受付の人に言われた通りエレベーターに乗り3階の応接室へ向かう。

応接室には女性が一人座って待っていた。

応接室と呼ぶには広く、ソファーが2個とテーブルが1個だけだった。

「貴方が中村さんね。」

座っていた女性は立ち上がり、こちらへと歩いてくる。

「貴方が潮田さんですか?」

「いかにも、私が潮田です。名前は磯谷から聞いたの?」

「はい。課長がこの書類を潮田さんに渡してくれと。」

俺はカバンから書類を取り出し、潮田さんに手渡す。

「やっぱりあいつはマメだね…ごめんね、手を煩わせちゃって。」

「いえいえ、これも仕事ですから。」

「中村さんは真面目なんだね。書類はしっかりとお預かりしました。」

「それでは、これで。」

「また来てくれてもいいからね?」

「機会があったらお会いすることになるかもしれません。それでは。」

俺は応接室をでて、本社へと向かう。


カバンの中からスマートフォンを取り出し、時刻を確認する。

時計を忘れてしまっていたので、少し不便だがスマートフォンで確認するしかなかった。

スマートフォンのロック画面には大きく時刻が表示されており、12時を指していた。

これならば、夕方ではなく昼過ぎちょっとには戻れそうだ。

お昼だということを自覚した時、お腹が減っていることに気がつく。

帰りになにか食べてから戻ることにした。

ちょうど目の前に牛丼屋があり、そこで済ませることにした。

牛丼屋のドアを開け、店内に入る。だが、そこで急な立ちくらみと同時に未来の映像が入ってくる。

いままでこんな未来の見え方はなかった。突然見せられるのではなく、予兆みたいなものがあった。

だが、今回は無理矢理に未来を見せられている感覚だった。


それは、ビルの上から地面を見下ろす人。

下には野次馬や警察、救急隊員などが集まっていた。

だが、その様子を見てこの人物は笑っていた。あぁ、なんて愉快なのだろう。

こんなにも自分を心配する人物が居たのか。でも、私に居場所はない。

楽になろう。ここから落ちれば、楽になれる。

「やめろ!」

後ろから声がした。振り向くとそこには俺が立っていた。

こちらに少しずつ歩み寄りながら、声をかけてくる。やめろ、早まるなと。

もう遅い。どんなに心配する人物が居ても、心から心配してくれる人間は居ない。

だったら、いっそ消えたほうが楽だ。

そして、体は宙へと---


「やめっ!」

ばっと起き上がったそこは、病院のベッドの上だった。

はぁはぁと息を切らしていた。さっきまで見ていた未来のせいか。

少し呼吸を整える。少しずつ息が落ち着き、鼓動も安定してきた。

「起きたか」

病室の外から女性が入ってくる。その女性は手に少し小さめのビニール袋を持っていた。

中にはフルーツナイフとりんごが2個。

「先輩、俺はなんでここに…?」

「お前が支社近くの牛丼屋で突然倒れたと聞いた。店員が慌てて救急車を呼んで、ここに運ばれてきたってわけだ。」

あの未来を見た時か。どうやら、あの未来を見たまま倒れてしまったらしい。

「そうですか…あっ、先輩今何時ですか!?」

「な、なんだいきなり…今は午後2時だ。」

「午後2時!?まずいっ!」

「お、おいどうした中村。そんなに慌てるような用事でもあるのか?」

「かなり大事な用です!奈緒先輩、申し訳ないですけど荷物会社に持って行っておいてください!」

カバンからスマートフォンと財布を取り出し、それをズボンのポケットに入れて病室を抜けだす。

「中村!ったく、あいつ足だけは速いな…」

奈緒と呼ばれた女性は中村のカバンを持ち、そのまま病室を出て行った。


病院を出て、街を走る。普段から体を鍛えているので体力には自信があった。

さっき見た光景。遠くの時計台の時計の針は3時を示していた。

時計台の時計が正面から見える位置にある高いビルのような建物…

高さからいえば会社用のビルではなく、スーパーのような大型ショッピング店だろうか。

そこの屋上で飛び降りようとしている人物…女性ということとスーツを着ている、ということだけは分かった。

だが、どこで飛び降りるのだろうか?全く検討がつかない。だが、未来では俺が止めていたということは、3時までには必ず場所を把握し、着いているということだ。

だが、近くに大型ショッピング店なんてあっただろうか…

思考を巡らせ、考える。この街には時計台は2個しか無く、しかもかなり目立つ高さだ。

市長がどこからでも時間を見ることができるように、という配慮から高くなったそうだ。

なので、待ち合わせの目安などにもしやすく待ち合わせスポットとしても有名だった。

だが、片方の時計台の近くには高い建物はなかったはずだ。つまり、見えていた時計台は一つに絞られる。

しかし、そこの近くにもスーパーなんてなかったような…

そこで、はっと何かに気がつく。確かに、スーパーはない。だが、ある程度高い建物なら存在する。

場所を確信して、走りだす。手遅れになるな、間に合ってくれと。


走っている最中に警察に連絡を入れようとした。だが、信じてはもらえないだろう。

なぜなら、今自分が思っていることは未来に起こることで今日起こるとも限らないからだ。

なら同期に…と思ったがそれもやめた。余計な心配を掛けたくはない。

「くっそ、こんな時に…そうだ、奈緒先輩なら!」

スマートフォンを開き、奈緒先輩と書かれた連絡先へ電話をかける。

だが、帰ってきたのは「現在電源が入っていないか電波の届かないところに居ます」の返答だった。

「なんで出ないんだ!?」

多少の焦りが出始める。まずい。一人でどうにかなる問題ではない。

昔からの友人に…いや、だめだ。こっちもこっちで心配をかけるのはまずい。

味方が居なかった。こんな状況なのにもかかわらず誰にも頼ることができなかった。

そうこうしているうちに、目的の場所へとたどり着く。すると、そこには野次馬や警察、救急隊員などが居た。

警察が上に向かってやめなさいだとか、早まるんじゃないだとか叫んでいた。

それにつられて上を見上げると、そこには飛び降りようとしているのかどうかはわからないが、屋上の縁に立っている女性が居た。

慌ててスマートフォンを見ると、時計は2時50分を示していた。

まだ間に合う。そう思い、とっさに野次馬で出来た人混みをかき分けて抜ける。

「すいません、ちょっとどいてください!」

人混みをするすると通りぬけ、入り口に貼られているテープを飛び越え中へ入る。

「君、ちょっと待ちなさい!」

入り口に立っていた警備員に止められそうになるが、うまく振り切りエレベーターのボタンを押す。

運良く1階で止まっていたようで扉はすぐに開いた。中に入り、4階のボタンを押す。

屋上までエレベーターは通じていないので、一度4階で降りてから階段で上がらなければならない。

エレベーターが4階に到着し、扉が開く。開くと同時に駆け出し、階段を駆け上がる。

そして、屋上の扉を開く。


そこに待っていたのは、奈緒先輩だった。

「やめろ!」

無我夢中で叫ぶ。目の前で人が死のうとしているのだ。止めない理由がなかった。

「中村…」

奈緒先輩は悲しそうな顔をしながらこちらへ振り向いた。

「奈緒先輩、どうしたんですか!俺の病室に居た時は深刻そうな顔をしてなかったじゃないですか!」

「ごめんな、中村。お前には心配を掛けたくなくてな…」

「そんな優しさいらないですよ!というか、今心配をかけてるでしょ!どうしたんですか!」

「私はもう、いいんだ。この世界に私の居場所はないんだよ」

「居場所がない人間なんて居るわけないじゃないですか!俺には必要な人間なんです!」

「必要、か。それでも君のその願いは聞けないな。ごめんね、こんな先輩でさ…」

その一言と共に、奈緒先輩の体は宙へと浮く。

「奈緒先輩っ!」

慌てて飛び出す。だが、間に合わない。手が届く前に奈緒先輩の体は下へと落ちていく。

「間に合えぇぇぇっ!」

縁からジャンプし、そのまま空中で奈緒先輩を抱きしめ、自分が下になるように体をひねる。

「中村っ!何をしてる!」

「こんな時くらいかっこつけさせてくださいよ。先輩は俺の憧れだった。俺よりも、居場所があるはずです。」

「バカ、何を言ってる!」

「大丈夫。先輩だけ死なせはしませんし、今回は誰も死なせません。」

「え?」


地面に衝突する瞬間、強い反発でもう一度宙に浮き上がる。

そして、もう一度地面へ落下するが、地面にたたきつけられること無くやわらかい何かの上へ落ちる。

それは、救急隊員が地面に敷いてくれたマットようなものだった。

「言ったじゃないですか。今回は誰も死なないって。」

「中村…」

その言葉に安堵したのか、奈緒先輩は泣き出していた。普通を装っていたが、内心恐怖でいっぱいだったのだろう。

高いところから落ちることも恐怖だろうし、だれからも求められていないと言う恐怖。

怖くて仕方がなかっただろう。だからこその涙なんだろうなと感じた。






それから一ヶ月が経とうとしていた。

あの日から未来が見えることが無くなった。

苦しい未来を見て嫌になることもなくなった。

むしろ、あの事件で奈緒先輩を死なせないように神様が与えてくれたのでは無いか、という幻想的な考えさえ出てくるくらい穏やかな日常だった。


「中村!」

今日も朝から奈緒先輩が俺を呼ぶ声がする。

「先輩、体は大丈夫なんですか?」

「大丈夫だ!見ての通り元気いっぱいだよ。」

「なら良かったです。でも、2度とあんなことはしないでくださいね…」

「あの事は本当に申し訳ない。もう2度としないと誓うよ。」

奈緒先輩のその言葉を聞いて、安堵した。

この日常がいつまでも、続けば良いと。








自分にはもう未来を知る事はできないが、これだけは確実に分かる。

「決まった未来はあるかもしれない。だが、その後の事は誰にもわからない。その未来までの道のりも誰にもわからない。その道のりを変えるには、自分が動くしかない」と。

如何だったでしょうか?

正直なところキチンとした設定を作らずにほぼノリで書いたのでグダグダだと思います。

それでも、読んでいただきありがとうございました。

このような短編小説をまた書くかもしれません。

その時は、またお付き合いいただけると幸いです。



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