第1話
あれから、だいぶ時が経った。
俺が高校二年生になって少し、つまり初夏に入ったばかりだ。
俺のクラスには、嫌な人間がいる。
この間読んだ携帯小説のテンプレ主人公のような奴で、優柔不断、鈍感、自分がしたことの責任を取らないときている。
しかも、寄りによって・・・・
「ねぇ、牙神君。一緒に帰ろうよ」
俺に関わろうとしてくる。
ちなみに俺は今、牙神聖斗と名乗っている。
こいつは、朝倉なんとか(覚えていない)
俺に関わろうとする理由は「なんか、ほっとけないよ」らしい。
「ねぇ、牙が「うるさい」へ?」
「俺は、一人で帰る」
こういう自己満足で、他人と関わろうとする奴は嫌いだ。俺が、先に出て行こうとすると後から追ってくる。
「ま、まってよ!」
誰が待つか。心の中で言って先に出て行く。
数十分後
何故か、俺の後をつけてくる朝倉。
少しすると、「うわぁ!?」という声と走る足音。振り向くと朝倉が走ってきて
「うわっ!」
「ぐっ!」
かなりの勢いで俺にぶつかった。
「なにしやがる!」
「で、でもあれ!」
朝倉が指差す先には魔法陣。
あー、こないだ読んだ携帯小説と同じパターンだなこれは。
「じゃあな」
「待って、助けてよ!」
俺の足を掴んで離さない。
魔法陣は、もう目の前。いや、ぶつかる!
視界が光に包まれ、俺と道ずれにした馬鹿は、この世界から消えた。