表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
一等星が消える夜~北海道上山村美蔵井地区・留守番バイトの末路~  作者: 暁 美雲(あかつき・みくも)


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

12/14

12.


僕はふらつく足に鞭打って、壁を這うように居間へ向かう。

そして隼人のスマホを握りしめ、彼の元へと戻った。


「ごめん、隼人……指、貸して」


スマホのロックを外すと、暗闇の中で液晶の白い光が僕の目に容赦なく突き刺さる。

目を細めながら画面を見ると、まさにその古い地図が目に映った。


「何だ……これ……」


僕は震える手で、地図を画面いっぱいに広げた。


挿絵(By みてみん)



「神山……? 祟り神……飴……呑み?」


喉がヒュッと狭まった。

子どもたちが呼んだ『アメノミ様』。地図に書かれた『飴呑み』。


『村半分の大人たちを喰らったらしいぜ。飴食うみたいに丸ごとパクッといって、ちょっと味わったら丸飲みだってよ』


飴を食べるように人を喰らう化け物。


(まさかさっきのが……それ?)


僕はゴクリと唾を飲み込むと、自分の予想が外れることを願いながら再び古い地図に目を凝らす。


(あらまし……だから、地図って言うより計画書みたいなもの? 神山……未喰ライ集落……喰ライ済消滅集落……未喰ライ……えっ? みくらい……?)


頭の中で音が重なっていく。


(それなら喰ライ済消滅集落は……くらいずみ……くら……すみ……!?)


赤い×印が付いた喰ライ済消滅集落が蔵泉地区だとしたら、まさかここは……美蔵井は――


(未喰ライ……まだ喰われていない……これから喰われる場所……?)


ブルッと背筋に寒気が走り、心臓が聞いたこともないほど爆音を鳴らす。

拍動と共に揺れる視界には、未喰ライ集落に描かれた10個の奇妙な紋章のようなものが見える。


(あれ……? 10? 10……!)


『10世帯だよ』という久子さんの言葉が脳内を占拠するように重く響き渡る。

そして地図の左上に書かれた文字を順に辿る。


(雨、日、気、生、風、土……山、川、石、木?)


ドクン、ドクン、と拍動を重ねるたび、僕の中で一つ一つパズルが組み上がっていく。


『祟り神が愛した自然物をもって守人(もりと)を定め――』


10個とも自然界にあるものだ。

そして――


『その人たちは、土の家の……』


久子さんの旦那さんが僕たちを見てそう言っていた。


(僕たちがいたのは土の家ってことだ。じゃあほかは、雨の家……日の家ってこと……?)


次第に古い地図の上をたどる僕の指がワナワナと震える。

か細い記憶の糸が太さを増していった。

だって気づいてしまったんだ。

さくらちゃんは『雨』宮、久子さんたちご夫婦は『日』野、そして僕は『土』井。


(もしかして、名字が関係してる? えっ、まさかそんな……あっ、でも『山』根さん、『風』見さん……もしかして移動販売車のおじさんも美蔵井の住人? カワイ……『川』合?)


もし仮にそうなのだとしたら、僕たちがここでしてることって……


「やっぱり留守番なんかじゃない。僕たちは――」


僕は地図の左上に書かれた文字を指さす。


「――『守人』ってこと?」


祟り神を祀り、御霊を供養する守人。

そうなることで、この地の人たちは祟り神に喰われずに生きてきたのだとしたら……。


「なんで僕たちがこんなことに巻き込まれて――……えっ? まっ、待って……」


血の凍るような戦慄が走った。

『僕たち』じゃない。

もしもそうだとしたら一人だけ……一人だけ、明らかにこの『守人』から外れる人物がいる。


「本上……隼人……!」


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ