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出会い

俺の名前は白村しろむら うろ

ごく普通に生まれ、育てられた男の子。

高校2年生になったばかりだ。


一般的な幸せ家族だったが、2年前事故で母を亡くし父はアルコールに依存し、俺に当たるようになった。

母と顔が似ていることでアルコールに溺れた父は高校入学と共に俺を犯し、そのまま俺を監禁した。

学校にはしばらく行っていないところか外にも出ていない。

頭の回る父が診断書をでっち上げ休校させられ、そろそろ2年になる。

親戚へ母の急死で心を病んだと言いふらし、俺が逃げてもすぐ父のもとへと戻されるように仕組まれている為逃げることもできない。


「大人しくしてろよ」


行為が終わった後、そう言って父は部屋を出た。

いつもは手錠をつけられているが今日は父の機嫌が良く、手錠はかけられなかった。

逃げるには扉には鍵がかかっているし、窓には柵が取り付けられていて出れそうにない。


父は在宅で仕事をしていて部屋から出ればすぐ分かる。


ふと父が置いていったベルトが目に入った。


「もう死ぬしかない」


窓を開けて外の柵にベルトを括り付ける。


「これで解放される…なんてことないんですけれどねぇ」


どこからか声がして辺りを見渡すが誰もいない。

外かと思い外を見るも誰もいない。


「本当に精神が参っているみたいだな…」


乾いた笑いが出たと同時に涙があふれる。


「死にたくねぇな…」


首にベルトをかけた。


「び、びっくりしました…ボクの声聞こえているのかと思いましたよ」


また声がする。


「聞こえているとしたら死期が近いか…霊感的なもの持っているかですけど…」


なにやら慌てている様子だ。


「…誰かいるんですか?」


声をかけてみた。


「え…?」


ぼんやりと人影が見え、それはだんだんと姿を現した。

紺色の髪に水色のメッシュが入ったショートカット。

顔周りの紙だけ少し長く、右目が隠れ、左目は灰色で人間っぽくない。

首にはツギハギがあり第二ボタンまで開けたシャツに灰色のカーディガン。

肉付きが程よい太ももが見えるショートパンツ。


首を吊ろうとしていた俺をしゃがんで見ていたようで、目の前にはシャツの隙間から谷間が見える。


「も、もしかして見えてます?」

「はい…はっきりと…」

「そんなはずは!!な、なにが見えてますか!?」

「た、谷間と…水色のブラが…」


慌てているのか少し近づかれたことで彼女の胸が目の前に広がる。


「こ、これは閉めてもボタンが弾け飛ぶんです!!」


そういうことが聞きたかったわけではないけれど、彼女はそう言って少し離れた。

父以外の人と会話をするのはいつぶりだろうか…。

話していて楽しくなってしまった。


「それで君は何者?」


涙も引っ込み、少し笑いながら聞くと彼女は俺の首からベルトを外して言った。


雨夜あまやヨミ。死神です。初めまして白村しろむら うろさん」

「死神ってことは俺の魂が欲しいってこと?」

「いずれ回収しますが…わかりやすく言うと今は死期でもないのに死なれたら困るので邪魔しに来ました」

「まじ?俺に救いはねぇのかよ…」

「死んだからと言って救われるわけではありませんよ」


死神だからなのか、本当に死んでほしくないのかわからないがそんな言葉を言われると少し苦しくなる。


「あの…勝手に来て言うことではありませんが…死神の姿が見えてしまうとは知らず…少し先輩に確認してきますので席外しますね」


もじもじと口元を隠す姿に見惚れていると、俺の頭をポンポンと触り目を見て言った。


「ボクが戻るまで死なないでくださいね」


その言葉は力強く、頷くことしかできなかった。


「いい子ですね」


クスッと笑うとそのまま姿が消えてしまった。


「なんだあいつ…」


釣られて笑ってしまった。


夢だったのではないかと思ったが、開けた窓からそよ風が吹いて靡いたカーテンが現実だと言っているようだった。

今過ごしている時間こそが夢であってほしいと願うほどに久しぶり笑った。


「何か楽しいことがあったのか?」


その声で現実に引き戻される。


「窓を開けたのか。床なんかに座り込んで…」


そう言って窓とカーテンを閉めると髪を掴み立たされる。


「少し自由にするとすぐこうだな。外にでも行くつもりだったのか?」

「違っ・・・」


声を出したときに体が宙に浮いていた。

一瞬何が起きたかわからなかったが、ベットに落とされたのだと気づいたときには父の拳が目の前にあった。

殴られたのだと頭が理解するまでそう時間は掛からない。


罵声と怒号を浴びせられるが、頭を殴られたら死んでしまうと本能で頭を守るように蹲る。

だが2年も部屋に閉じこもっていた俺では大人の力には到底勝てない。


頭に血が上った父は俺の首に手をかける。


体から酸素が無くなり、吸おうとするが閉められた気道では咳をすることが精一杯だ。

少しでも酸素を求め口が開き、呑み込めない唾液が口から溢れ、顔が熱くなる。


あ、これ死ぬ…?


薄れる意識の中で走馬灯と共に、先ほど見た死神の少女の姿を思い浮かべた。


「ボクが戻るまで死なないでくださいと言ったはずですが…これは困りましたね」


閉められた気道が解放され一気に咳き込む。


「あなたがうろさんの『死にたい原因』なのですね…」


そう言って少女は父を軽々しく持ち上げて床へと叩き付ける。


「あなたはボクの仕事の邪魔をした挙句、ボクの管理担当者に手を出した」


開けていた眼が暗くなり意識が薄れていく中、少女の声だけが狭い部屋に響いた。


「空さんがあなたを許しても、ボクと地獄ではあなたを許すことはありません。死んだらその罪を何千年も償ってくださいね」

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