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約束して

愛子が俺の家に泊まるのが日課になり、愛子と逢わない日なんておかしすぎて毎日当たり前のように二人で過ごした。

ただ俺の家は一人暮らしではなくレントとその娘、他に男が2人と五人暮らしで俺は自分の個室を持っていなくリビングに寝ていた。

簡単に言うと簡易で住んでいるだけで真面目に住むような場所ではない。俺はベットもなく毎日ソファーで寝ているし、愛子はそれを承知で俺に家に来ては狭いソファーで一緒に寝る。

まぁ夜中にいつも他のソファーに移動してしまって朝起きるといつも愛子は隣にいなくて俺が愛子が移動したソファーにまた入り込むっていう感じだけどね。

それでも俺はどうにか皆が寝た後に家に戻りたくて毎晩夜中の3時、4時くらいになってしまう。

愛子は家に帰りたがるが俺は帰りたくない。だって愛子と二人でいたかたから。

この夜もクレイジーなやつらが集まる行きつけのバーで二人で飲んでいた。

愛子はどうも疲れた様子で何度も「帰ろう」と言ってきた。

だけど俺は帰りたくなくて、その後2件程他のバーやクラブに連れて行っては踊り、酒を飲んだ。

愛子は踊りが大好きで俺は彼女を’ダンシングマシーン’と呼ぶほどで何度も一人でステージに踊りに行っては他の男にナンパされ、俺達は何度も言い合いになった。

お酒はそんなに強くない。2杯程飲んだらハイになり歩けなくなるくらいだ。

俺は愛子と踊るのが大好きで、この夜もいつも通り踊っていたが愛子は調子が乗らないようだ。


「どうしたの?」


「もう帰りたいの。」


「俺の家?自分の家?」


「どっちでもいい。」


どうも暗い。

俺はまた無理やり他のCULBに連れて行こうとすると愛子は足を止め言った。


「いつまでこんな生活を続けるの?」


「続けないよ。俺は別に飲み歩きが好きな訳じゃないよ。」


「私はもうCLUB遊びは終わったの。」


「俺だって終わったよ。」


ワイキキの中心部の危険な道路の真ん中で、警察が数台停車し、売春婦や酔っぱらい共の声が響いていた。

そんな中俺は愛子の手を取り、もう一度CLUBの中へ行こうと手を引っ張ると愛子は勢いよく俺の手を振り離した。


「私、帰るわ。」


手を振り払われたことにイラっとしてしまい俺はつい強い口調で


「分かった。気をつけて。」


と言ってしまった。

他の女は「なんでそんなこと言うの!?」と怒り狂って反論してくるだろうが、愛子が違う事はよく知ってる。

彼女は案の定くるりと背を向け


「バイ。」とだけ行って去ろうとした。


「ちょっと待ってよ。本当にこんな形で帰るの?」


愛子はゆっくり振り返り厳しい表情を俺に見せた。


「私は高校生じゃないのよ。普通の生活をしたいだけ。

 毎晩毎晩この通りに立ってるなんて耐えられない。」


「俺だってそうだよ!普通の生活がしたいよ!だけど家に帰っても二人でいれないじゃないか。」


「だったら海に行ってもいい。喫茶店に行ってもいい。

 もう毎晩CLUB遊びはコリゴリよ。」


愛子の表情は本気だ。

彼女はいつも俺を不安にさせる。俺はこんなに愛しているのに彼女の愛は一瞬で冷めてしまったかのようにさえ感じた。

大抵の人間は表情や態度でだいたいの性格やこの人はどういう人間なのかが分かる。俺は正直得意だと思っていた。

だからどんな女が相手でも彼女がどうすれば落ちるかなんて手に取るように分かった。

だけど愛子は違う。こんなこと初めてだ。

俺は彼女が何をしたいのか、本当はどう思っているのかがさっぱり読み取れない。

ただ感じることは俺のことを愛してくれてはいるが、いつでも失う覚悟もしてる、って感じた。

そう思ったら目の前から離れていく愛子を見て俺の心が引き裂かれた。そして涙が止めどなく溢れて来たのだ。


「ジェイソン!」


愛子は思わず俺に近づき抱きしめた。

もう一度言うが俺たちはクレイジーな奴らが行きかうワイキキの最も危険と言われている道路の上だ。

俺はそこで人目もはばからず泣いた。


「愛してるんだ。お願い。行かないで。」


俺の声にならない言葉が囁きのように涙でかすれた。


「どこにも行かないわ。お願い泣かないで。」


愛子は俺を道の端に連れて行きもう一度強く抱きしめ頭を撫ぜた。


「ただもう夜の街に朝方までいるのが疲れただけなの。

 あなたから離れようなんて一度も考えたことないわ。」


愛子は俺より小さな体で俺を包んだ。愛子のお気に入りの香水が香り俺を安心させる。この香りも温もりも誰にも渡したくない。

俺は本気で愛子に夢中で、俺だって一緒にいれればどこだっていい。だけど二人きりでいたいし、俺自身も外に毎晩繰り出すのは正直疲れた。

だけど俺達は一人暮らしをしてる訳でもなく、二人になれるところは外以外どこにもないと思ってた。

俺は知らずのうちに愛子を疲れさせていたことに気づき、そして愛子が去っていく後ろ姿を見てしまい俺は涙を止めることができなかった。

何人か俺たちに向って「大丈夫?」と声をかけてくれた奴らもいるが愛子は「平気よ。」と凛とした態度で俺の泣き顔を誰一人にも見せないでいてくれた。

そして愛子は止まらない涙を何度も何度も手で優しく拭き取り


「愛してるわ。ジェイソン。」


と言ってくれる。

しかし俺は不安で胸が潰れそうで今まで押し込んできた感情が爆発してしまったかのように聞いた。


「永遠に俺を愛してくれる?」


涙で汚れた顔をもう一度手で撫ぜ、愛子はニコっと微笑み瞳には涙を浮かばせて言った。


「永遠にあなたを愛すわ。」


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