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吸血鬼の夢

リダとの闘いに破れ倒れたはずのヒビァクは、目を覚ますとアータム宮殿の最上階、玉間に居た。


横には看病していたのであろう、フランが居る。


・・・フラン?


ヒビァクはある異変に気が付いた。


フランの首から血が流れていたのだ。


「なんで!どうして!!」


ヒビァクは必死にフランの救護を試みたが、みるみる冷たくなるのが伝わった。


周囲に異変はない。


何故彼女が死んだのか、ヒビァクには分からなかった。


しかし、金で出来た玉座に反射して映る自分の口にはベットリと血がついていた。


全てを察するヒビァクはまたもフランの肩を揺さぶる。


「嫌だよ!なんで俺に血を飲ませた!俺はお前が居なきゃ、生きている意味もない!」


ヒビァクはフランを抱いて声を上げて泣いた。


そんな折、玉間の扉が開く。


そこにはリダが立っていた。


「ああ、そうさ。私は欲に塗れた吸血鬼・・・」



吸血鬼ヒビァクは血で濡れた口を拭って言った。



そしてそのまま抱えていた少女フランをゆっくりと床に置く。


「分からないだろうな。私たちの愛のカタチが。」



ヒビァクはフランの身体に自身のマントを被せた。



マントの一部はフランの顔面にまで掛かっている。



「私が欲していたモノ、それは・・・ありきたりなのだろう只の平穏だった。」



ヒビァクは話を続けたまま、リダに向かって歩み始めた。


リダは依然としてヒビァクを睨み、その場を動かない。



「彼女が欲していたモノ、それは・・・心を預けられる友だった。」




ヒビァクの声を除くと、ヒビァクの靴の音だけがコツコツと響く。




「そして私と彼女が欲していたモノ。それは・・・」



ヒビァクは顔を上げて月を見た。



フランと会った日を思い出す。



フランは死にかけていた私に麦をくれた。



フランは私に「ごめんね、貧乏で」と恥ずかしそうに謝った。



フランは市場にあるパン屋の前を通ると、いつもパン屋の中を覗いていた。



「気付いてないと思ったか。気付かないと思ったか。」



・・・ヒビァクの頬を一雫の涙が伝い、月明かりがそれを反射させる。



ヒビァクは目を閉じて言った。



「一切れのパンだ。」



リダは何も言うことなく、先ほど落とした自身の剣を拾い上げると、ヒビァクに向けて構えた。



そしてリダは一呼吸置き、ついに口を開いた。


「違う。お前が欲しいのは、血肉だろ。」



      ーー次週

        「マクヒキ。」

1日・・・1日という長い間、ご愛読ありございました。


さて、物語も大詰めですね。

物語を描いているはずの僕ですら、ラストの結末が気になって仕方ありません(ナンデ?)

どっちが勝つのか、僕と賭けでもしましょう。

僕は・・・おっとダメダメ!



さて、改めて・・・

読者並びに関係者の皆様、永きにわたる応援、本当にありがとうございました。

皆様がいてくれたからこそ、ここまで書ききれたのだと思います。

おかげさまで自分の中で第二の人生とも言える、そんな作品になりました。


心からお礼申し上げます。

また、いつか。

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