蜘蛛の巣
あらすじ
ヒナの命を狙っていたヤクザ達は義父が仕向けたものだった。
次々とヤクザを罠に嵌め数を減らしていくが、ついに主任のトウビによって捕まってしまった。
ヒナはトウジを買収しようと試みるも失敗してしまう。
しかしヒナの話を聞いたトウジはある提案をする。
それはロシアンルーレットでヒナが生き残ったら手を貸すというものだった。
ロシアンルーレットで勝利したヒナは、自身を囮にするというとんでもない方法で義父を誘き出す。
そしてヒナはついに義父を手にかけた。
私は手を拭いた。
血がべっとりと付着した手斧は、いつも以上に鉄臭い。
私はようやっと義父を手にかけることができた。
あの苦しみを受けてから悲願達成まで十年ほどは掛かった。
あの・・・
私は天井にある小さな穴を眺めた。
・・・笑っている。
子供の頃の私は、笑っている。
母を失って行き場のなかった私を、義父は担ぎ上げ肩に乗せた。
子供にしては久しく愛を感じたこの頃の私は、高揚感と安心感で笑みが絶えなかった。
「ヒナはお母さん、好きだったか?」
義父が聞く。
「うん・・・」
「お義父さんも大好きだった。だから・・・」
ーーダッタラナンデ、コロシタノ?ーー
義父はこの半年後に警察に連れて行かれた。
会社を設立し、徐々に成功した母が羨ましかったようだった。
その頃はまだ私も幼く、何故警察に連れて行かれたのか分からなかったから、また1人になるのか、と毎日のように涙を流した。
悲しい。悲しい。
・・・それから8年が経った。
祖父母に預けられていた私は、幼少期の頃のその話をあまり気にしていなかった。
祖父母といる生活が日常となっていた。
・・・ただ、この頃私は変わってしまった。
私が母の死の真相を知ったのだった。
祖父が大事にしていた新聞を整理していた時、義父が逮捕された時のモノを見つけたしまったのだった。
「うわあああああああ!!」
私の悲鳴に祖母は急いで駆け寄ってきた。
私の手元にある新聞を見て、祖母は自分の口元に手を当てると、私をそっと抱きしめた。
「大丈夫、大丈夫だからね。ヒナちゃん。」
・・・大丈夫なわけがない。第一大丈夫かどうかは私が決める事だろう。
歯車は、私の心はそこから大きく狂いだしていった。
私の心は憎しみの蜘蛛の巣に絡め取られてしまったのだった。
子供の頃を懐かしみ、天井のその黒から目を離すと私はそのまま義父の死体の方へと向かった。
私は義父の千切れそうな首の皮を、無理矢理に引きちぎる。
ぶぢぶぢと音がなる。
人間の皮はこうも弾力があるのか。
まるでゴムを千切るようで、私は苦戦しながらもなんとか千切ることができた。
そして私は義父の生首を持ち上げた。
「醜い・・・」
私はふと、外から赤い光が差し込み、サイレンがなっているのに気が付いた。
義父の悲鳴を聞いた外部の人が警察を呼んだのだろう。
私は急いで部屋を出て、屋上へと続く階段に向かった。
ここまでご愛読いただきありがとうございます。
この作品は私にとっての鎮魂歌のようなものです。
具体的なことは書きませんが、あの頃の私に、届けたい一心で書きました。
次回は衝撃のラストです。お楽しみに。