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宇宙創世のモラトリアム

人類は神に創られた。


世界は神に創られた。


主。神はそれ以上でもそれ以下でもない。


神が人類に何をしても、それは彼らの自由だろう


育てても、愛しても。


そして壊しても。

「まもなく政令指定空中都市・ミッドガルドは完全崩壊致します。」


母艦・ミョルニルの艦内に警告が鳴り響く。


「おい画面を見ろ!またロキの砲台が光ってるぞ!」


司令部に鳴り響くはずの声々は、もはやお互いを相殺し合っていた。


警告はまた告げる。


「母艦・ミョルニルは一部、被曝範囲内と推定。以下のエリアは完全に封鎖、及び剥離措置が行われます。居住エリアA,B,E、製造エリアA、ミーミル隊軍議室・・・」


司令席に座っていた総司令・ドムは放送を聞くや否や立ち上がり、秘書・ハリーを指差し、緊迫した声で叫ぶ。


「このままでは埒が開かぬ!搭乗資格のある全パイロットは総員出撃準備!資格のない者も最低限を残し個人用モービルにて出艦!ミーミル隊と合流し次第ミーミル隊の装備を共有して戦闘に参加させるのだ!」


それを聞いたハリーはすぐにマイクを掴むと、艦内全域に放送をした。


「ドム総司令!剥離予定のエリアですが、今剥離を行ってしまいますと地球太平洋沖付近に落ちてしまいます。」


「それがどうした!その箇所にまた奴のレーザーが当たれば母艦全体が煽られ、それこそ陥落してしまうわ!」


ドムはモニター越しにロキの黒く光る装甲に目をやると、悔しそうに唇を噛んだ。


「まさか我々の主砲を待ってしても傷一つつかんとは・・・」


ドムの言葉を聞いた1人がエリア剥離の許可をする赤いボタンを押下し、その為に母艦全体が揺れたや否や、再び緊迫した声が響いた。


「レーザー砲、来ます!」


モニターを監視していた1人はドムの指示を仰ごうと後ろを振り返ったが、司令室に居た7人の艦員は、ロキを映しているモニターから目を離すことができなかった。


そして、先ほどまで煌々と光を放っていたロキの中央部にある砲台は、ほんの一瞬黒く闇色になったかと思うと、瞬く間に強烈な直線状の光を放った。


「ぐうぅ・・・」


着弾していないはずの母艦が大きく揺れる。


母艦後方を移すモニターでは、大きく抉られた空中都市・ミッドガルドの姿が見てとれた。


「あぁ・・・俺たちの故郷が・・・」


艦員の1人が崩れ落ちる。


「勝てない・・・」


モニターに項垂れていた1人が呟く。


「神の名を騙った者への罰だ。」


「人類が神に楯突こうなんて愚かだったんだ。」


衝撃で起動した通信用装置からは、艦内にいる人間の声が聞こえてきた。


「このままでは・・・」


ドムは唇が切れる勢いで口を噛み締める。


「・・・ユグドラシルシステムを起動しろ・・・」


ドムが俯きながら僅かな声で呟いた。


艦内に艦長が走る。


「し、しかし・・・」


「これしか奴に勝つ術はない。」


ドムは打って変わって力強く叫んだ。 


「ユグドラシルシステムを使い、我々のバックアップを至る所に残すのだ。」


「他世界線にだけではない。過去にも未来にも、可能な限り全ての時間軸に我々の持ち得る情報を送付し、人類の未来を託すのだ。」


「ですが、その反動として我々は・・・」


「あぁ。我々オリジナルの世界線を生きる媒体は、電子記録に変換する際に消滅する。つまり、この世界線の人類は今日を持って絶滅する事となる。」


そしてドムは艦内放送用のマイクを持ち、力の限り叫んだ。


「地球史上全ての人類に教えてやれ。神に逆らうとどうなるのか、神はどれだけ無慈悲な存在か。そして・・・」


ドムは目に力を込めて声を震わせた。


「人類がどれだけ勇猛かを!」



         次回、第一章完結

             ONE FOR ONE

次の号で第一章ラストとなります!



まずはここまで応援してくれた皆様、有難うございます。


僕は思うんですよ。この世のなんでも創れてしまう神という存在がいるのなら、その自分をも越す神を創れるって事だよな?と。


ここまでで勘の良い方なら気付くと思いますが、人類は創造主を乗り越えて、自分自身が新たな神になる事を切望しているんですよね。


そしてどうやったら神を越えられるのか、彼らはまだ試行錯誤の途中ですが、ひとまずは神より高次元的存在になる事を目指しているようです。


そこで今回の話で初めて出てきた"ユグドラシル"ですね。

これは全ての人間を謂わば同期するようなものです。

4次元に接続する装置、とも言えますね。


4次元が神よりも高次元なのか、それとも神はより高い次元に存在しているのか。

ここから先も楽しみに待っていて下さい!


ではまた来週のうちゅモラで会いましょう!

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