マルクス・バドリスその7~最初の試練~
遂に来てしまった恐るべき瞬間、「リヴィウス皇帝の出張」。
此れ迄は無茶苦茶に強い皇帝陛下とリヴィア皇女、アストレアさんの3人が身近に居たので殺し屋さん御一同も手を出せなかったのですが…。
「すまんな明日から1泊2日の出張だ。」
リヴィウス皇帝からその事を告げられたのは召喚されてから1ヶ月半程経ったある日の朝食の時間だった。
「先帝陛下の元同僚執政官のクロディウス・ヴァルカ・キサルピア・グレニコス殿がお亡くなりになったので葬儀に出席しなければならない事になりまして。」
「明日予定されていた神殿調整会は私が代理で出席しないといけないから・・・私も明日は皇城を空けるわ。」
アストレアさんとリヴィア皇女が申し訳なさそうな顔で付け加える。
拙い。
非常に拙い。
これまで説明された状況を整理すると、俺は腕利きの殺し屋に狙われているが、リヴィウス皇帝達が邪魔で手を出せない。
即ち、急な葬儀で留守にするとなると、絶好の襲撃のチャンス。
「リュキアは君と一緒に留守番だ。殺し屋が狙ってくる危険性も高いから、絶対にリュキアと離れるなよ。」
・・・やっぱり・・・(涙)
「人手不足の中、インペリアルガードの一人を護衛に付けているのだから泣き言言わない!」
即座にリヴィア皇女の叱責が飛ぶ。
インペリアルガードは西方帝国皇帝直属の側近兼護衛だ。
皇帝の執務室でも帯剣を許され、筆頭の地位にあるアストレアさんに至っては正規軍の軍団長に準ずる格式を許されている。
身分の制約は無い完全実力主義で、解放奴隷や奴隷でも任命されるが、仮想敵が超一流の暗殺者と言う事で並の武術の達人を圧倒する戦闘能力と判断力、対象に対する絶対の忠誠を兼ね備えている事が条件と聞いている。
とは言え、そんな人材がゴロゴロ居るわけも無く、人手不足が深刻な側近の中でも特に不足している部門だ。
その一人を専属で貸し出されているだけ最大限の好意と世間は見るだろう。
「ま、明後日の夜までには帰るから、殺されないように気を付けてくれ。」
…明日と明後日は俺の人生で一番過酷な日になりそうだ…(涙)。
マルクス君は生き残る事が出来るのか!?
此処からエロ描写や残酷描写中心の節を飛ばし始めているので、節の抜けが生じています。