あります!
すると、花屋のお姉さんが素早く、店内のカレンダーに目をやった。
それから、何かかわいそうなものでも見るかのような視線を、私の方へと向けてくる。
「あの、アサガオは今置いてなくて」
もうしわけなさそうに言うお姉さん。
「いつ入荷しますか?」
「・・・・・・」
花屋のお姉さんは沈黙したあとで、ぽつりとつぶやく。
「たぶん、来年の七月頃には」
さらに言葉を続けて、
「一か月前なら、たくさんあったんですけど・・・・・・」
私は花屋の中をさっと見回した。アサガオはない。
でも、そこまでの絶望はなかった。そもそも、あまり期待していなかったし。
今は八月だ。「だよなあ」としか思わない。
「あ!」
突然、お姉さんが声を上げた。
「あります! アサガオ、ありますよ!」
早口で言ってから、店の奥へと消えていく。
しばらくして戻ってきた時、お姉さんの手には、「アサガオのタネ」があった。
「いや・・・・・・。それ、すでに持っています」
結局、花屋では何の収穫も得られなかった。
店を出てすぐに、百円ショップを見つける。
宿題の中には『自由研究(工作)』もあるし、何か使えそうな物がないか、この百円ショップで探してみようかな。
(ひょっとしたら、意外な発見があるかもしれないし。たとえば、アサガオの実物とか置いてあったりして・・・・・・)
そして、私は見つけることになる。
アサガオの実物ではないが、
(これを使えば、『アサガオの観察日記』が完成するんじゃ・・・・・・)