そんなわけで外出
ところが、私の素敵なアイデアは、ディレクターに却下されてしまった。
「それだと、枯れたアサガオの方がメインになっていますよね」
私は心の中で、「じゃあ、枯れていないアサガオを用意しろよ」と文句をつぶやくが、その直後に一つのアイデアを閃いた。
そうだ、花屋に行ってみよう。ひょっとしたら、アサガオを売っているかもしれない。
そんなわけで外出すると、ディレクターとカメラマンもついて来た。
これって、撮影のためというのもあるだろうけど、それと同時に、私が逃亡しないように見張っているのかな?
まあ、ディレクターたちがそう思いたくなるのも、わかる気がする。
なので、その期待に応えるべく、いきなりダッシュしてみる。
「あははははは♪ さらばだー♪」
これはいい。気分爽快だ。さっきまでの憂鬱な気分が、一瞬で吹き飛んでしまった。
しかし一分後、私は最悪の気分になっていた。
ディレクターに捕まり、首を絞められているのだ。
「ぐ、ぐるじぃ・・・・・・」
通行人たちに目で助けを求める私。
だけど、すぐ近くにテレビ局のカメラマンがいるためか、ドラマの撮影だと思われているみたいだ。誰も助けてくれない。
もう逃げないと何十回も誓ってから、ようやく解放された。
「いやあ、いい映像が撮れましたよ」
カメラマンが笑顔で囁いてくる。
いや、すぐに助けろよ。
そんなハプニングはあったものの、私は数分後、大きな花屋に到着した。
元気な声で言う。
「アサガオ、ください!」