見せたいもの
夏休みの宿題といっても、それぞれの小学校によって、多少の違いがある。
そこで、番組では今回、次のようなものを用意したという。
『アサガオの観察日記』(タネからスタート)
『漢字ドリルと計算ドリル』(小学一年生レベル)
『自由研究(工作)』
『夏休みの絵日記』
『読書感想文』
この五つを、たった一日で完成させなければならない。
現在の時刻は午前九時だ。
で、タイムリミットは今日の日付が変わるまで。つまり、明日の午前零時だ。
なるほどね。ルールは理解した。
この五つだとやはり、『アサガオの観察日記』が無茶すぎる。
私は神様じゃないんだぞ。お手々をパンと叩いたら、あら不思議。アサガオのタネが急成長する、そんな特技は使えない。
さすがに無理だと、ディレクターと交渉する。タネではなくて、ちゃんとしたアサガオの花を用意して欲しい。
すると、こんなことを言ってきた。
「見せたいものがあります。ついて来てください」
ディレクターが歩き出す。
私はついていくしかない。なぜかカメラマンも同行する。
そのまま三人でスタジオの外に出ると、テレビ局の通路を歩いていく。
階段を下りたあと、ある部屋の前でディレクターが足を止めた。
ドアには白い紙が貼ってある。赤い文字で「関係者以外は立ち入り禁止」と書いてあった。
「中を見てください」