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その1

 ぼく、でんちゅう。

 うん、ただのでんちゅう。

 そう、たぶんきみがいつも、がっこうのゆきかえりに、おなじばしょに、おなじけしきに、なんのへんてつもない、ただのでんちゅう。

 そのただのでんちゅうが、きょうはきみにごあいさつをしてあげたいのだけれども。

 ぼくはざんねんながら、にんげんのコトバをはなすことはできないんだよ。

 でもね、ぼくは、ただのでんちゅうだけれども、ただのでんちゅうだから、ぼくはじっといつもおなじばしょから

 きみをみつめていることもできるんだということを、わかってほしいんだよ。

 きみはきっとあのこのことがだいすきなんだろうね。

 うん、それはぼくにもよくわかるんだよ。

 なんとかしてあげたいなあ、それができたらいいとおもうんだよ。

 きみはあのこのことがだいすきで、でもきみはあんまりひととなかよく、にぎやかにするのがとてもにがてだから

 きみはとってもさびしいおもいをしているのかもしれない。

 ねえどうしてきみは、そんなにさびしいひょうじょうをいつもしているの?

 ねえ、きみがもっとあかるい、えがおをね、あのこにみせてあげたら、きっとあのこもきみに、ほほえんでくれるとおもうんだよねえ。

 ぼくはね、いつもきみが、あかるいえがおで、ここをとおってくれたらどんなにステキだろうかと、いつもくうそうしているんだ。

 ねえ、ぼくはただのでんちゅうにすぎないんだ。

 ぼくはりょうてにでんせんが、でんりゅうを、ながすいがいにとりえがないから、あとはソラとツチと、カラスと、イシコロにはなしかけながら、

 いちにちじゅう、くうそうにふけるだけなんだよ。

 ああ、きみとあのこがわらってくれたら、どんなにステキなんだろう!!



・・・どうせダメモトで行動してもいいような気がしたんだ。

 たぶん僕にだってそれぐらいの勇気は必要なのかもしれないんだよなあ・・・、言葉で、ココロで、それをわかってはいるんだけれども

でもそれを、具体的にどう行動に移したらいいのかなんて、まったくわからなかった。

 たぶん僕なんて、きっとあの子の眼中になんかないんだろうなあ・・・

 それはわかっているんだけれども、でも日ごとに高まるこのモヤモヤとした思いは何なんだろう。

 恥ずかしくて当たり前だけれども親友に打ち明けることもできないよ。

 それもわかりきっているんだけれども、けれどもねえ、きのうの放課後、あの子がいつもの帰り道、何だってあんなに寂しそうに歩いているから

 僕はほんとうにあの子に声をかけてみようって勇気が沸いたんだけれども、すぐに電柱のそばからノラネコと遊んでいた小学生がいきよいよく飛び

だしたもんだから、そんな気持ちなんていっぺんに吹き飛んだんだ。

 こんなんじゃいつまでたってもあの子と友達にもなることさえできない・・・



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