召還
ラストです!
「何ということだ……」
私は外を見て絶句していた
あんなに青かった空は消えた
あんなに咲いていた花も消えた
あんなに繁っていた木々も消えた
全てが黒く染まっていたのだ
「こんなことになるなんて……」
私は気がついてしまった
自分の犯した罪に
己がいつしか闇に飲まれていたことに
私は膝をついた
「私はもう、聖女じゃない……」
私はそう呟いた後、狂ったように笑い始めた
聖女でないのにここにいる理由があるだろうか?
否、ここに必要なのは聖女であり、今の私ではない
ふと、天井の壁画が目に入った
世界の歴史が描かれていて、ある男のところを見つめる
「そんな目で見るな……」
私は男に向かって言った
その男は遥か昔、勇者と呼ばれていた
その男の絵が悲しげな顔をしているように見えたのだ
勇者は私の仲間だった
勇者は私の相棒だった
勇者は私の想い人だった
だが、勇者は私を選びはしなかった
選んだのは平凡な女だった
「そうか、だから私はここにとどまったのだったな……」
自らを犠牲にすることにより勇者の中で永遠にあり続ける
例えあの女を選んだとしても彼は私の事を一生忘れない
大事な仲間を
大事な相棒を
「持って千年。私はそう初めから宣言していた気がする……」
私は笑みを浮かべる
勇者が好きだった
勇者と一緒に居たかった
彼に私を選んで欲しかった
でも違った――
彼はあの女を選んだ
私はあの女を恨みたかった
私はあの女を消したかった
私はあの女を生け贄にしてしまいたかった
けれども、私にはできなかった
彼女も私の仲間であり、友であり、相棒でもあった
「私もあの女が好きだった……」
だから聖女の力を受け入れた
二人が幸せにしている姿は見たくない
けれど、不幸になってほしいとも思わない
「ただ、私を忘れてほしくなかっただけだ……」
ずっと記憶していてほしい
忘れないでほしい
その想いだけだった
『はははははは!!』
闇のの笑い声が聞こえた気がした
「邪神を復活させてはいけない」
私は立ち上がり手をあげると、足元に魔方陣が現れた
「私の罪は私が償う。しかし、私一人ではアレを封印できない」
だから、召還する
彼の魂を
彼女の魂を
この世界の者は私に気がつかない
彼等でなければ……
パアアン!
魔方陣が弾けた
私はそれと同時に膝をつく
「これで、成功したはずだ」
私が安堵したのもつかの間、私の身体が黒い闇に飲まれていく
「私の身体を乗っ取ろうと言うのか、面白い」
私は笑った
心の底から笑った
ここに来てこんなに笑ったのは初めてかもしれない
「いいだろう、遊んでやる」
私は笑みを浮かべながら答えると闇が私を包み込んだ
『これで私は自由になれる』
世界の平和を犠牲にして――
ここまで読んでくれた方、ありがとうございます
本当は別のタイプを書くつもりだったのに、こっちが先に思い付いてこっちから投稿してしまいました
次も脱線だらけかもしれませんが、もしよければまたお付き合いください
では、またどこかで!




