第5花
な、何でしょうか、驚いて体が跳ねました。
声は上から聞こえたので、反射的に上を見ます。
そこには、ロウズヒップの紅茶のような鮮やかな赤が私の目に飛び込んできました。決して攻撃的ではなく、思わず目で追っかけてしまいそうな、視線を引きつけるような赤色でした。
サラサラと背中からこぼれ落ちるその赤色は、彼の印象を鮮やかに色づけました。
ヘーゼル色の瞳が私を写します。
「君はユキノハナを探していた、そうだろう?」
彼は目に優しい色を灯しながら、私にそう聞きました。
私の喉は、今度は驚きによって声を出せなくなり私は、コクコクと頷きました。
彼は私から前にいる騎士達に視線を移した。
「クォール伯!そうでしたか、ユキノハナをお探しになられていたのですね。申し訳ございません、実のところ今は少し、未婚の女性には騎士の間でもピリピリしておりまして」
「だろうね、ウィント王子も災難だ。まぁでも、あれだけ女性に騒がれていたらああなるか」
うーん、どうやら私が疑われていた理由は、私がまだ結婚していなさそうな女性であるからで、ここ最近ウィント様に女性関係で何かあったらしい。それはともかく私はどうしたらいいんだ。私はこの赤いお兄さんに助けられて、彼はクォール伯というらしい。伯爵位である。そして、私を包んでいる温かいものはマントであるらしい、大きくて私をすっぽり包んでいるからこのお兄さんのマントであることが分かる。あ、やばいマントの裾が地面についてしまっている、真っ白なマントなのに汚れたらすぐに分かってしまうのに。そう思ってどうにかして裾を持ち上げようと奮闘しているとクォール伯爵様が
「とにかくこの子は大丈夫だよ。私が送り届けておくから」
と言って、なんと私を抱き上げたのである!これもお国柄なのだろうか、まだ自己紹介もしてないよく知らない男性に抱き上げられてことなんて初めてである。というか、自国では絶対にされないし、男性もしない。たとえ私がまだ7歳であっても女性は女性という扱いで断りなしに触れることは失礼にあたるのである。なので、正直手をどこに置いたらいいのか、どこに視線をやればいいのかさっぱりである。
もう、どうにでもなれ.......
とにかく俯いて手は握り締めて自分の胸元に置いてこう、なんだかよく分からないけど彼は私をパーティー会場まで送ってくれるらしい。というか、私別に抱かれなくても一人で歩けるんだけど。あれ?なんで私抱き上げられてるんだろう。うん??え、なんで?
この国では男性は女性を抱き上げて歩くとかそういう作法があるのか?そんな馬鹿な、もし女性が男性より大柄な人だったら無理じゃないか。えぇええぇ、とにかく下ろして欲しいんだけど
声よ出ろ!今こそ出番だ!さっき出なかったのは許すから!だから、今!今出て!
「.......あ、あの、一人で歩けます」
い、言えた!私よくやった、家に帰ったら存分に自分を甘やかそう、夜ふかししてお花の本を読みあさるのだ!と、一人で無表情に自分を褒めていると彼は
「.......ふ、ふふふ、ふは ははは あはははははははっ!ど、どうして君は そんなに可愛いの!あはははは」
え、どうしたの、この人壊れたの。
私何かやらかしました??
お久しぶりです、忙しくて妄想する暇もなくあやうく永眠しそうでした。
それにしても毎回どれぐらい長く書けばわからない。今回短いですよねすみません。
もしかしたら、今後書き足すかもです。