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第4花



それからは、とにかくすごい状況でした。

第1王子、もといウィント第1王子様を見つけるには簡単です。女性の視線と女性の集団をたどればすぐ見つかるのですから。


それにしても、ウィント様は直視できないぐらいに輝いていました。

お兄さまたちもキラキラですが、ウィント様はなんだかキラキラを通り越して目に悪いとさえ感じるほどでした。兄とともにご挨拶をさせていただいところ、ウィント様からもなんと頬チュウ付きのハグを頂きました。


さすがはこの国の王子様です。川の流れのような風のような滑るような見事な頬チュウとハグでした。なにそれ怖い。そうそう、怖いといえば女性からの視線も怖かったです。


ウィント様は婚約者もおらず、意中の女性もいないとの話だったのでこの国の独身女性にとってはそれはもう、夫にしたい男性殿堂入りぐらいの存在なのでしょう。女性の方々の気合の入りようが違います。なので私は早々と退場させてもらいます!女性の嫉妬ほど怖いものはありませんからね!




遠く離れたところから、パーティーを見ているとどうやらウィント様は、女性からだけではなく男性からも好ましく思われているようです。そういえばお兄さまからの手紙に「ウィント様は、賢く頭の回転が速いだけではなく、武道や魔法も優れている。そして外見とは異なって接しやすい方だ」と書いていました。そんなスーパー人間がいらっしゃるのですね。私にもその能力分けて欲しいです。


あ、お兄さまがウィント様とお話をしています。見た感じ本当にお兄さまとウィント様は仲が良いようで同級生の方たちととても楽しそうに笑っています。



・・・・・・・・今なら少しだけここから抜け出してもバレないかもしれません。お兄さまは完全に私とは違う方向を向いているしお父様たちも誰かとお話しています。


善は急げとどこかで聞いたことがあります。今を逃すと次はないかもしれないと思いテラスに出ました。お兄さま、申し訳ありません!


お兄さまは結構鋭い方なので、あまり長居はできません。実はもう会場にいないことがバレているかもしれないというゾッとする不安も無理やり無視して、庭を歩き回ります。



ユキノハナ ユキノハナ・・・・・・・・あ、このお花何でしょう。花弁がとてもふわふわしていて可愛いです。正直持って帰りたいところですが、私の国に持って帰ると気温が違うので枯れてしまうと本で読みました。残念、諦めます。と、それどころじゃなくてユキノハナ ユキノ ん?このお花は本に載っていた・・・・・・・・




あだ、もうダメです!私にとってはどのお花も可愛くて綺麗で実際に見たことのないお花ばかりですぐに足が止まってしまいます!どうしたらいいんでしょう。早くしないとお兄さまに見つかりますのに。




そう焦っていたところ、いつのまにか早歩きになっておりしかも小声で「ユキノハナ ユキノハナ ユキノハナ」と呟いておりました。



ドンッ!



やってしまいました。ずっと下を向いて探していたので前方が注意力散漫でした。そのまま尻餅をついてしまいそぉっと見上げるとそこは騎士様が2人立っておりました。



彼らは私の手を引っ張って下さり、私の顔を覗き込んで言いました。


「申し訳ない、怪我はないかお嬢さん。」


お尻は多少痛かったのですが、それは我慢できるものであり他に痛いところもなかったので


「いいえ、ありません。突撃してしまって申し訳ありませんでした。ありがとうございます」


と話しますと


「それはよかった。ところでここまで来てどうしたんだい?ここから先は王家のものしか入れないんだよ」

と彼らは話しました。



あ、と声が漏れました。彼らの声は優しく聞こえますが目の奥から疑いの意がチラッとだけ見えました。もしや、私は疑われているのでしょうか?いえ、確実に疑われています。とにかく怪しいものじゃないと証明しなければと思い、慌てて口を開きましたが



「・・・・・・・・そうだったのですか。でも、その知らなくて、それで・・・・・・・・」



で、声が出なくなってしまいました。実は私は焦ったり悲しくなって心が不安になるとすぐ声が出なくなってしまうのです。喉が張り付いたようになってしまうので、だから会話が苦手なのです。




思わず下を向いてしまいました。私は何も悪いことはいていないのにこんな反応をしてしまうとさらに疑われてしまいます。それを思うとさらに声は出なくなりました。騎士様たちが私を見ながら何か囁きあっているのが聞こえます。



どうしよう、声が、声が、「この子は違うよ。怪しいものじゃない。」




ふわっと暖かいものが私を包みました。




難産でした。

早く楽しいところ行きたい

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