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69.久々の宿

 僕とリリィはガナードの街を歩いていた。

 今地下の隠れ家では、ユイとタニアが2人っきりだ。

 ちゃんとユイが教育して、タニアがいい子になっていればいいんだけど……。


「アル、どこに行くの?」


「うーん、何も考えずに出かけちゃったね。リリィは行きたいところある?」


「買い物がしたいな。ユイになにかプレゼント買おうよ。今頑張ってるんだもん」


「そうだね、そうしようか。ユイとタニアが仲良くなれるよう、お揃いのなにか買ってあげよう」


 というわけで雑貨屋さんに来てみた。

 でも何をあげればいいんだろうな。

 ここはリリィに任せるべきか……。


「アル、それぞれで選んでプレゼントしようよ。おこづかい欲しいなー」


 と言われたので、僕1人で選ぶことになってしまった。

 女の子は何をもらって喜ぶのだろうか……。


 いろいろ悩んだ結果、お揃いの髪飾りにしてみた。

 小さな花の飾りがついていて可愛らしい。

 ユイが喜びそうというより、僕がユイに着けてほしいものになったかな。

 喜んでくれるといいな。


 あと、こっそりリリィへのプレゼントも買うことにした。

 リリィの喜ぶ顔も見たいんだ。

 さてさて……リリィに似合う可愛い何か……。

 いや待てよ、リリィは子供っぽいのより大人っぽい物の方が喜びそうだ。


 そして僕は首にかけるペンダントを選んでいた。

 緑色の綺麗な石が付いていて、なんとなく気に入ったんだ。

 喜んでくれるといいなあ。


 そして外でリリィと合流する。

 ユイに何を買ったのかは、後で宿にて見せあうとする。

 でもまだ宿に行くのは早いんだよなあ……。

 なんとなく冒険者ギルドに向かってみた。


 ギルドに入ると、なんとなく人が多い。

 忙しいのかと思ったけど、みんなのんびりしている感じだ。

 知り合いがいないかと見回すと、ラルフさんとライラさんがいた。

 話しかけるとしよう。


「ラルフさんにライラさんこんにちは。お仕事ですか?」


「お、アルバートか。仕事をしたいんだが、たいしたものがなくってな。知ってるか? 最近モンスターの数が減ってるみたいだぞ。モンスターが発生する魔法陣も全然生まれないらしい」


「そうなんですか……」


 モンスターが減ってるのか。

 平和になるのはいいけど、冒険者的には仕事が減っちゃうんだろうな。

 僕も冒険者をやめて、本格的にディーラさんの商売の手伝いでもしようかな。

 

「ところでお前さんの連れてる子……まさかとは思うんだが、奴隷じゃなくなったのか?」


「はい、そうなんです。もともとこの子は手違いで奴隷にされちゃったんですよ。だからようやく奴隷から解放できました」


「奴隷から解放するにはかなりの大金が必要と聞いたぞ……。お前さん稼いでるんだな……」


「ああいえ、お金はかからなかったんですよ。実はですね……」


 僕はラルフさんに詳細を話した。

 本来であれば高価な触媒を使って魔法を使い、奴隷の証を消す必要があった。

 その代用として以前教えたユリアの花を使った回復魔法を使って、奴隷の証を治したと。


「ほー、あの魔法はそんなこともできるのか。たいしたもんだな。そうそう、あの魔法はライラが使えるようになって助かってるぜ。俺には才能がないのか使えなかったがな」


「ライラさんには才能があったんですね」


「みたいだな。あと周りに聞いても、使えるのは女ばっかりみたいだぜ。男どもはみんな悔しがってるぜ」


 あの魔法を使えるのは女性だけってことに、みんなすでに気づいているようだ。

 そのまま才能のある女性を羨ましがって尊敬してくれたらいいな。

 そして女性を奴隷にすることがおかしいと気づいてほしいところ……。


「でしょうね。ところでラルフさん、もし奴隷を解放したいと思っている人がいたら教えてくださいね。例の回復魔法で消すことができると言っても、かなり難しいんです。僕らが手伝うつもりなので」


「そ、そうなのか……」


 ラルフさんがライラさんをちらっと見た。

 奴隷でなくそうと思ってるんだろうか?

 言いにくそうだし、こっちから聞こう。


「ラルフさんたちもどうです? 主人と奴隷の関係から夫婦になるってのは」


「な!? 何言ってるんだ!」


 2人ともまんざらではない顔をしている。

 仲良しだしいいと思うんだけどなあ。


「いかがです? お似合いだと思いますよ」


「そ、そうか? いやでも……奴隷から解放するってことはこいつを自由にするってことだからなあ……」


 なにか困ったような感じのラルフさん。

 奴隷でなくなったら、ライラさんが去っていくと思ってるのかな?

 そんなことはないはずなのに、自信がないのかなあ。

 どう言おうか考えていると、リリィが僕にくっついてきて言った。


「あたしは奴隷から解放されて、自分の意思でアルと一緒にいたくてここにいるんです。ライラさんは奴隷でなくなったら何をしたいですか?」


「えっと……私はご主人様と一緒にいたいです」


「そ、そうなのか?」


 見つめあうラルフさんとライラさん。

 うーん、お熱い。

 熱気にやられそうなので、このまま去るとしよう。


「ではラルフさん、その気になったらいつでも言ってくださいね」


「お、おう……よろしくな」


 きっと頼まれる予感がしている。

 このまま押して奴隷から解放させるというのも考えたが、成功させるにはユイがいないと無理だろうな。

 というわけで僕とリリィは冒険者ギルドを後にした。


 この後、図書館に行ったりと時間をつぶして宿屋で部屋を取った。

 夕食を食べながら、リリィと2人っきりで宿に泊まるのは初だなあと思った。

 食べ終わり、さっそくユイへのプレゼントを見せあう。


 僕はお揃いの髪飾り。

 リリィはお揃いの可愛らしいブレスレットだった。

 やっぱりリリィのほうがセンスがあるなあ。


「そのブレスレットすごく可愛いね。ユイは絶対喜ぶよ」


「アルが選んだ髪飾りも可愛いよ。早く渡したいね」


「そうだね。あ、リリィにもあるんだ。喜んでくれるといいんだけど……」


「あ……それをあたしに? 嬉しいな……えっとね、実はあたしもアルに買ったんだ……」


 僕がペンダントを見せると、リリィもカバンから何かを取りだした。

 その手にあるのは僕が持っているものと同じで、付いている石の色が青だった。

 同じものを選んだのか……なんだか嬉しいかも。


「お揃いだね……ありがとう、リリィ」


「うん、あたしも嬉しいな。ねえねえ、明日帰る前にまたお店に寄ろうよ」


「そうだね、ユイには何色の石が似合うかな」


「うーん、赤とかピンク? 明日見ながら一緒に決めよう」


「そうしようか」


 同じものを選んだ僕とリリィは、次に考えたことも同じだった。

 3人でお揃いのペンダントか……いいなあ。

 ユイはたくさんおみやげをもらって驚くんだろうな。

 リリィはさっそく首にかけようとしている。


「うん、いいかも。アル、似合ってるかな?」


 リリィが胸の前で緑の石を揺らす。

 僕はそれを見ながら、リリィの胸元をちらっと見てしまった。


「アルのエッチー」


「あ、ごめんね……」


 こういうのはすぐばれるって本当みたいだな……。

 なんとなく気まずい。


「ふふっ、好きなだけ見ていいよ。あたしはアルのだもん。ねえ、水汲み行こうよ。ひさしぶりに体の拭きあいっこしよう」


 宿に泊まった時はいつも僕が水を汲みにいき、それで体を拭いていた。

 ユイと2人きりの時は拭きあった。

 リリィが増えてからは、2人に僕の体を拭いてもらった。

 ただ、僕がリリィを拭いたことはなかった。

 今日はいいのかな?


 なんとなく緊張しながら水汲みに行った。

 リリィは楽しそうだ。

 そういえばリリィが水汲みに来るのって初かな。

 なんか今日はいろいろと新鮮なと考えつつ部屋に戻った。

 

「じゃあどっちからかな? いつも通りだとあたしが先に拭いてもらう方かな?」


「えっと……ほんとにいいのかな? 前は恥ずかしがってたし、ユイにはあまり裸を見せちゃだめって言ってたよね」


「今日はいいんだ。滅多にない日だし、次はきっとずっと先だよ。ユイはアルに裸見せたことあるんだよね。あたしも見てもらいたいんだ……」


「そっか。じゃあ僕からもお願いしたいな。リリィの体を拭きたい」


「うん……じゃあ脱ぐね」


 照れた顔で服を脱ぎ始めるリリィ。

 少しずつ白い肌が露出していく。

 綺麗だな……。


「あたしの体はどうかな? まだ幼いけど自信あるんだ」


「すごく綺麗だよ」


 リリィは照れながら、下着1枚だけの姿となった。


「今日はここまでね。最後を見せるのは……きっと大事な時なんだ。ねえ、ユイとあたしはどっちが綺麗かな。あ、これは意地悪な質問だね。ユイの方が綺麗ってことはあたしも知ってるもん」


「どっちがいいか選べないくらい綺麗だよ」


「そっか、嬉しいな……。ねえ、ユイは治療を続けていけばきっと火傷の痕も全部消えるよね。そうなった後でまた見比べてほしいな」


「うん……」


 ユイの傷は日に日に消えていっている。

 しばらくすれば完全に傷は無くなるだろう。

 ユイは今よりずっと綺麗になるんだ。

 でもその時はきっと……リリィも今より綺麗になっていることだろう。

 そして僕は……どっちが綺麗か選べないんだろうな。


「じゃあ拭いて……ちょっとくらいなら変なところ触ったっていいよ……」


 僕はリリィのやわらかな体を拭いていくのだった。

 夢でも見ているような気分となり、この後のことはよく覚えていない。

 僕がリリィの体を拭き、リリィが僕の体を拭いた。


 そして、裸のまま寝ることになった。

 なんだかユイと2人でこうやって寝た時のことを思い出す。

 あの時は眠れずに、寝た振りをしながら悶々として夜更かししてしまった。

 なんとなく……今日もそうなる気がしていた……。

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