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33.対人戦

 これから襲撃者に備えて、防御を固める。

 ここは僕がしっかりと指揮をとろう。

 たいしたことが言えるわけではないけど、僕が支持すれば2人の能力が向上するんだ。

 少し怖いけど、ユイとリリィがいれば大丈夫だと信じている。


「ユイ、馬車に魔法障壁をお願い。そして僕らに強化魔法を頼むよ」


「お任せください」


「リリィ、様子はどうかな?」


「うん、じわじわ接近してきてる。うまく隠れてるけど、あたしには丸見えだよ。人数は……10人だ。あ、がんばれば会話も聞こえるかもしれない……。アルの力を借りればだけど……」


「わかった」


 僕はリリィをやさしく抱きよせる。

 こうすることでリリィが大自然からより力を借りることができる。

 ただ……大自然が僕とリリィをくっつけるためにそんな設定にしてる気がしてならない。

 こうすると力を借りられるというより、こうしないと力を貸してやんないぞ的な……。


「えっと……ありがと。あ、リーダーっぽいやつの会話が聞けそうだよ」


 おっと、余計なことは考えずに……僕もその声を聞くべく集中だ。


『護衛の数は少ないらしいからな。一斉にかかれば楽勝だ。男は確実に殺せ。女は……後で楽しむために生け捕りにするぞ』


『へへっ、楽しみですね。しかも成功すれば金までもらえるときた。ボスについてきてよかったですぜ。では取り囲みます』


『おう。黒鷲盗賊団の力を見せてやりな』


 盗賊団か、誰かに頼まれているようだ。

 ほぼ間違いなくヴァルマンがディーラさんを殺しにかかってるな。

 しかも女性たちに酷いことをする気でいるようだ。

 後悔させてやらなくては。


「ユイ、敵は盗賊団らしい。今からここを囲んで一斉攻撃してくるみたいだ。悪い奴らだから遠慮なくやっちゃって。でもいろいろ聞きたいから、殺さないようにお願い」


「はい、おそらく大丈夫です」


 僕はユイに人を殺してほしくはない。

 おそらくユイはぼくのためであれば、人を殺すことでもためらわないだろう。

 この世界だと殺し合いも日常茶飯事なのかもしれない。

 殺人をしないでほしいのはきっと僕のわがままだけど、聞いてほしいな。


「アル、あたしはどうしたらいいかな? 接近されたらあまり役に立てないかも。大自然の力は、戦いに直に参加するのは消極的なんだ」


 もし大自然が本気になれば、あの盗賊なんてあっさり撃退できるだろう。

 でもきっとそれは不自然なことなんだ。

 借りる力は最低限にして、戦いに関してはなるべく僕たちの力で行なおうか。


「そうだね、盗賊たちは僕らが気づいてないと思ってる。だからリリィの弓で先制攻撃しちゃおうか」


「わかった、やってみる!」


 リリィは弓をつがえ、上空に向けた。

 風や空気を読んで、矢は山なりに盗賊まで飛んでいくのだろう。


「あの……アル……どこでもいいからあたしに触れててほしいんだ。そうしたら確実に当たるからさ」


「わかった」


 今日のリリィは積極的な気がする。

 僕と触れ合うことに慣れてきたような……。

 リリィの頭に触れてと……。


「じゃあいくね。きっとこの矢を打ったら戦闘開始だよ。いいかな?」


「うん、リリィの好きなタイミングでよろしく」


「うん……今だっ!」


 矢が放たれ、闇夜へと消えていった。

 リリィはそのまま次の矢を弓につがえる。

 どんどん連発するようだ。


「よし、一発目は敵の足に刺さったよ」


「すごいねリリィ、そのまま頼むよ」


「任せて」


 リリィに触れている僕にも状況が伝わってくる。

 敵は悲鳴をあげたようだけど、周りの空気がその声をかき消してくれたようだ。

 戦闘に直に協力はしてくれないけど、補助はいろいろしてくれるんだな。


 リリィは矢を連続で放ち、3人ほど足止めをしてくれたようだ。

 残り7人はそろそろ接近してきているだろう。

 1番近いのは……。


「ユイ、そこの茂みからくるよ」


「はい!」


 ユイは茂みの方角に向かって剣を振り放ち、剣より衝撃波が飛んでいく。

 僕が言わなくとも気づいていたのかもしれない。

 だけど僕が指示を出すことに意味があるはず。


「ぐわあっ!」


 見事命中したようで、今度は悲鳴が聞こえてきた。

 これが戦闘開始の合図になったようだ。


「くそっ! 気づいてやがったか。一斉にかかれ!」

「てえいっ!」

「はああっ!」


 あたりの茂みから6人の盗賊が飛び出してきた。

 それをリリィの矢とユイの剣撃が1人ずつ倒す。

 盗賊は仲間があっさり倒されたことに驚くが、飛び出してきた勢いは止まらない。

 さらにリリィが1人を射抜き、ユイが2人を倒した。

 これであと1人!


「なっ! くそうっ!」


 最後の1人にリリィが矢を放つが、避けられた。

 あの声……あいつが盗賊のボスみたいだ。

 あ、逃げようとしている。


「ユイ、あいつを捕まえて! 話を聞かなきゃならない」


「お任せください!」


 ユイが猛ダッシュして盗賊のボスとの距離を詰める。

 そのまま切り掛かるユイ。


「逃がしませんよっ!」


「ちいいいっ!」


 あ、ユイの剣を受け止めたようだ。

 さすがボスだけあってそれなりにできるみたいだ。

 でもユイの敵ではないだろう。


 だが……なかなか決着がつかないようだ。

 ユイと互角に戦えるとは、さすが盗賊のボスと言ったところか。

 でもユイは殺さないように手加減をしてるからこうなっちゃうんだな。

 では僕の指揮で状況を変えてみよう。


「ユイ! 剣から雷を出して気絶させてやれ!」


「はい!」


「なに!? そんな魔法が使えるのか?」


 盗賊は慌てているが、今のユイから逃げることはできないだろう。

 ユイの剣を盗賊の剣が受け止めた瞬間……。


「雷撃!」


「ぬおおおおおおっ!?」


 ユイの剣から電気がほとばしり、盗賊のボスに襲いかかった。

 うーん、僕の指揮通りで何か気持ちいい。

 いや、すごいのはそれを難なく実行できるユイの能力か。

 お、倒れて動かなくなったぞ。


「ご主人様、やりました! 縛るロープか何かはあるでしょうか?」


「よくやったよユイ。ちょっとディーラさんに聞いてくる」


「あ、それならあたしに任せてよ」


「え? うん、任せるよ」


 リリィが何か念じると……倒れている盗賊のボスの手足に土がまとわりついた。

 あれで動けなくなったのかな?


「いっちょあがり。他の奴らも同じようにしておくよ。ついでにここまで運んでもらうから」


「すごいねリリィ。じやあお願いするよ。ユイは辺りを警戒しててね」


「はい!」


 襲撃でどうなるかと思ったけど、改めてユイとリリィの頼もしさを感じる。

 もしくはこの盗賊が弱いのかな?


「ねえユイ、こいつらって強かった? それとも弱かった?」


「そうですね……あの森にいたモンスターしか比較対象がいないですけど、あれよりはだいぶ強いのではないでしょうか。特に最後に戦った男はなかなかの強さかなと……」


「そっか、じゃあそれをあっさり倒せるユイはすごくすごく強いってことになるね」


「はい! ご主人様の指示のおかげです!」


 割と強かったようだ。

 ユイが強すぎるから、ほとんどの相手が弱く見えちゃうんだよね。

 さて、盗賊のボスに誰に雇われたか聞いてみるか。


 盗賊のボスはひげ面で、いかにもなおっさんだった。

 とりあえず頬を叩いて起こそうかな。


「むむうう……ん……? くそ……あれ? 体が動かんぞ……」


 無事目覚め、暴れだすも動けないようだ。

 土の拘束は十分に機能しているようだな。

 さて、尋問は僕がしていいのかな。


「あなたが盗賊のボスですね。どうしていきなり襲ってきたんです?」


「あん? 俺たちは盗賊だ。旅してる奴が通りかかったら襲うに決まってらあ」


 盗賊か……迷惑な奴らだよ。

 ヴァルマンの刺客かもと疑っているけど、聞き出すのは難しそうだ。

 さっきお金をもらえると言っていたからそれを聞きだしたい。

 こういう時の駆け引き方法も知らないし、そのまま聞くかな。


「さっき僕たちを倒せばお金がもらえると言っていたでしょう。あれは誰からですか?」


「あん? そんなこと言ってねえよ」


 やっぱりシラを切るか……どうしたものだろう。

 ここは年長者の意見も聞こうかな。

 襲われた当人のディーラさんを呼ぼう。

 なんとかこいつらから聞きだしたい。

 そしてヴァルマンの悪事であれば、何とか暴くんだ。

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