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27.3人仲良く

 お昼ごろまで宿屋でのんびりと3人で過ごした。

 冷静に考えると、可愛い女の子2人と同じ部屋にいる僕って幸せ者だなあ。

 一緒にいてくれる2人と、僕をこの世界に送ってくれた神様に感謝。


 今日の夕方には冒険者ギルドへ行かなければならない。

 それまでの時間も半端だし、今日は休みの日と決めた。

 さて、お昼ご飯でも食べに行こうかな。

 メニューは女性の意見を聞こうか。


「ねえリリィ、お昼何食べたい?」


「え? な、なんであたしに聞くんだよ。ユイに聞きなよ」


「わたしはリリィさんの食べたいものが食べたいです。ご主人様はそれをわかって、リリィさんに聞いてるんですよ」


「相変わらず変な奴ら……」


 僕は昨日1人で大変だったリリィの食べたいものがいいなって思ったんだ。

 ユイも同じ理由であれば嬉しい。

 さて、リリィの希望はなんだろう?


「食べ物は何でもいいんだ。ただ外で食べたいかな……。どうも街の中は落ち着かないんだよ」


「わあ……じゃあピクニックですね。わたしもそうしたいです、ご主人様」


「わかった。じゃあ朝はパンだったから、お弁当買って行こうか」


 というわけで、出発だ。

 お弁当は適当にいい香りのする店を選ぶ。

 目的地は決めず、街の外でいい場所を探そう。


 それにしてもリリィ、街の中は嫌なのか。

 たしかにハーフエルフとはいえ、エルフの特徴の耳が目立つ。

 好奇の目にさらされているのかもしれない。

 リリィへのプレゼント……耳を隠せる可愛い帽子がいいかなあ。


 てゆうかよく考えてみると、リリィごめん……いつも3人で手をつないで歩いてたせいで余計に目立ってたね……。

 今だって僕を中心に3人で手をつないでいる。

 リリィはあきらめたのか、手をつなぐことを嫌がらなかった。

 いや……喜んでくれている可能性もあるのかな?


「リリィ、ごめんね。街中にいるのがつらいってことに気づいてあげられなかったよ」


「え? い、いや……いいんだよ。どうしようもなかったし……」


「そうだけど……。ねえリリィ、もし他にもつらいこととかあったら遠慮なく言ってね。僕もユイもリリィと楽しく過ごしたいからさ。だよね、ユイ」


「もちろんです!」


「うん……ありがと」


 リリィとつないでいる手が少し熱くなった気がする。

 ちょっと汗ばんできて……僕はいいけどリリィはどうなんだろうか。


「ねえ、僕はもうリリィが逃げないって信じてるからさ、嫌だったら手を離してもいいよ」


「いいよ……あたしは逃げる気ないけど、こないだみたいにはぐれたくないんだ。だからこのままがいい」


「そっか。僕もはぐれたくないから、しっかり握っておくよ」


 一昨日一人きりになってやはり寂しかったのか。

 寂しくさせたのは申し訳ないけど、そう思ってくれるのが嬉しい。

 今度はユイとつないでいる手が熱くなる。

 ユイも喜んでいるのかな。


「それとさ……あたしはハーフエルフだから望まれずに生まれてきた。だから母さんにも疎まれて、手をつないでもらった記憶がないんだ。父さんなんて顔すら知らないしさ。だからあの……手をつなぐの憧れてたんだ」


 そうか……つらい子供時代を送ってきたんだな。

 あ、さっそくつらいことを教えてくれたんだ。

 なんか嬉しい……そんなリリィには幸せを感じてほしいな。


「リリィが生まれてきてくれたこと、僕は感謝してるよ。だってこうして出会えたし、もしリリィがいなかったらドラゴンにやられてただろうしね」


「アル……ありがと。生まれてきてよかったって初めて思えた」


「わたしもリリィさんと出会えてよかったですよ。あ、いいこと思いつきました。おままごとをしませんか? リリィさんが子供でわたしがママ。ご主人様があの……パパで……」


 そう言ってユイは僕の手を離し、リリィの隣へ移動してその手を取った。

 ユイと夫婦……こんな未来があるのかなあ。

 妄想していると、リリィとつないでいる手の熱がさらに増してきた。


「ななな……なんであたしが子供なのさ。見た目ちっちゃいけど、一応ユイの年上だぞ!」


「あ、そうですね。じゃあリリィさんはご主人様の奥さんということでよろしいですか?」


「お、奥さんって……アルとそんなの……ないない! あたしが子供でいいよもう」


 僕とはないか、少し安心。

 いやでも……以前手をつなぐのをすごく嫌がっていたのに、実は嬉しかったと聞いたばかりだ。

 これももしや? うーん、女心はさっぱりだよ。


「それよりユイ、おままごとって子供っぽいこと考えるんだな」


「はい、わたしはまだ子供ですからね」


「15歳で何言ってるんだか……」


 以前図書館で、子供向けの本を読んでほしいと言われたことを思い出す。

 子供時代に子供らしいことができなかったユイ……そういったことな憧れがあるのかな。

 おままごと……真剣に楽しんでみるか。



 やがて広くてのんびりできそうな草原にたどり着いた。

 お弁当を食べながらのおままごとの開始である。

 ユイは終始楽しそうに……リリィはずっと照れたり叫んだり元気いっぱいだった。

 なんていうか……すごく幸せを感じた。


 それが終わり、草むらに寝転んでひなたぼっこをすることにした。

 ユイはモンスターが近寄れない結界を張れるし、もしそれが効かない敵が接近したとしても、リリィのお友達である大自然が教えてくれる。

 危険をものともせずに外でのんびりできる僕たちは幸せかもしれないな。


「ご主人様……幸せです。こんなにも素敵な時間をありがとうございます」


「この素敵な時間が作れたのはユイとリリィのおかげなんだよ。僕からもありがとう」


「わたしがご主人様のためにがんばるのは当たり前ですから……」


「あたしも……。そうだ、あの時助けた魔法陣だけど……」


 あの謎の迷宮をさまよっていた時に急に目の前に現れた魔法陣のことか。

 あれのおかげで無事戻ってこれたんだ。


「あれがなにかわかったの?」


「細かいことはわからないらしい……。ただね、この大自然はああいった魔法陣を今までたくさん見てきたらしいんだ。あの時絶望してたあたしを助けるために、いちかばちか魔法陣の生成をやってくれたらしいんだ」


 それが成功したわけか。

 大自然にわからないってことは、あの魔法陣や迷宮はは自然のものじゃないんだな。

 謎だけど、ただでさえここはファンタジー世界なんだ。

 実は大して気になっていない。


「あらためて大自然さんにお礼を言っておいてほしいな。僕とユイが助かったこと、すごく感謝してるって」


「わかった。……あれ? お礼なら直に言えって言ってる……」


 直にか……僕がリリィの力を使って自然との会話は可能だ。

 ただし、リリィを抱きしめる必要がある。

 いや、触れるだけでもいいのかもしれないけど……確実にするには抱きしめるのがいいんだ。

 さてどうしたものか。


「あの……無理にお礼言わなくていいと思うよ」


 もじもじと照れた仕草でユイを気にするリリィ。

 なお、ユイはいつの間にか眠っているようだ。

 うーん……これからも力を借りることになりそうだから、言っておくべきだらう。


「いや、お礼を言っておきたいからいいかな?」


「あたしはいいけど、ユイに悪いよ。今寝てるから起こして聞くのも悪いし」


「大丈夫、こっちに来てくれるかな」


 僕はユイの隣に移動してきた。

 僕の反対側にはリリィを招く。


「ユイ、おいで」


「ふぁい……ごしゅじんしゃまぁ……」


 ユイは眠ったまま僕に抱きついてきた。

 リリィだけ抱きしめると問題がありそうなので、2人とも抱きしめちゃえ作戦。

 なにか間違っている気もするけど、これしかないだろう。


「ユイに すごいな……寝てても言うこと聞くんだ……」


「僕としても不思議だよ……。じゃあリリィもいいかな?」


「ん……仕方ないからいいよ……」


 リリィがおそるおそる僕に抱きついてきてくれた。

 これで僕も自然と会話できるはず。

 昨日は助けてくれてありがとうございました。


《かまわぬ。その娘を大切にしているようだからな。助ける価値は十分にあった》


 そう思っていただけるならばありがたいです。

 これからもリリィを守ってくだされば嬉しいです。


《もとよりそのつもりよ。おぬしも主人としてしっかり守るようにな》


 もちろんです。

 もし大事にできてないと思ったら叱っていただけるとありがたいです。


《うむ。その時は何かしら合図を出そう。ところでおぬしのたどり着いた迷宮とやら……細かく教えてくれるか》


 はい、もちろんです。

 たいして調べることはできなかったけど……僕は見たことすべてを大自然に話した。



《そうか、助かる。もしまたあのような事態になったら話してもらいたい》


 正直あんな目にはあいたくないな。

 次は帰ってこれないかもしれない。


《大丈夫だ。この娘に魔法陣の作り方を伝授しておく。それがうまく使えるかはおぬし次第よ》


 そんなことができるんですか?

 魔法陣は自然のものではないと言っていたのに不思議だ。


《自然にできるものではないが、この大自然にあるもので再現は可能だ》


 なるほど……ではリリィに期待しようかな。


《ではこうして話しているだけでそこの娘は消費してしまう。回復のため、頭をしっかりなでてやるようにな》


 あ、はい……。

 それきり声は聞こえなくなった。

 リリィから自然と会話する力を借りることはできても、自然そのものに会話する意思がなければ意味はないようだな。


「アル……終わったかな? 結構長話してたんだね……」


「うん、疲れさせちゃってごめんね。回復するから触らせてもらうよ」


「お願い……。こんな疲れるはずないんだけど……なんでこんな消耗してるんだろう……」


 僕はリリィを抱きしめたまま、頭をなでなでする。

 これで魔力が回復するらしいんだから不思議だよ。

 やけに消耗したのは僕のせいっぽいし、しっかり回復してもらおう。

 

「ん……気持ちいいや。なんでだろうね……。あと自然が感謝せよとか言ってくるんだけど、意味わかんないや……」


 たしかに時々よくわからないことを言う気もする。

 でも僕は感謝している。

 リリィを僕が尊敬したくなる素敵な女性にしてくれてありがとうってね。

この話で10万文字突破しました。

普通の小説なら1冊分くらいだそうですね。

拙い文章ですが、ここまで読んで下さってありがとうございます。

これからもよろしくお願いします。

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