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25.休息の時

 ある程度休んだ後、街へ戻ることにした。

 ユイも何とかモンスターを寄せない結界を張れるくらいには回復したようだ。

 歩きながら頭をなでて回復をしてあげてる状態だけど、これはこれで楽しいからいい。

 そして森を無事に脱出した。


「リリィ、疲れてるだろうけど……大地に力を借りて速く移動できるかな?」


「うん、これは簡単に力を貸してもらえるから大丈夫。いくね」


 リリィが念じると、地面がエスカレーターのように動き出す。

 これで急いで帰れるぞ。

 しかし、簡単と言ったリリィがふらつきそうになり、僕がリリィを支える。


「リリィ、無理しちゃだめだよ。でもありがとね……これで早く帰れるよ」


「うん……早く休みたいから……」


 早く2人を休ませてあげないといけないな。

 冒険者ギルドには僕1人でいくとして、街へ着いたら先に宿屋へ向かおう。




 そして無事に宿屋へ到着。

 ちょっと贅沢に4人部屋を借りてみた。

 今日は1人1つのベッドでしっかり休もう。

 2人をベッドに寝かせてと……。


「じゃあ冒険者ギルドに行ってくるよ。2人ともしっかり休んでてね」


「ん……おやすみ……」


「うう……ご主人様。わたしもご一緒に……お守りさせてください……」


 リリィは疲れがひどいようですぐに眠ってしまった。

 ユイも疲れてるはずだけど、僕について来たがっている。

 気持ちは嬉しいけど、ここはしっかり休んでもらおう。


「ねえユイ、リリィは疲れすぎて眠っちゃったみたいなんだ。だから今は僕よりリリィが心配だよ。リリィを守っててくれるかな?」


「そう……でしたね。リリィさんもご主人様の大切な人……。ちゃんとお守りいたします……」


「よろしくね。そうだ、どうせなら眠りながら守ってあげてほしいな」


「わかりました……。ご主人様のご命令通りに……ん……すー……」


 ユイも寝たみたいだ。

 ふふっ、2人とも可愛い寝顔だな。

 特にユイ……こっそりキスしたくなっちゃうよ。


 そういえば今日、ユイが僕の力を教えてくれようとして……キスしちゃったんだ。

 僕のファーストキス……おそらくはユイにとってもだろう。

 あれはカウントしていいのだろうか?

 うーん……また今度ちゃんとやり直したい気もするな。

 っと、早く行って戻ってこよう。


「いってきます」


「うみゅう……」


 ユイの可愛い寝言が聞こえてきた。

 僕にいってらっしゃいを言おうとしてくれたのかもしれないな。

 急いで行って戻ってこよう。




 冒険者ギルドに着いた。

 まずは昨日行方不明になって捜索を頼んだことについてだ。

 見つかったから捜索を中止してもらうようにしておこう。


 魔法陣の中の詳しいことを聞かれ、正直に答えておいた。

 ここには嘘発見器もあるはずだし、僕の言うことは信じてもらえるだろう。

 あとは学者さんたちに研究してもらおう。


 あ、脱出の際にリリィが助けてくれたのかもしれないことは濁しておいた。

 実際よくわからないので、わからないと答えても嘘発見器は反応しなかったようだ。

 魔法陣についてはこれでよしと……。


 次は今日あったドラゴン討伐についてだ。

 まだ全員帰ってないので、情報を集めておいて明日の夕方に報酬を分配するらしい。

 いろいろ聞かれたので、大活躍した女性陣のことを語っておいた。

 活躍した女性たち……みんなから尊敬されるといいな。


 あと報酬だけど……これだけは伝えておこう。

 ユイの顔の傷や火傷の痕を消すためにあれがほしいんだ。


「報酬でドラゴンの角をもらえたりはするんでしょうか?」


「そうですね……。ドラゴンの角は一番貴重な部位なんです。山分けした場合……1人で手にするのは難しいかもしれませんね。換金して山分けの可能性が高いです」


「そうですか……優先で買う権利とかはもらえますか?」


「他に欲しがる方がいなければ可能ですが、その場合はすぐにお金を払っていただく必要がありますね」


 なるほど……。

 僕の手持ちのお金ではおそらく買えないだろうな。

 なんとか売られた場所を聞き出しておいて、お金を貯めて買うのがいいのかな。

 なんにせよ明日だ。今日は宿屋に戻ろう。




 宿屋に戻ると、2人ともよく寝ていた。


「ただいま、ユイにリリィ」


「うにゃあ……」


 ユイが寝言で返事をしてくれる。

 きっと偶然じゃないんだらうな。

 僕は愛おしくなって、ユイの頭をなでてみた。


「ふみゅう……ごしゅじんしゃまぁ……」


 もしかしたら僕の夢を見てくれているのかもしれない。

 さて、僕も寝ようかな。

 空いているベッドに横たわってと……。


 すぐに眠気が襲ってきた。

 2人ともお疲れ様……おやすみ……。

 声がもう出せそうになくて……心の中で挨拶をして僕の意識は落ちていった。



   ***



 ん……朝になったのかな?

 窓から日差しが差し込んできている。

 昨日は夕方になる前に寝たから……半日以上寝てたわけか。

 魔法陣の中をさまよって、脱出したらすぐにドラゴン戦……かなり疲れてたんだろうなあ。


 他のベッドを見ると、ユイはまだ寝ているようだ。

 ユイも僕と同じ……いや、それ以上に疲れていたんだろうな。


 リリィはいないようだ。どこにいったんだろう?

 部屋の隅には水の入った桶がある。リリィが汲んでくれたのかな?

 とりあえず、顔と体を拭かせてもらおうかな。


 少し経つと、ドアが開いてリリィが入ってきた。

 何か持っているようだ。


「あ、起きてたんだ。おはよう」


「おはよ、リリィ。どこに行ってたの?」


「朝ごはんにパン買ってきたんだ。2人ともお腹すいてると思ってさ」


 そう言われ、僕はお腹が空いていることに気づいた。

 長いこと食事してなかったんだった。


「ありがとね、リリィ。わ、たくさん買ってくれたんだね。これならユイもお腹いっぱい食べれるね」


「うん。お小遣いの残り全部使って買ってきちゃった」


「そっか、じゃあまたあげないとね。あ、昨日も大変だったんじゃないかな? お金足りた?」


「うん、冒険者の人が優しくしてくれたからお金はあまり使う必要無かったよ。あ……昨日お礼言わずに帰ってきちゃった」


 すっかり忘れてた……。

 リリィのお世話をしてくれたってことはかなりの恩人だ。

 女の子の奴隷に対して差別をしなかったってことだもんね。


「疲れすぎて忘れてたね……。よし、今日お礼を言おう。見かけたらすぐ教えてね」


「わかった。でも気をつけてね……。多分その人があたしに優しくしてくれたのは、下心があったからだよ。アルってその……周りから結構評価されてるんだね。そのアルに恩を売ろうとしたんだと思う」


「そっか、でも僕はそれで構わないよ。リリィを助けてくれたのは間違いないんだ。お礼を言いたいよ」


「そっか……」


 ドラゴンを見つけたりと、ちょっとした運の良さで有名になってたみたいだけど、そのおかげでリリィは優しくしてもらえたんだ。

 有名になるのも悪くない。

 このまま、素晴らしい女の子を2人連れたやつって感じで有名になりたいなあ。


「じゃあ朝ごはん食べようか。ユイはまだ寝てるから先に食べちゃおう」


「いいの? てっきりユイが起きるのを待つって言うかと思った」


「ふふっ、待てないくらいお腹すいてるんだよ。それに待ってると、ユイが申し訳なさそうな顔しちゃうからさ」


「そっか……ユイのことよくわかってるんだな……。さすがだよ」


 自慢じゃあないが、ユイのことに関しては自信がある。

 リリィのことも少しだけは知ってるけど、もっと知っておきたいな。

 そして喜んでもらいたい……。

 恥ずかしいから言わないけど。


「さて、どのパンから食べようかな。リリィから選びなよ」


「んと……ユイに残すのから決めよう。よく知ってるアルが決めてよ」


「そうだね……」


 ユイの好きなパンは、ジャムが入った甘いパンだ。

 ちなみに僕も甘いのが好き。

 そしてリリィも同じように甘いものが好きってことを知っている。

 要は僕たち3人とも甘いものが好きなんだ。


「ユイが一番食べたがるのはこの苺ジャムのパンだよ。でもね、ユイはきっとこう言うんだ。こんな美味しいものをわたしだけで食べるなんて申し訳ないです、ってさ。だからまずこれを三等分して食べよう」


「そ、そこまで細かくわかるんだ……。このパン人気みたいでさ、ひとつしか残ってなかったんだ。じゃあ、いただきます」


「うん、僕もいただきます」


 お腹がすいてたから余計においしいなあ。

 この後はユイが好きそうなパンとリリィが好きそうなパンを交互に選び、余ったパンを僕が食べた。


「ごちそうさま。おいしかったよ。わざわざ買ってきてくれてありがとうね」


「うん、どういたしまして。というか……奴隷がこういうことするの当たり前だしさ」


「そんな風に思わないでほしいな。リリィは奴隷という立場だけど、それは忘れてほしいんだ。僕はリリィと対等な関係の仲間でいたいんだからさ」


「うん、ありがと……。じゃああの……奴隷とか関係なくさ、したいからしたんだからさ……」


「そっか、ありがとう。リリィ」


 やっぱりリリィはいい子だな。

 早くエルフの里に帰してあげたいよ。

 今のリリィなら魔法を使えなくても馬鹿にされることはないだろうしね。


 この後は2人でまったりとしつつ、ユイの目覚めを待つのであった。

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