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20.僕の能力

 次の日の朝、朝食を食べてから占い師さんのところへ行くことにした。

 僕がどんな職業、どんな戦い方が向いているのか占ってもらうんだ。

 なにかしら才能があるなら早めに知っておきたいしね。


 到着し、代金として200G支払った。

 わりと高めなので、これなら当たりそうだなと根拠なく考えてしまった。

 なお、わりと朝早くから開いていたのは、占い師が朝が早いであろうおばあさんだからかな。


 いろいろ質問された後、占い師のおばあさんは水晶玉になにかを念じ始めた。

 そしてしばし待つと……結果が出たようだ。


「お前さん自身は戦闘に向いてないようじゃな」


「やはりそうですか……」


「そう落ち込むでない。戦闘全体を見れば向いているとも言える」


「どういうことでしょう?」


「お前さんは指揮官としての才能に溢れておる」


 指揮官……。

 自らは前線にいくわけでなく、後ろから指示を出す感じだろうか?

 だとすると、ユイやリリィ相手に今やっている戦闘スタイルでいいってことだ。

 でも……戦術とか全然知らないんだけど。


「でも僕、戦闘指揮とかしたことないですよ」


「それはこれからの経験と勉強次第じゃな。あとこれは魔法のようなものじゃが……お前さんが指示を出すことによって、指示を受けた相手の能力が向上するようじゃな」


「そんな隠れた力が……」


「うむ。ただし、それが効く相手と効かない相手がいるようじゃ。ううむ……だいたい2人に1人の割合のようじゃな」


 だれでもってわけじゃないのか。

 なんとなく……女性だけなんじゃないかって思った。


 とまあこんな感じで占いは終わった。

 冒険に出かけるべく、街の外へ向かいながら僕の才能について話してみる。


「僕の指示で能力が上がるってあり得るのかな?」


「わたしはいつも、ご主人様の声を聞くと力が溢れてきますよ」


「そっか」


 だけどユイの場合は、ユイ自身の能力でかなり強くなっているので効果がわかりにくい。

 ここはお世辞を言わないであろうリリィの意見を聞こう。


「そうだな……言われてみればそうかも。ユイにもらった強化魔法とはちょっと違う感じて力が溢れてた気がするよ」


「そっか、じゃあ今日もいろいろ言ってみようかな……」


 リリィか言うならそうなのかな。

 今日はひたすら応援をしながら、ユイとリリィを見てみるとしようか




 さて、今日も例の森へやってきた。

 もちろんリリィに大地の力を借りてもらい、楽に早く到着だ。

 時々他の冒険者を追い抜くことがあったのだが、変な目で見られないように走ってるふりをした。

 3人で手をつないで猛ダッシュしている光景はさすがに異常だったかもしれない。


 ユイに強化魔法をかけてもらい、さっそく昨日見つけた魔法陣のところに行くとしようか。

 活動を開始してなければいいのだけど。


「なんかさ、嫌な感じが強まってる気がする」


 リリィがそう言っているので、もう活動してるかもしれないな。

 それならば、早めに行ってモンスターが出てくる数を減らすべきだろう。


 ちなみに、魔法陣のあるところにモンスターは大量発生するわけだけど、魔法陣がなくともモンスターは自然発生するらしい。

 学者さんたちがその理由を研究しているそうだけど、まだ不明らしい。

 とりあえずモンスターはいくらでも現れる、ということを覚えておこう。

 冒険者ギルドでもらったガイドブックにそう書いてあった。


 今日は戦いの練習するのは後回しにして、出てくる敵はユイにすぐ倒してもらう。

 目的を果たしたらいろいろ試すとしよう。

 例えば、僕が戦闘の指示を出してみるとかだ。

 指揮の才能があるのだとしたら、それでなにかわかるかもしれない。


 そして順調に移動して到着だ。

 魔法陣はすでに光っていた。

 すでにモンスターはいるのか、今から現れるのか……。


「くるよっ!」


 リリィが叫ぶと同時に、魔法陣の輝きが増した。

 そして現れる3つの人影?

 いや、よく見るとそれは骨のようだ。

 赤い骨……スケルトンと呼べばいいのだろうか。

 剣と盾を持っていて、かなり危険な感じがする。


「ご主人様……強そうです!」


「僕はまず魔法陣を壊そうと思う。いけるかな?」


「はい、わたしが敵を引きつけます。はああっ!」


 ユイが闘気を身に纏い、スケルトン達はユイに攻撃を開始した。

 ユイは攻撃を避けたり受けたりしているが、問題はなさそうかな。


「僕が魔法陣を壊すから、リリィはユイの補助をしつつ周りを警戒しててね」


「わかった。でまあの骨には矢が刺さりそうにないな……」


 たしかにスカスカの骨と矢は相性が悪そうだ。

 でも僕はまず魔法陣をなんとかしなくちゃ。

 教わった通り、まずは魔法陣の周りに木の杭を打ち付けていく。

 この杭にはなにかの魔法がかかっているらしい。


 木槌で打ち込んでいくのだが、自分の非力さがうらめしくなる。

 ちょっと時間がかかるかもしれないな。


「なあアル、やっぱり矢じゃ役に立てないよ。ユイは防戦一方だ。どうしたらいい?」


 どうしたらいいのだろう?

 僕の指示が役に立つとも思えない……いや、待てよ?

 僕の能力として、指揮をとることで対象の能力が向上すると占い師のおばあさんが言っていたんだ。

 それを試すなら今だろう。


「リリィ、君の特技は自然の力を借りることだ。そうだね……風にお願いしてみて」


「風……さっきからあいつをぶっ倒したいと頼んではいるんだけど、どうも戦いとなるとあまり力を貸してくれないんだ」


 戦いは嫌いなのだろうか。

 えっと……もし僕が自然だったらどう考えるだろう。

 リリィには、敵を倒す強さを求めるような生き方をして欲しくない……?


「リリィ、敵を倒すためじゃない。ユイを助けるために必要なことだって頼んでみて。昨日みたいにさ」


「あ、そうか……忘れてたよ。ユイのために……それと……あ……うん」


 リリィは自然と会話しているようだ。

 どうなったかはわからないが、僕は魔法陣の対策を続けよう。

 あと少しで杭を打ち終わる。


「いっけええええっー!」


 ユイの気合の叫びが聞こえ、見ると矢を放ったようだった。

 その矢は風を纏ったかのように見え、スケルトンに当たった。

 先ほどまでは全く効かなかった矢だが、ひるませることができたようだ。

 その隙を見逃さずユイが叩っ斬る。


 倒したかと思ったが、スケルトンは地面でぴくぴくと動いている。

 もしや再生するのではないだろうか。

 だとしても、ユイが有利な状況になったのは間違いない。

 僕は作業を続けよう。


 作業をしながら、今の展開について考える。

 僕の能力がなにかしら作用してリリィが自然の力を借りたのか、ただ単にアドバイスがよかったのか……まだわからないな。

 考えている間に杭は打ち終わった。


 杭で囲まれた魔法陣の上に、これ専用の粉をまく。

 そして最後に、魔力がこもっているらしい石を投げつければ完了のはずだ。


 思いっきり投げつけると、魔法陣の上でちょっとした爆発が起きた。

 杭にかかっている魔法のおかげか、周りに被害はない。

 これで完了のはずだ。あとはスケルトンだな。


 ユイとリリィの連携で優勢のようだが、スケルトンは多少ばらばらにしてもすぐ元に戻るようだ。僕がなんとか手助けをせねば。


 僕がなんとか手助けをしたいけど……うーん? どうしたらいいのだろう。

 こういったアンデッドには聖なる魔法的な?

 ユイならすぐに使えるようになるかもしれない。


「ユイ! そいつはたぶん倒しても倒しても蘇るよ。死んでる敵に効くような魔法はないかな」


「えっと……どんな魔法なのでしょうか? イメージが湧きません」


 僕がちゃんとイメージを伝えれば使えるかもしれない。

 えっと……あっているかはわからないけどこう言ってみよう。


「そいつはもう死んでいるのに、無理矢理戦わされているんだ。助けてやって!」


「助ける……。やってみます!」


 このスケルトンがそういった存在かどうかはわからない。

 だけど、ユイの優しさならなんとかしてくれるのではないかと思った。

 ユイは今戦いながらなにかを考えている。

 それに集中させてあげなくては。


「リリィ! 敵を足止めして」


「任せろ! あ、なんか力が……よし!」


 するとリリィはなんと、矢を2本弓につがえた。

 あれでちゃんと当たるのだろうか?

 僕の心配をよそに、矢は2体のスケルトンに命中してひるませる。


「これならっ!」


 その状況をチャンスとばかりに、ユイが剣を地面に突き立てた。

 なにか技か魔法を閃いたのだろうか?


「やすらぎの地へ還れ! 退魔の陣ターンアンデッド!」


 剣を中心に地面が光った。

 まるで魔法陣を描いたかのようだ。

 そして光に包まれて消えていくスケルトン達。

 戦利品は……何故か残らなかった。

 なんにせよ、これで勝利だ。


「ユイ、すごいよ! あの魔法は今思いついたの?」


「はい。ご主人様の声を聞いていると、頭の中に思い浮かんできました。ご主人様が教えてくれたんです」


「そうなんだ……」


 ユイはいつも通り、自分の実力を僕のおかげだと言う。

 いつも僕を持ち上げてくれるんだと思ってたけど……もしかして本当に僕の応援で強くなっている?

 リリィにも確認だ。


「リリィもすごいよ。自然の力を借りて魔法みたいに矢を飛ばしてさ。しかも2本撃ちなんて」


「あ、うん……。でもあたしだけじゃ無理だったと思う。アルの応援……心地いいんだ」


「そ、そうなの?」


「うん……」


 うーん、占い師のおばあさんの言ったことは正しいのかも。

 僕は役立たずと思っていたけど、指揮や応援をしてるだけで戦力になってるのかな。

 大活躍するユイとリリィも見れるし、これはいい能力だ。

 神様がくれた能力……才能を見抜き発揮させる力。

 指揮能力もその一環なのかもしれない。


 そういえばこの能力って男には使えないのかな?

 なんとなく使えない気が……女好きって思われそうだ。

 一応僕も男だし好きだけどさ……。

いつも読んでいただきありがとうございます。

そろそろストックが減ってきたので、明日から1日1回、21位時過ぎ更新とさせていただきます。

これからもよろしくお願いいたします。

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