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15.4日目の夜

 ではこれから、リリィの潜在能力を見てしてみようと思う。


「リリィ、僕の目を見つめてね」

「う、うん……」


 リリィの緑色の目を見つめ……僕の能力を発動だ。

 すると……ユイの時のように頭に情報が流れ込んできた。


《リリィの潜在能力》

《適正S 大自然の加護……自然と会話し、力を借りる能力》

《適正B 弓の名手……弓を使いこなす能力》

《適正C 演奏家……楽器を演奏する能力》

《高い適性のものを3つ表示中。覚醒できる能力はひとつです》


 なんかもう、これを選んでくださいと言わんばかりの選択肢だ。

 ハーフエルフというのが何か関係あるのだろうか?

 でもリリィは魔法の適性がないか知りたがっていたな。

 念じれば見えないだろうか……。


《リリィの潜在能力》

《適正D 精霊魔法……火水風土の精霊に力を借りて魔法を行使する能力》

《適正E 加護魔法……加護を与える魔法を行使する能力》

《適正E 回復魔法……治療に関する魔法を行使する能力》

《魔法に関連した高い適性のものを3つ表示中。覚醒できる能力はひとつです》


 これは……魔法の才能は一切ないと言うことか。

 残念だけど、リリィが魔法を使えないのはどうしようもないようだ。


「ふう……リリィについてわかったよ」


「ど、どうなんだ? あたしに魔法の才能はあるのか?」


「言いにくいけど……ないみたいだ」


「そうか……やっぱりそうだよ。他のみんなは精霊の声を聞けるのにあたしだけ聞こえなかったもん……。はあ……」


 リリィは落ち込んでしまったか。

 でもそれを補うだけの才能はあるはず……これを伝えよう。


「でもリリィ、君には素晴らしい才能があることもわかった。おそらく、どんな魔法よりも素晴らしい能力だよ」


「そうなの? どんなのかな……」


「詳しくはわからないけど、自然と会話して力を借りられるんだってさ」


「自然と会話? どういうことだろ……。他のみんなは精霊と会話するのは自然と会話するのと同じことって言ってたのに……あたしは精霊と会話できないよ」


 そう言われると不思議だけど、僕にもよくわからない。

 精霊とか自然の定義もよくわからないし。


「この能力を発揮させてみればわかると思うよ。やってみる?」


「う、うん……。なにか才能があるのなら使ってみたい」


「じゃあしてみようね」


「でもいいのか? あたしはその能力を使ってあんたから逃げ出すかもしれないぞ」


「その時はちゃんと捕まらないように逃げきるんだよ」


「え?」


 逃げるならそれで構わない。

 お金はかかったけど……リリィの不幸を救えたことにはなる。


「じゃあやるよ」


「あの……えっと……?」


「僕の目をしっかり見てね」


 リリィの大自然の加護を覚醒させるべく念じる。


《リリィが大自然の加護を発動。変更も可能》


 ユイの時と同じで、これでいいはずだ。


「リリィ、なにか変ったかな?」


「えっと……特に何も……。……あれ? なにか声が聞こえる」


 リリィは目を閉じて集中している。

 大自然の声が聞こえているのだろうか?

 とりあえずしばらく待ってみようか。


「ご主人様、成功したのですか?」


「たぶん……どんな能力かよくわからないけど」


「わたしもあのようにして才能を発揮させてもらえたのですね。あの時はずっと見つめられて何事かと思いました」


「ごめんね、実は僕もよくわからなくてうまく説明できなかったんだ」


「いえ……問題ありません。見つめていただけて嬉しかったので……」


 ユイと見つめ合う僕。

 やはりユイの照れた顔は可愛いなあ。


「ちょっと……あたしもいるんだけど、なに甘い空気漂わせてるんだよ……」


 リリィを見ると、呆れたような顔で僕らを見ていた。

 危ない……リリィの存在を忘れかけてた。


「えっとごめん……。それで、その能力はどうかな?」


「うん、なんかすごそうだよ。何でもできそうな気分だ。ねえあんた、名前なんだったっけ」


「アルバートだよ」


「じゃあ長いから……アルでいいよね」


「あ、うん……」


 いきなりあだ名をつけられた。

 まあ、悪い気はしないな。


「ご主人様を呼び捨てだなんて……さすがに失礼です」


「えー、いいじゃんか。ご主人様なんてこっぱずかしくて呼んでられないよ」


 ユイには怒らないようにしてとお願いしてたけど、これは我慢ならなかったみたいだ。

 今は泣きそうな顔で耐えている。

 これをきっかけにひとつ言ってみようかな。


「ねえユイ……僕さ、ユイにしてほしいことがあるけど言えなかったんだ。今言っていいかな?」


「はい……なんでしょう?」


「実は僕、ユイに名前を呼んでほしいんだ。それも呼び捨てならなお嬉しい」


「そうなの……ですか?」


「うん、だって名前で呼ぶと親しい感じがするでしょ。ユイは僕に名前を呼ばれててどうかな?」


「呼ばれるたびに嬉しくなります……」


「だから呼んでみてほしいな」


 この流れでユイにも僕のことを名前で呼んでほしい。

 リリィがそうしているんだし、ユイもそれでいいんだと思ってほしい。


「えと……ちょっといい? あたし外に行ってくるね。外にある木とお話したいんだ」


 あぶない……ユイに夢中でリリィのことを忘れかけていた。

 うーん……外かあ。


「いや……さすがにリリィを1人にするのはまだだめだよ」


「いきなり逃げたりしないってば。それにほら、2人きりにしてあげるって言ってるんだよ」


「そっか……じゃあ行っていいよ」


「うん、それじゃねー」


 そう言ってリリィは部屋を出ていった。

 少し不安だけど、ユイと2人きりにはなりたかった。


「ご主人様、リリィさんに対して怒らないという言いつけを守れませんでした……ごめんなさい」


「気にしなくていいんだよ。それよりユイ、僕の名前を呼んでほしい」


「えっとあの……アルバート……様」


「様はいらないし、さっきのリリィみたいに呼んでほしいな」


「えっとえっと……」


 ユイは僕の顔を見ながら、泣きそうな顔となっている。

 僕のわがままでユイを困らせているんだろうか?


「ユイごめんね、これはまた今度でいいや」


「いえ……実は呼んでみたいんです。でもあの……勇気が出なくて……」


「そっか……じゃあ待ってるね」


「はい……」


 呼んでみたいと言ってくれた……。

 じっくりと待つとしようか。


「あの……わたしの名前を呼んでいただけますか」


「うん……。ユイ……大好きだよ」


「あ……。わたしも大好きです……アル……」


「そっか、僕たち両想いだね」


「はい……」


 昨日は寝る前のどさくさで好きと言って寝たけど、今日はちゃんと言った。

 そしてユイからも返事をしてくれた。

 しかも名前も呼んでくれた。

 嬉しすぎてたまらない。

 この状態になれたのはリリィのおかげかもしれないな。


「ユイ、名前を呼んでくれてありがとう」


「はい……でも恥ずかしいです。名前を呼ぶだけで胸が張り裂けそうになっちゃいます」


「そっか、じゃあ常にとは言わないよ。時々でいいから呼んでほしいな」


「はい……こんな風に2人きりでゆっくりとした時間……。この時だけでいいでしょうか?」


「いいよ。僕はこの特別な時間を楽しみにして日々過ごすからね」


「はい……」


 これはきっと大きな進展だ。

 2人きりの時間はなかなか来ないかもしれないけど、次が楽しみだ。


「ところでご主人様……リリィさんは大丈夫でしょうか?」


「どうだろうね……逃げちゃってる可能性はあるかな」


「やはりわたしがご主人様の言いつけを守れずに、リリィさんに文句を言ってしまったから……」


「ユイのせいじゃないよ。なんとなくそうなる気もしてたしね。でもちゃんと逃げ切ってくれるかなあ」


 僕が覚醒させた能力……あれが役に立つといいな。

 自然の力を借りれるのなら、自然の奥にあるエルフの里へ行くのも容易だろう。


「もし捕まったとしても……ご主人様はまた助けてあげるんでしょう?」


「ふふっ、ユイは僕のことをよく知ってるね」


「もちろんです。大好きなご主人様ですから」


「でも逃げる時に人は傷つけないでほしいな。そうなったら助けられなくなるかも……」


「そうですね……」


 そんな心配をよそにリリィはちゃんと戻って……こなかった。

 こういう時ってちゃんと戻ってくるのが定番と思ってたんだけどなあ……。

 ま、いいか。


 ベッドは2つあるけど、一応真夜中に戻る可能性を考えてユイと1つのベッドで寝た。

 手をつないだまま……緊張で眠れないのに寝たふりをしながら……。

 これは明日も寝坊だな。

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