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転生したらホムンクルスだった場合は合法ショタを名乗っていいですか?  作者: 茶色烏賊
少年体ホムンクルスを望む領主と会うまでの三日間・後半
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今更ながら領主のお城にいることを実感しています

 先生と並んで、執事長に案内されながら居館へと向かう。

 朝お風呂に入りに行った時のように、また人々に見惚れられたらどうしよう、なんてキョロキョロしながら歩いていたら、先生に不審な目を向けられた。


「なんでそんなに、落ち着きがないんだ?」


 そういえば、朝の出来事は先生には話していなかった。

 しかしどう話したものか。

 自分で、自分が『人に見惚れられたら困る』なんて思っていること自体が、噴飯もののおかしさなのだ。たとえ鏡に映る自分の姿がどんな美少年であったとしてもだ。

 けれど人に話して笑われると、それはそれで微妙な気分になる。


 考え込んだ私に、先生が不思議そうに首をかしげる。

 私たちの会話は、少し前を歩く執事長には当然聞こえていただろう。


「失礼」

 と、執事長が口を挟む。


「人目を気にしておられるのでしょう。大丈夫ですよ、この時間は食堂に集まっている者が多いですし、そうでないものには、朝の醜態をさらした者も含めて、よくよく言い聞かせておきましたから」

 穏やかな声だったが、なんだか言い聞かせておいたという言葉に恐ろしさを感じてしまったのは、私の気のせいだろうか。

 それに、言い聞かせるなら、朝より前にしておいて欲しかった、などとちょっと思う。


「もっとも、一度、先に全員にある程度のことは言い聞かせておいたのですが。まったく、朝は、申し訳ないことをしました」


 おっと、私の考えていることがばれている。

 なんて思いたくなるようなタイミングの良さだ。


「いえ、私の方こそ、すみません」


 ほんと、割れたり壊れたりした諸々の費用が、そうしてしまった使用人たちに請求されていないといいのだけれど。

  

 先生はやっぱりなにがなんだか、という顔をしている。


 あれだけ、自分の設計がやり過ぎだったと自覚した人が、どうしてこう鈍いのだろうか。使用人たちの浴場に行くかどうかについては、かなり判断が早かった気がするのだけれど。

 はっきり示されていないことには、鈍い性質なのかもしれないが、もう少し自分のしでかしたことをはっきり認識しておいてくれてもいい気がする。


「……先生の設計が、広く人の心をとらえるものだって証明されたってことですよ」

「ん?」


 まだよく分かっていないようなので、それ以上は言わないことにした。

 幸い、先生も執事長の後ろを歩きながら騒いだりはしないようだ。


 そんな先生が階段を上り、廊下の角を曲がったところで首をかしげた。


「あれ、執事長さん、こっち入るんですか?」

 少しだけ、腰が引けている。

 遠慮しているのではなく、入るなと言われている場所に入って行っているような感じの仕草だ。


「ええ、こちらに案内するように仰せつかっておりますから」


 どうということもないというように、執事長が答えている。

 

 どういうことかと二人の間で視線を行き来させていた私に、先生が小声で教えてくれた。

「さっきのところから、こっち側は、領主様たちのプライヴェートエリアなんだよ。僕もこっちには入ったことがない」


 私にとってみると、ふうん、という感じで、あまりその意味がよく分からなかった。

 想像だけれど、血縁とごく近くに置かれた使用人しか入らないということだろうか。

 まあ、領主の私室近くに、数多くいる使用人の誰でも入れるようでは、セキュリティ上困るかもしれない。

 まして、先生は使用人とも違う立場なのだし。


 そう考えると、先生から落ち着きが減っていくのも分かる気がする。

 現領主の血縁、次期領主であるヒルデガルトの家庭教師であっても入れないプライヴェートエリアとなると、全くの本当のプライヴェートエリアなのだろう。


 逆に考えると、ヒルデガルトのお勉強部屋は、彼女の私室ではないということにもなる。

 少なくとも寝室とは別に用意されている部屋なのだろう。


 今更ながら、ここが領主という身分にある人の城なのだと実感する。


 廊下のところどころに、生花が飾ってあるのもそれらしい。

 これだけの生花を管理するのは大変だろうななんていうのは、完全に他人事だから思えることで、自分がこの管理を任される立場なら、きっと一日中花の入れ替えと水の交換で終わってしまう気がする。


 目に入る窓にはさしたる汚れもない。

 掃除も大変だな、とこれまた他人事だから思える感想を抱いたところで、執事長が立ち止まった。


「こちらでクラウス様がお待ちです」


 扉からは、そこがどんな部屋なのかまでは分からなかったが、隣に立つ先生がごくりと喉を鳴らしたせいで、私までなんだか緊張してきてしまった。

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