探りあい〜モモコ
気持ちが沈むのを止める術はなかった。
ケイジの顔もこわばっている。
あー、やっぱり態度に出ちゃった…
気づいたけれどもうおそい。
モモコは安堵すら覚えていた。
(やっぱりまだ誰かと付き合うのは、気持ちがついていかないかもしれない)
心が揺れていた。
明るい声を出してみても顔色が戻らないケイジに、モモコは正直に話すことにした。
「ケイジ…なんか気にしてるでしょ?」
「モモコは?俺無神経すぎ…」
用意してあったような返事。
やっぱり気にしてた。
「俺、ちょっと動揺してた。別れた理由は一言では言えなくて、あんな風にごまかした。ごめん。」
頭を下げるケイジ。
謝らなくていいのに。
「ケイジ、あたしの…前の事、覚えてる?話したのは四年も前だね。」
「もちろん。」
その目に真摯な思いを見た気がした。
多分ケイジは、ほんとに何も考えずに返答したんだろう。
「なんで彼女と別れたの?」
気にするな、気にするな、と
モモコの中の誰かが言う。
でも。
モモコは感じていた。
もうケイジの事、好きになるのが怖くなった。
ケイジだって、あたしみたいに過去を引きずってまともに男性と付き合えない女なんてやめたほうがいい。
友達でいてくれるだけでありがたいんだ。
ネガティブな気持ちが押し寄せてきた。
たぶんこれは、モモコがケイジを本気で好きだったから。
これ以上はダメだ。
ケイジは爽やかで明るく、仕事も楽しんでやる模範的な男性だ。
失いたくない。




